【初のアフリカ系学長、語る。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479797319
本日ご紹介する一冊は、日本の大学初のアフリカ系学長、京都精華大学のウスビ・サコ氏による注目の一冊です。
著者は、1966年マリ共和国生まれ。
高校卒業と同時に国の奨学金を得て中国に留学し、建築学を学んだ方のようです。
バンバラ語、英語、フランス語、中国語、日本語を操るマルチリンガルで、専門は空間人間学。「京都の町屋再生」「コミュニティ再生」などの調査研究に携わっているようです。
本書は、そんな著者が若い世代に向けて「多様な社会」で生きる知恵を授けた一冊。
外からの目線で見た日本の均質性と異常性、そこを打破するためのヒントを書いた、興味深い内容です。
若い世代が直面する自由、孤独、不安に対処するヒント、学ぶための心構え、人種・文化を超えるための考え方が示されており、悩める20代、30代にこそ読んで欲しい本だと思いました。
他の本同様、すべての意見に賛成はしませんが、じつに貴重な指摘だと思います。
さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
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今民泊に反対しているまちは、異文化を受け入れるだけの基盤が失われてしまっています。こうしたコミュニティの再生も、日本が抱える課題
異なる文化を持つ人から学ぶことで、自分も進化できる
同化して流されてしまうと、その社会や文化を客観的に見られなくなり、結果的にその社会や文化に対して価値を与えられなくなります
現代は誰かが誰かの自由を奪う時代ではなく、自分の行動によって自由が奪われてしまう時代、自分で自分を縛る時代
どうしてそこまで焦りや不安を感じているのか。大きな背景として、若い世代の人たちは、社会から常にマーケットバリュー、つまり自分の市場価値を問われていることがあります
「自分が何をしたいか」ではなく、「自分は何を求められているか」を基準に、自分の行動を決めているのです。それは、本当に自由なのでしょうか
世の中に認めてもらえる力をつけるのではなく、自分たちが世の中の仕組みを変える力をつけることが重要
世界の問題と日本の問題は、「地続き」になっていると捉えるべき
「目標は、自分自身のためにあります」ということ。目標を達成することで自分が何を得られるか、を考えるべきです
多様性が求められる世界は、「学問領域の経験」がものをいう世界
旅を「答え合わせ」にしない
疑問を抱くことが自分だけの「哲学」になる
マリにはユニークな挨拶の習慣があります。朝学校に行く前に、自分より年上の人と顔を合わせたら、全員と挨拶をしなければならないのです
人間関係はコミュニケーション能力以前に、「きっかけ」を作れるかどうかが重要
私は国民国家という概念に未来を見出していません。地域共同体の中で、血縁とも無関係な、例えば興味や関心によって結びついた小集団が複数構成されていくのではないか
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巻末には、<「これからの世界」を掴むための推薦書>が載っているのですが、読んだことのない本もかなり含まれていて、興味を持ちました。
これからは、一企業がどう儲けるか、を超えて、社会をどうするかまで考えて活動したいので、公共性に関する書物は積極的に読んでいこうと思いました。
古代ローマや、かつてのアメリカがそうであったように、「多様性」は社会が発展するための原理。
ぜひ読んで、考えたいものです。
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『「これからの世界」を生きる君に伝えたいこと』
ウスビ・サコ・著 大和書房
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479797319/
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◆目次◆
はじめに 自分の核を見失わずに、変化し続ける
第1章 不確実で多様化する世界で、どう生きるのか?
第2章 多角的でブレない価値観を築く「学び」
第3章 人種・文化を越える「コミュニケーション」
第4章 激変し続けるグローバル社会で「働く」
おわりに ボーダーなき世界を生きる
「これからの世界」を掴むための推薦書
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