【修羅場を乗り越える力】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478106282
本日ご紹介する一冊は、債務超過に陥った日本電子株式会社の子会社、日本レーザーの再生を任された、近藤宣之さんによる再生ノウハウ物。
著者は、社員のモチベーションを高める視点から親会社の取締役の職を辞し、かつ役員、正社員、嘱託社員が株主となる日本初の「MEBO(Management and Employee Buyout)」を実施した人物ですが、本書には、その経営哲学と手法がまとめられています。
再生の現場で最初にやるべきこと、在庫を減らす方法、社内ルールの見直し、外部との交渉など、実践的なノウハウが書かれています。
また、うまく行っていない職場で起こりがちな取引・金銭のトラブル、腹心の裏切り、従業員の問題行動にどう対処するか、その具体的テクニックも書かれています。
リスク管理、資金調達、マーケティング、労務管理など、さまざまな視点で中小企業経営の実際がまとめられており、経営者はもちろん、これから起業する人にも役に立つでしょう。
前作『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』と重複する内容もありますが、気にならない程度です。
※参考:『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478101590/
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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再建を任された「雇われ社長」や、親から引き継いだ2代目社長がいきなり乱暴な再建に取り組むと、社員の総スカンを食らうことがあります。したがって、「じっくり観察」をしてから、対応策を検討することが大切です
会社を立て直すには、「先にP/L、次にB/S」
●在庫を増やさない6つの方法
(1)定期的に棚卸しをして、在庫状況を正確に把握しておく
(2)「原価率を下げることになる」からといっても、まとめ買いはなるべくしない
(3)販売促進用のデモ機などは、設備化して、減価償却をしていく
(4)在庫品が売れなくなる前に、値引きキャンペーンをして売り切る
(5)不良在庫は利益を削って除却処分する。その分、利益が減少するのを見込んでおく
(6)「帳簿には計上されているが、現物がない」といったずさんな管理をしない
簡単に商権を持ち出せる「スキ」があった
社長は迷わず「損の道」を進め
●経営における聡明さ……的確な状況判断をすること
●経営における善良さ……損得ではなく「正しいか、正しくないか」で決断をすること
退職金は、「実力」に応じて支給額を増やす
順調な事業であっても、長く経営を続けていれば資金に窮する局面はある。そのときのために、「必要のないお金」も借りておき、銀行との関係を良好に保つことが大切
一行取引は危険! 都銀、地銀含め3行と取引を
◆なぜ3月決算が最悪なのか
(1)受注と納品が集中する
(2)納税によってキャッシュフローが悪化する
(3)追徴金を支払うことになりかねない
最も利益が出る月を最終四半期にするのではなく、「最も利益が出る月を第1四半期に入れる」と銀行の格付けも資金繰りも安定します
◆「下位の20%を切ってしまうと、かえって組織力が下がる」理由
(1)残り80%の社員のモチベーションが低下するから
(2)下位20%は、他の社員に気づきを与えてくれる存在だから
後ろ盾を持たない中小企業が大型案件に手を出すと、たった一度の未回収で倒産に追い込まれることがありますので、注意してください
下請け、孫請けの中小企業が自主自立して生き残るには、次の2つの方法しかありません。
(1)「自社ブランド品」を持つ
(2)「販売網」を広げる
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他の企業再生本でも書かれている内容ではありますが、企業再生のための応急手当から、健全経営を実現するまでの流れが丁寧に体系立てて書かれており、じつに勉強になります。
そして、何よりも著者が体験した「修羅場」エピソードが面白い。(こういっては何ですが…)
経営をすると、理不尽なことを経験したり、人間の醜さを目撃したりすることが多いですが、それも含めて人生はエンターテインメント。
ぜひ読んでみてください。
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『倒産寸前から25の修羅場を乗り切った社長の全ノウハウ』
近藤宣之・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
第1章 二一世紀のメタスキル
第1部 基礎と障壁
第2章 自己認識の解剖学──インサイトを支える七つの柱
第3章 ブラインドスポット──インサイトを妨げる目に見えない心のなかの障壁
第4章 自分教というカルト──インサイトを阻む恐ろしい社会的障壁
第2部 内的自己認識──迷信と真実
第5章 「考える」=「知る」ではない──内省をめぐる四つの間違った考え
第6章 本当に活用可能な内的自己認識ツール
第3部 外的自己認識──迷信と真実
第7章 めったに耳にしない真実──鏡からプリズムへ
第8章 予想外の厳しいフィードバックを受け止め、向き合い、行動に移す
第4部 より広い視点
第9章 リーダーがチームと組織の自己認識を高める方法
第10章 思い込みにとらわれた世界で生き抜き成長する
巻末資料
謝辞
原注
監訳者あとがき(中竹竜二)
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