【瀧本氏、伝説の東大講義】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065194288
本日ご紹介する一冊は、2019年に、病のため47歳の若さで亡くなった故・瀧本哲史氏による貴重な講義録。
2012年に東京大学の伊藤謝恩ホールで行われた、29歳以下限定の講義を書籍化したもので、内容はこれから社会変革の主軸となる若いエリート層に向けたもの。
若干、選民思想の匂いがしますが、それだけに本質を突いた議論となっています。
そうすれば政治や社会を変えられるか。現実的な視点からのアドバイスは、野心的な若者の心に刺さるに違いありません。
ご存じない方のために説明しておくと、瀧本哲史氏は、マッキンゼーを経てエンジェル投資家として活躍。起業論を教えていた京都大学や、経営指導していた有名企業を中心に、多くのファンに慕われていた方です。
もっともっとご活躍して欲しかったところですが、それが叶わぬ今、本書でその教えが学べるのは、唯一の救いでしょう。
本書のなかで著者が繰り返し強調しているのは、特定のリーダーをぶち上げて、その人が世の中を変えるという「カリスマモデル」はうまく機能しないという点。
それよりはむしろ、<世の中を変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわからないけれども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をしたほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか(=武器モデル)」ということです。
現在、既得権の側にいる方は、本書を読んで、ちょっとした脅威を感じるかもしれませんね。
それではさっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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自ら明かりを燈せ。つまり、他の誰かがつけてくれた明かりに従って進むのではなく、自らが明かりになれ
意見をバラまくことには世の中を変える力があるんじゃないか
何かすごいリーダーをひとりぶち上げるより、世の中を変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわからないけれども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をしたほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか(=武器モデル)
「教養の役割とは、他の見方・考え方があり得ることを示すことである」(アラン・ブルーム)
どんなに正しいロジックでも、良いレトリックが伴わなければ、それは聞く人の心にきちんと届かないし、まして行動を変えることなどできません
民主主義の社会では、銃や鉄砲で政府を倒す必要はありません。まず「言葉」によって正しい認識にいたり、「言葉」を磨くことでその認識の確度を上げていく。そして「言葉」を使って相手の行動を変えていくことで、仲間を増やし、世の中のルールや空気を変えていくことが可能
「霞が関の競合」をつくろう
数字を見てみると、旧世代の方と、みなさんのような新世代の方の人口比って、だいたい「2対1」です。なので、じつは、旧世代の人をひとり説得すれば勝ちなんですよ
いま、有権者が政治家を選ぶ手段は投票しかありませんが、「気に入らない政治家のいる地域からは出て行く」というのも有効な生き方でしょう
天動説から地動説に変わった理由というのは、説得でも論破でもなくて、じつは「世代交代」でしかなかった
世の中が変わるかどうかっていうのは、若者であるみなさんとみなさんに続く世代が、これからどういう選択をするか、どういう「学派」をつくっていくか、で決まる
モノを売ったり相手の関心を得るときに大切なのは、「セグメンテーションされた情報を与える」ということ
僕が投資するときは「事業がまったくうまくいかなくても、誰かがその会社を買収したくなる会社にしか投資しない」(中略)そういう会社は何かというと、テーマとメンバーですよ。まず、やっていることが非常にユニークで、どこかのパクリではないこと。加えて、それを実現できるようなチームだけでやっていることが重要
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社会変革のための手続きと、実行のためのアドバイス、学ぶべき事柄が示されており、これから社会を変えていこうとする若い世代に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
『2020年6月30日にまたここで会おう』という著者の約束は、著者の突然の死とコロナショックによりなくなってしまったようですが、大切なのは集まることではなく、各々が武器を持ったゲリラとして、社会変革のために戦うことでしょう。
惜しくも講義が聴けなかった方も、本書を読めば、著者の社会変革への情熱と若者へのメッセージを受け取ることができます。
ぜひ読んでみてください。
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『2020年6月30日にまたここで会おう』瀧本哲史・著 星海社
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◆目次◆
第一檄 人のふりした猿にはなるな
第二檄 最重要の学問は「言葉」である
第三檄 世界を変える「学派」をつくれ
第四檄 交渉は「情報戦」
第五檄 人生は「3勝97敗」のゲームだ
第六檄 よき航海をゆけ
あとがきにかえて
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