2020年5月26日

『経済と道徳』渋沢栄一・著 vol.5521

【渋沢栄一の思想】
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2024年に予定されている新一万円札、そして2021年の大河ドラマ「青天を衝け」の主人公に渋沢栄一が選ばれたということで、本日は、渋沢栄一の思想をご紹介します。

ご存知のように、渋沢栄一は「日本資本主義の父」と呼ばれる方で、日本最古の銀行「第一国立銀行」をはじめ、理化学研究所、東京証券取引所など計500もの企業を創設した大実業家。

同時に約600の社会公共事業に携わり、ノーベル平和賞の候補にも2度選ばれています。

新型コロナウイルスの影響であぶり出された我が国の課題の解決と、古い組織を刷新する必要性から、今後また起業ブームが来ると予想されますが、起業家はぜひこの渋沢栄一の思想に触れておきたい。

ということで本日は、その渋沢栄一の生前の口述をまとめ、死後7年にあたる昭和13年に出版された『経済と道徳』をご紹介。

何となく時代背景が似ていることもあり、今読んでも新鮮な印象を受ける書籍です。

渋沢翁の「道徳経済合一」の考え方、経営哲学がよくわかる内容で、起業家、起業家予備軍は読んでおくと背筋が伸びると思います。

さっそく、本文の中から気になったポイントを赤ペンチェックして行きましょう。

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仁義道徳も悪くすると亡国に相成る

徒に空理空論に走り虚栄に赴く国民は、決して真の発達をするものではない。ゆえに我々は、なるべく政治家や官僚などが徒に跋扈せずに実業家がなるべく勢力を進むる様に希望する。これが充分でなければ国家は進歩を為し得ない

貨幣の第一の要件として、貨幣そのものの実価と物品との値とが等しくなければならぬ

貨幣は物の代表であるから、物と同じく貴ばなければならぬ

堅固正当な目的を持て

常に時勢の進歩に遅れざるよう実力を養い、修養を怠らず、もって磁石力の強大な有用の人物となるの心掛けが必要

青年に理想がなかったならば、青年としての存在の意義をなさない

世の中は絶えず動いている。従って社会の進歩発達を期するには、時代に適応した人物を要すること勿論である。時代に適応した人物とは、言うまでもなく新人を意味するものであって、新人が出て絶
えず世の中の空気を新しくし、向上進歩を計るところに国家社会の進歩発展があり、人類の幸福増進もまた此処に育くまるるのである

人間が世に立つには志を一つにしなければならぬのに、現代青年の多くは目前の小利に囚われて、これを二つにも三つにもして平然としているばかりでなく、かえってこれを世渡り上手の如く心得ているが、これは自分の信用を篤くする上において大いに顧みねばならぬ点である

資産は無いより有る方が結構であるけれども、一人の資産には限りがある、その限りある資本を頼りにするよりも、限りのない資本を活用するの心掛けが肝腎である。そして限りなき資本を活用するの資格は何であるかというに、それは信用である

元来人間というものは、物質と精神とから成っているものであるから、従ってその教育というものも、やはり物質方面と精神方面との二つに分かるべきものであると思う。その二つの方面が均衡を得るというところに完全な教育が生れるものではあるまいか

事業を経営するについては、すべて無駄のないように、二重の手数を掛けないようにしなければならぬ

◆事業計画に必要な条件
1.計画せる事業が、果たして今日の世の中に必要であるか、かつ公益的の性質のものであるか
2.その仕事が道理上正しく、かつ社会に必要なことであっても、果たして時代に適応しているかどうか
3.資本が確実に得られる成算があるか
4.その事業を営むに当って、首脳となりて全責任を負い、十分信頼するに足る人物があるかどうか

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時代が大きく変わる時に事業を始める心構え、誰を起用するかという視点、時流を捉えることの本質など、経営者として大いに勉強になりました。

古い本ではありますが、社会的意義を求める若い世代には刺さる内容だと思います。

もちろん、「若い世代に人気の会社にしたい!」という経営者にもオススメです。

ぜひ読んでみてください。

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『経済と道徳』渋沢栄一・著 徳間書店

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◆目次◆

論語と算盤一致論
富者の要務
堅固正当な目的を持て
天は自ら助くる者を助く
現代青年の短所と通弊
青年と責任観念
資本よりも信用
訓育上における思念
勘忍強くなるように修養した体験
克己心を修養した体験(ほか)

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