【働きがいを追求したモノ作り実例集】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295007463
昨日、ディスカヴァー干場社長の『楽しくなければ仕事じゃない』で、生産性の罠について紹介しておきながら、あえて紹介する小商い関係の本。
※参考:『楽しくなければ仕事じゃない』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492046577/
※ちなみに生産性の罠について指摘した部分はこちら
注意したいのは、これまで一〇のコスト(時間)で一〇〇のパフォーマンスを上げていたものを、八のコストでできるようになったら、たしかに生産性は上がる。でも、六のコストで七〇のパフォーマンスを上げるようになった場合でも、生産性は上がったことになるのだ
本日ご紹介する一冊は、『ほどよい量をつくる』ことで理想の商売が実現できている企業の例を、ライターが紹介した一冊。
発行点数を編集者あたり年3~4冊に絞ることで驚異の増刷率7割を実現している兵庫県明石市の出版社「ライツ社」、メディアで話題の1日100食しか作らない食堂「佰食屋」、あえて新規就農者の農産物を中心に扱う野菜の流通販売企業「坂ノ途中」、40本入り1万円の贈答用豪華花火セットを作り、大成功した筒井時正玩具花火製造所など、興味深い事例が丁寧な取材で紹介されており、じつに読み応えがあります。
これらの企業事例に加え、変わる消費者意識に対応するビジネス原則、企業の行動原則を著者がまとめており、再現性が高いのも特長。
これからビジネス、働き方をどうシフトすればいいのか悩んでいる
経営者、ビジネスパーソンに明確な視点を示してくれる一冊です。
興味深いのが、本書の事例がすべて「小さくまとまった」ものではなく、理想にしたがってオーガニックグロースが実現できるビジネスモデルも紹介されていること。
読めば、きっと良いビジネスヒントが見つかることと思います。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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買い手の嗜好も変わってきている。“よりたくさん”ではなく“好みのものを必要なだけ”“買って捨て”ではなく、“長く使えるもの”を。買う行為を通して他者とコミュニケーションしたい。できるだけゴミの出ない循環できるものを……などなど。そうした買い手とつくり手の思いが交差するところに、「ほどよい量」がある
「つくる人自らが売る」製造小売業や、すべて買い取りで仕入れをする小売店は、何としても売り切らなければならないので、仕入れの段階から本気度が違う。お客さんに、商品の価値の伝わる売り方をしようと工夫を重ねている
「ライツ社でも一〇万部や一〇〇万部をめざしてはいます。でも、社員の多い出版社の場合、一〇万部売れても売上をその人数でシェアしなければいけない。うちは一万部でも四人で配分すればいいとも言えるので、ある程度『売れた』と考えられる。すると、出す本の内容も幅が広がります。誰のためにつくるかによってパイも異なるわけで、部数は絶対の指標ではないんです。売上のために、出したくない本を何冊も出すことはしません」
菅谷智社長が値段を上げるにあたって導入したのが「一秒一円」という独自の換算基準だった。交渉時にクライアントに納得してもらいやすいよう、作業にかかる時間を数字で表すようにしたのである。(中略)工場内の目標数値も、個数ではなく金額で表示した。マーヤの工場のホワイトボードには「本日の目標生産額○○円」といった金額が記載されている
わざわざではパンだけでなく、三〇〇〇点の日用品や食品を販売している。メーカーから仕入れるものもあれば、自社で工場に依頼して生産するオリジナル商品もある。この、各商品のセレクト方法が徹底している。すべてのモノを平田さんもしくはスタッフが入念にリサーチして、しっかり使い込んだ上でなければ検討の土俵にのらない。一年かけて使用感や劣化具合を確かめ、納得できる品のみを仕入れる。「ジーパンなどは最低一年近くはいてみなければ何度も洗った後がわからないし、ヤカンなども使い込むとこんな感じに変化しますよって経年変化の過程まで掲載して見ていただくようにしています」
思いを理解してくれる相手と取引をする
買い手も安さよりフェアさを求めている
一回買ってくれる一万人より一〇〇回買ってくれる一〇〇人
「買える権利」をもらえるクラウドファンディング
お客さんに商品開発にも携わってもらう
買い手の細かいオーダーを受けてものづくりするメーカーが増えている。たとえば「All for Me(オールフォーミー)」は、好みのデザインや体のサイズにジャストフィットした下着をつくることを売りにした女性用の下着メーカー。(中略)デメリットは、オーダー品なので、注文してから時間がかかること。六~七週間を要する。南青山でフィッティングサロンと称する試着兼オーダー会も頻繁に行われていて、予約はすぐに埋まってしまうほど人気だという
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ライター、ジャーナリストがまとめた企業事例集は、自ずとそこに時代を貫くテーマ・キーワードが浮かび上がってくるものですが、本書もまた、そんなヒントを与えてくれる一冊です。
事例を読むたびにインスピレーションが得られるのと、何より自分が「理想の商売をしたい!」と心から思える内容です。
ぜひ、読んでみてください。
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『ほどよい量をつくる』甲斐かおり・著 インプレス
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4295007463/
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◆目次◆
I つくる量と価格を決める
1章 つくる量を減らす
2章 ほどよい量を探る
3章 価格を適正に上げる
II お客さんとつながり直す
4章 プロセスを見せる
5章 つくる人が売る
6章 コミュニティ経済圏を築く
III 届け方を変える
7章 物流をデザインする
8章 売り場を変える
9章 違う相手に届ける
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