【これが世界標準のお金の教養】
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ことあるごとにセミナー等でお話していますが、この国では、学校で決して教えない「2つのこと」があります。
それは、「哲学」と「お金」。
厳密に言うと、哲学は「倫理」という名で多少教えられますし、お金も数学で一部学びますが、どちらも扱いがマイナーなのと、本質的なところは教えてもらえない。
つまりこの国のスタンダードに従うと、「疑わない、お金に疎い」人間に育ってしまうのです。
2019年現在、日本では生産性に関する議論が活発ですが、生産性を飛躍的に向上させるイノベーションは疑うことから生まれてきますし、お金を学ばずして生産性の向上もあったもんじゃありません。
そこで読んでおきたいのが、本日ご紹介する『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』。
「全米の学生が学んできた」「アメリカの高校生が学んでいる」の根拠が希薄なのは気になりますが、確かに良いことが書かれています。
もともとは投資ファンドの最高財務責任者も務めたファイナンシャルアドバイザーの著者が、「娘にお金のことを教えてもらえないか」と親戚の男性に依頼されて書いたものらしいですが、社会人になる前に知っておくべきお金のことが丁寧に書かれています。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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お金の計画とは、「自分がお金を使って何をしたいか」ということだ
世の中に出回っているすべてのお金のことを「マネーサプライ(実際に世の中に出回るお金の量)」と呼ぶ(中略)銀行が金庫に持っているお金や、銀行同士の取引で使われるお金も、マネーサプライに含まれる。国のマネーサプライは重要だ。アメリカの場合、狭義のマネーサプライ(現金と預金の合計)はだいたい3兆ドルになり、
これがGDP18兆ドルの経済を支えている
そもそもなぜインフレのことを気にしなければならないのだろうか。それは、インフレになると「購買力」が下がるからだ。自分が持っているお金で、何がどれくらい買えるのか知るために、インフレの状況にはつねに目を光らせていなければならない
まず覚えておかなければならないのは、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーを名乗る人の多くは、特定の金融機関や保険会社からお金をもらって契約しているということだ。だから、自分が契約している金融機関の金融商品や、保険会社の保険をあなたに売ろうとする
お金はたしかに大切だが、他のすべてを犠牲にして追い求めるのは間違っている
本当に大切なのは喜びと幸せに満ちた意義深い人生を送ることであり、お金はその手段でしかない
職業をベースとしたキャリアを歩んでいる人は、人的資本がしっかりしていれば、勤め先が変わっても立派に通用するので、キャリアアップのための転職を望むことができる
おすすめできないキャリアの選択は、「職業と業界の両方を変える転職」だ
取引が記録されるのは、お金を払った日付ではなく、取引が発生した日付だ。そして取引より遅く入ってくる収入は「売掛金」、取引より遅く払う支出は「買掛金」と呼ばれる
副業を始める前に覚えておいてほしいことがある。それは、LLCを設立するということだ。LLCにすれば有限責任になるので、何か問題が起こったときに自分の資産を守ることができる
良好な経済とは、生産、消費、貯蓄、投資のすべてが活発に行われることだ
詐欺を見分ける手がかりはふたつある。ひとつはリターンが高すぎること、そしてもうひとつは運用成績が安定しすぎていることだ
宝くじも、カジノも、ファンタジースポーツも、すべて胴元が儲かる仕組みになっている
火災保険で注意したいのは、家財を補償する場合、「再調達価額」を補償してくれるのか、それとも「時価額」を補償してくれるのかという点だ
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お金に関する「基本」の基準が、アメリカと日本でここまで違うのか、と愕然としました。
皮肉な話ですが、読者が本書を読んで、内容をそのまま話したとしたら、学生はおろか、若い社会人からも尊敬されること、請け合いです。
税制など、アメリカと日本で違う部分は注釈が欲しかったですが、基本的な考え方を学ぶには有意義な本だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』アンドリュー・O・スミス・著
桜田直美・訳 SBクリエイティブ
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815602913/
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◆目次◆
推薦者まえがき(橘玲)
謝辞
第1章 お金の計画の基本
第2章 お金とキャリア設計の基本
第3章 就職、転職、起業の基本
第4章 貯金と銀行の基本
第5章 予算と支出の基本
第6章 信用と借金の基本
第7章 破産の基本
第8章 投資の基本
第9章 金融詐欺の基本
第10章 保険の基本
第11章 税金の基本
第12章 社会福祉の基本
第13章 法律と契約の基本
第14章 老後資産の基本
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