【注目の一冊。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396617062
本日ご紹介する一冊は、セルジオ・ピニンファリーナの下でフェラーリ・エンツォやマセラティ・クアトロポルテをデザインし、独立後は秋田新幹線、北陸新幹線、トランスイート四季島、ヤンマーのトラクター、鉄瓶、眼鏡などのデザインを手掛ける奥山清行さんによる、ひさびさの新刊。
『フェラーリと鉄瓶』は、じつに面白い本でしたが、今回の本はちょっと趣向を変えて、ビジネスにおけるデザイン思考を説いています。
※参考:『フェラーリと鉄瓶』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569674135/
ダイソンが「掃除をすること自体の楽しみ、喜び」をデザインしたという話や、自身がトラクターで「日本の農業を変え、新しい農業をつくり出す」ことを意図したという話を読んでいるうちに、「あ、これは優れたコピーと同じだ」と思いました。
つまりデザインもコピーも、本当にヒットするものは、競合とは違う価値を売っている。
著者は、そこにデザインのポテンシャルを見ているのです。
つまり、デザインには「顧客と市場の創出」をする力があるということです。
では、どうしたらそんなデザインができるようになるのか。そのための技術を事例を交えながら書いたのが、本書『ビジネスの武器としての「デザイン」』です。
支持されるブランドがやっていることとは何か、プロの立場、作り手の立場から書かれていて、勉強になります。
さっそく、内容をチェックしてみましょう。
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デザインには「What(何を)」と「How(どのように)」の二つの領域がある
では、そのWhatを明確化したり、構築したりするものは何だろうか。意外に思われるかもしれないが、それこそが「言葉」である。私はそれを「言葉のデザイン」と呼んでいる
日本のビジネスパーソンは、もっと言葉の力を磨いて、はっきりとデザインのためのコンセプトやアイデアを示せるようにならなくてはいけない
「ニーズ」ではなく、「ウォンツ」を刺激せよ!
ごみを見せたい──当社のサイクロン掃除機はこれだけごみが取れる、とビジュアライズ(視覚化)してお客に見てもらえる。すると結果的に、掃除がまた楽しくなる。ダイソンは「私の名前をつけた会社なのだから」と言って社内の反対意見を説得し、ごみの見える掃除機をつくって販売した。それが大ヒットした
ダイソンはただの掃除機をデザインしたようでいて、実際には「掃除をすること自体の楽しみ、喜び」をデザインしていたのだ
ソニーは、好きなときに好きな場所で好きな音楽を楽しみたいという潜在的需要を見出した。ウォークマンは、家電業界の誰も気づかなかったウォンツから生まれた商品なのである
子ども→奥さん→お父さんの三段論法である。実は、「まるで『ガンダム』のようだ」と形容されたコンセプトトラクターの狙いは、子どもに「カッコいい」と言ってもらうことにあったのだ
モノもサービスも飽和した日本のビジネス環境の中で、新たな需要を生み出すためには、ウォンツを見つけ出すこと、そしてそのウォンツをもとにした「顧客と市場の創出」が欠かせない
いきなりプレミアムやラグジュアリーをつくろうと思っても難しいのが現実だ。そこで私が提案したいのが、まずはコモディティとプレミアムとの中間にある「プレミアム・コモディティ」をつくることだ
端的に言ってしまえば、ラグジュアリーブランドの商品というものは、買ったときよりも価値が上がるものである
要するに現状の日本のモノづくりは、100個とか1000個というレベルでのオーダーに対して、上手に利益を出せる構造になっていない
フラッグシップは売り上げや利益にとらわれてはいけないのだ。あくまでもそのブランドの象徴としてイメージ戦略を担い、顧客や消費者のウォンツを刺激し続ける存在でなくてはいけない
そのブランドが築いてきた「ヘリテージ(遺産)」も、アイデンティティや核となり得る
1を知って100を想像するのが人間の能力だと私は思う。そのためにも、まず1を知るために現場に足を運ばなくてはならない
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マーケティングをかじった人なら、割と聞いた話も多いと思いますが、ブランドの裾野を広げる「プレミアム・コモディティ」という考え方や、市場創出、ブランディングの手法が参考になりました。
どうデザインするかの前に、何をデザインするのかを考える。
ビジネス的にも、良いヒントになる本だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『ビジネスの武器としての「デザイン」』奥山清行・著 祥伝社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396617062/
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◆目次◆
Prologue 「デザイン」を理解せずに、これからの「ビジネス」はできない
Chapter0 なぜ、今「デザイン」が求められているのか?
Chapter1 デザインを武器にするための「言葉のデザイン」
Chapter2 イノベーションを生み出す「ウォンツデザイン」
Chapter3 価値をデザインする「ブランド戦略」
Chapter4 感動にして届ける「ストーリーデザイン」
Chapter5 実際に「ビジネス」を「デザイン」するプロセス
Chapter6 未来の社会をいかにデザインするか
Epilogue 一番大切な人の5年後の誕生日プレゼントを考えてみよう
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