【何かを成し遂げたい人に】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163910670
本日の一冊は、数々の偉業を達成し、2019年3月21日に引退した、イチロー選手の言葉をまとめたインタビュー集。
雑誌『Number』等に綴った38編のインタビューが元になっており、2010年に出された『イチロー・インタヴューズ』の増補改訂版にあたる一冊です。
イチローがメジャー行きを決め、オリックスを引退した2000年10月から、引退する2019年3月まで、その軌跡を追った記者がまとめており、テレビだけではわからないイチローの本音に迫ることができます。
ジャンルが違っても、成功する人には共通の精神や心構え、スタンスがあるものですが、本書ではイチローのそれがよくわかります。
たとえば、「まえがき」に書かれている、「自分がカッコいいと思うところがあるとしたら、どんなところか」という質問に対する答え。
「たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな」
という言葉には、本当に心を打たれました。
人間、経験を重ねてくるとつい、惰性で仕事をしてしまいそうになる時がありますが、現役中、常に真剣勝負だったイチローの精神に触れると、背筋がピンと伸びる思いがします。
読者が何かを成し遂げたいと思うなら、本書は必読の内容です。
さっそく、内容をチェックして行きましょう。
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かつて、自分に与えられた最大の才能は何だと思うか、とイチローに聞いたことがある。彼は「たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目が回ってきて欲しいと思える気持ちかな」と言った
メシのタネに野球をやっている選手では、絶対にここまでは来られないと思う。野球が生活の手段になってしまったら、もっと前に進みたいという気持ちは薄れてしまう
何かにくっついている人ではなくて、自分の力で何かをしようとする人たち、実際にしている人たち。『何かになりたい』と思っている人たちではなくて、『何かをやりたい』と思っている人たちです
強いチームって、個人があってチームがあると思うんです。個々が持っている力を発揮して、役割を果たして、それが結果としてチームの力となる。でも、弱いチームはそうではない。個人の力が発揮されない、だから勝てない
気持ちよく野球をするためには、環境もすごく大事なんです。選手って、環境によって思いもしないやる気が漲ってきたり、とんでもない力が生まれることだってある
そうしたらね、弓子が、僕が孤独だったら孤独じゃない人なんて一人もいないって言うんです。僕ほど見えないところで応援してもらっている選手はいないって……僕はそのとき、自分の目で見えるところにしか、目が向いていなかった
勝てるチームを求めてチームを移るという考え方もあるでしょう。でも、そうじゃない考え方だってある。どっちも正解なんですよ
僕は常に、人のちょっと先を行かなければいけないと考えています。何かをする側が後をついていくようではまずいからね
力が抜けることで、人とは違う雰囲気が出るんじゃないかなって。それができれば見ている人は楽しいはずです。『アイツ、次元が違うな』ってなる可能性がある。それが僕の目指すところです。数字に縛られているとギスギスして見えるし、そういう雰囲気は出ない。数字から解放されて初めて、それを出せるようになるんです
人の心を動かすとか、勇気を与えるとか、感動を与えるとか、よく言われるフレーズですけど、そんなこと無理なんです。それは、目的にはできない。目的となったら、そんなこと、達成できるわけがない。なるとしたら結果的に、でしかない。だから僕はそんな想いは持てないんです
破壊を経ないと成熟しないんじゃないかという考え方です。このまま持ち上げられて、時間が経ったら、僕はダメ人間になります。だからいろんなものを壊したい
同じ言葉でも、誰が言っているかによって意味が変わってきます。だから、まず言葉が相手に響くような自分を作らなければならないと考えています
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元々が雑誌『Number』のインタビュー記事だということもあり、野球に興味がない人だと読むのが(多分)辛いですが、プロフェッショナルがどう仕事に向き合ってきたか、その精神を知る良いきっかけになると思います。
イチローの言葉は、これまでにも度々ベストセラーになっていますが、本書もまた、人々を励まし、ベストセラーになる可能性のある内容だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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『イチロー・インタビューズ 激闘の軌跡』
石田雄太・著 文藝春秋
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163910670/
<Kindleで購入する>
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◆目次◆
第1章 飛翔 2000‐2002
第2章 試練 2003‐2005
第3章 栄光 2006‐2007
第4章 結実、そして転機 2008‐2014
第5章 偉業、そして決断 2015‐2019
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