2020年2月12日

『ブリッツスケーリング』 リード・ホフマン、クリス・イェ・著 ビル・ゲイツ・序文 滑川海彦、高橋信夫・訳 vol.5453

【これぞベンチャー成長の教科書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822288595

本日ご紹介する一冊は、リンクトイン創業者であり、エンジェル投資家として初期のフェイスブック、ジンガに投資、現在はエアビーアンドビー、オーロラ、マイクロソフトなどの取締役も務めるリード・ホフマンと起業家・著作家・メンターのクリス・イェによる共著。

話題となった『リーン・スタートアップ』に続き、シリコンバレーで注目される急成長起業のコンセプト、「ブリッツスケーリング」を解説した、初の書籍です。

※参考:『リーン・スタートアップ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822248976/

「ブリッツスケーリング」というのは、ドイツ語のブリッツ(=雷)に由来する言葉で、第二次世界大戦の初戦でナチス・ドイツのハインツ・グデーリアン陸軍大将が指導したブリッツクリーク(電撃戦)を比喩に使った戦略論。

本書によると、<ブリッツクリークは全面攻勢の戦略であり、燃料、弾薬、食料その他資材の補給が追いつかなくなるという破滅的な危険を冒して、前進速度と衝撃の最大化を図った。攻撃側の前進速度があまりに速いため、防御側は不意をつかれて戦線は大混乱に陥り、攻撃側に最大限の行動の自由を許す結果となった>そうです。

本書では、シリコンバレーや深センの急成長ベンチャーの事例を挙げながら、ブリッツスケーリングの実際的なやり方を解説しており、じつに刺激的。

さすが自ら起業して成功し、ベンチャーキャピリストとしても活躍中の著者だけあり、アドバイスが具体的です。

これから起業する人は、ぜひ読んでおくといいでしょう。

さっそく、気になる部分をチェックして行きましょう。

—————————-

世間は、安定的に利益を計上しないまま資金を浪費しているとアマゾンの戦略を長年避難してきた。しかしこの「非効率」こそがアマゾンの急成長を支え、電子書籍、オンライン通販、クラウド・コンピューティングをはじめとする重要マーケットを勝ち取らせる原動力になったはずだ

ブリッツスケーリングは実行が難しい。マイクロソフトやグーグルのように当初から無尽蔵に近い収入を得られた幸運な例を別にすれば、資金を外部から導入する必要がある。起業家は、指数関数的に巨大化していく資金の必要性を投資家に納得させねばならない

ブリッツスケーリングではひとつのビジネスが成功したことに安住してはならない。成長曲線を維持するには第二弾のブリッツスケーリングが必要だ

結局、カギとなるのは、新しいテクノロジーを潜在的な顧客に効果的に提供する方法と急速に巨大化しても高い利益率を維持できるビジネスモデルだ

◆成長を最大化する4つの成長要因
1.市場規模
2.ディストリビューション
3.粗利益率の高さ
4.ネットワーク効果

◆5種類のネットワーク効果
1.直接的ネットワーク効果
使用量が増えると、価値が直接的に高まる)
2.間接的ネットワーク効果
(使用量が増えると、補完材の消費を促し、間接的にプロダクトの価値が高まる)
3.双方向ネットワーク効果
(あるユーザーグループによって使用量が増えると、別の補完的なユーザーグループの価値を高める)
4.ローカルネットワーク効果
(一部のユーザーグループの使用量が増えると接続ユーザーの価値が高まる)
5.互換性と標準規格
(あるプロダクトの使用が増えると、それと互換性のあるプロダクトが有利となる)

◆確立されたビジネスのパターン
1.モノではなくビットが重要
2.プラットフォーム
3.フリーミアムモデル
4.マーケットプレイス
5.サブスクリプション
6.デジタルグッズ販売
7.フィード

◆ビジネスモデル・イノベーションを成
立させる法則
1.ムーアの法則
2.自動化する
3.最適化ではなく適応に重点を置く
4.反逆的思考をもつ

遠い昔から、カスタマーサービスの基本法則は「顧客は常に正しい」だった。しかし、ブリッツスケーリングを実行する企業にとっての基本法則はこうだ。「自
分の仕事が遅れない限り、どんなカスタマーサービスでも提供しろ──それには、サービスをしないことも含まれる」

—————————-

じつにワクワクする論考+実践アドバイスですが、読んで理解した限り、これを実行するには相応の知性と胆力、人脈とコミュニケーション力が必要だと感じま
した。

最近、マーケター+金融マンの組み合わせのベンチャーを多く目にしますが、それもこのブリッツスケーリングを実行するための要件を示していると思っています。

いよいよ起業家も勉強しないと成功がおぼつかない時代になってきました。

何事も勉強あるのみですね。

良書です。ぜひ、読んでみてください。

———————————————–

『ブリッツスケーリング』
リード・ホフマン、クリス・イェ・著 ビル・ゲイツ・序文
滑川海彦、高橋信夫・訳 日経BP

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822288595/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B084JLRRN8/

———————————————–
◆目次◆

序文 ビル・ゲイツ
イントロダクション
第1章 ブリッツスケーリングとは何か?
第2章 ビジネスモデルのイノベーション
第3章 戦略とイノベーション
第4章 マネジメントのイノベーション
第5章 さまざまな分野のブリッツスケーリング
第6章 責任を伴うブリッツスケーリング
最後に
謝辞
訳者あとがき
付録A 情報開示
付録B ブリッツスケーラー一覧
付録C CS183C クラスの小論文

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー