【天才・岩田聡の言葉】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4865014225
本日ご紹介する一冊は、2015年7月11日に惜しくも亡くなった天才プログラマー、任天堂元代表取締役社長、岩田聡さんの言葉をまとめた一冊。
巻末には、「特別収録」ということで、宮本茂さんと糸井重里さんのインタビューが載っています。
数々の傑作ゲームを生み出し、任天堂の社長に就任してからはニンテンドーDS、Wiiといったゲーム機を世界に送り出した岩田さんが、いったい何を考え、実行していたのか。
天才の思索の一端に触れられる、貴重な一冊です。
岩田さんは、人間の「上達」や「才能」について、こんな言葉を残しています。
<人間はやっぱり、自分のやったことをほめてくれたりよろこんでくれる人がいないと、木には登らないと思うんです>
以前、直木賞作家で秋田高校の先輩、西木正明さんにお会いする機会がありましたが、国語が苦手だった西木さんを作家の世界に導いたのは、「西木、お前は面白い文章を書くな」という、高校の国語の先生の言葉だったそうです。
岩田さんは、さらにこう述べます。
<才能というのは、「ご褒美を見つけられる能力」のこと>
本書では、そのご褒美の見つけ方について、たくさんのヒントが示されています。
プレイヤーが読んでも、マネジャーが読んでも、じつに勉強になる一冊で、これはぜひみなさんにおすすめしたい。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
———————————————–
人間はやっぱり、自分のやったことをほめてくれたりよろこんでくれる人がいないと、木には登らないと思うんです
仕事で出会ういろんな人たちに敬意を持って接することが、自分の仕事をおもしろくしてくれる
マネジメントなんか大嫌いで、「ものづくり一筋の職人としてやっていきたい」と言ってたような人が、「人にものを教えるのは、おもしろいなぁ」って、変わっていくのをわたしは何度も見てきました
才能というのは、「ご褒美を見つけられる能力」のこと
たとえば、ある料理店で、お客さんが出てきた料理について「多い」と言ってる。そのときに、「多い」と言ってる人は、なぜ「多い」と言ってるのか。その根にあるのは、じつは「多い」ことじゃなくて、「まずい」ことが問題だったりするんです
「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。いちからつくり直していいのであれば、半年でやります」
「大人も子供も、おねーさんも。」これは、糸井重里さんが書いた『MOTHER2』のコピーです。わたしが完成に関わり、糸井さんと出会うきっかけになった『MOTHER2』のこのコピーは、わたしが
任天堂の社長になってから掲げた「ゲーム人口の拡大」というコンセプトにつながっていくことになります
携帯機、据置型ゲーム機も含めて、同じようなものをつくってても、個性はない。個性がないところには価格競争が起こるだけだ
わたしが見つけた「天才の定義」があります。「人が嫌がるかもしれないことや、人が疲れて続けられないようなことを、延々と続けられる人」、それが「天才」だとわたしは思うんです
わたしはWiiを開発するにあたって、「家庭内でゲームが敵視されないようにするためにはどうしたらいいか」ということを延々と考えてきたんです
もう一度時計を巻き戻しても同じものをつくる。
『ワリオ』の合言葉は、任天堂ができないことをやる。
「なぜテレビのリモコンは家族みんなが触るのにゲーム機のコントローラーは触らないのか」というのは、Wiiを開発するうえでの大事なコンセプトでした
そもそも、ライトユーザーとかコアユーザーとかを、切り離して考えるべきではないとわたしは思うんです。だって、全員、最初はライトユーザーじゃないですか
人間って、自分がしたことに対してフィードバックがあると、それによってつぎの動機が生まれるんですね。逆にいうと、フィードバックのないことって続けられない。人は、フィードバックというご褒美を得て動いているんです。
──名刺のうえでは、わたしは社長です。
頭のなかでは、わたしはゲーム開発者。
しかし、こころのなかでは、わたしはゲーマーです。
———————————————–
岩田聡さんの天才性とお人柄が同時に伝わる良い本だと思いました。
優れた作り手は、テクニックもそうですが、何よりも思想が違う。そしてそれを支える心根が違う。
「天才」の根本にあったのは「優しさ」だったんだということがよくわかりました。
クリエイティブに関わる人はもちろん、すべての仕事人におすすめしたい一冊です。
———————————————–
『岩田さん』ほぼ日刊イトイ新聞・編集 ほぼ日ブックス
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4865014225/
———————————————–
◆目次◆
第一章 岩田さんが社長になるまで。
第二章 岩田さんのリーダーシップ。
第三章 岩田さんの個性。
第四章 岩田さんが信じる人。
第五章 岩田さんの目指すゲーム。
第六章 岩田さんを語る。
宮本茂が語る岩田さん
糸井重里が語る岩田さん
第七章 岩田さんという人。
この書評に関連度が高い書評
この書籍に関するTwitterでのコメント
お知らせはまだありません。