【勝ち続けるコンテンツ企業】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4105071211
本日ご紹介する一冊は、フェイスブック、アマゾン、グーグルと共に「FANG」と呼ばれる超注目企業、ネットフリックスの創業物語。
著者のジーナ・キーティングはフリーランスの経済ジャーナリストで、米UPI通信、英ロイター通信に記者として在籍し、10年以上にわたってメディア業界、法曹界、政界を担当してきた人物。
本書が処女作ということですが、丹念な取材、読ませる文章、これは今後が期待できるノンフィクションの書き手です。
2018年10月現在、全世界で1億3700万人の契約者数を誇る、世界最大のサブスクリプション型映画配信サービスですが、本書では、動画配信前夜のネットフリックスから、話を始めています。
ネットフリックスのDNAがどこから来ているのか、創業者、経営者はどんな思想を持っているのか。
同社によって都合よく書き換えられた社史の是非も含め、ジャーナリストらしい視点で丁寧に書かれています。
ベンチャーの創業物語は、それがどんな企業であれ、一定のワクワク感をもたらすものですが、本書はそれにスリルと教訓が加わっています。
創業メンバー、そしてライバルたちに感情移入しながら読んでいるうちに、読者の側にも自然と起業家精神が芽生えてくる、そんな内容です。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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ネットフリックスは個々の契約者について複雑なプロフィールを作り上げた。ビッグデータとアルゴリズムを駆使すれば、契約者の好みや行動がどのように変化していくのかを驚くほどの精度で予測できる。これを突き進めると、エンターテインメント業界で支配的な地位を築くための次のステージに進める。コンテンツ制作である
コンサルタントが語った内容は聞き捨てならなかった。ブロックバスターが計画していたのは、店舗とオンラインを組み合わせた統合サービスだ。もし実現すれば、ブロックバスター・オンラインは親会社ブロックバスターのアクティブ会員2千万人にアクセスできる。やり方次第でネットフリックスに致命的なダメージを与えることも可能とみられた
フレックスファイルはいろいろな用途に利用できた。マーケティングチャネル──ラジオ、テレビ、屋外広告、オンライン──ごとにネットフリックスの広告を分けたうえで、それぞれの顧客獲得単価(CPA)や顧客生涯価値(LTV)、顧客獲得数を割り出せた。特定の広告パターンを分析し、売り上げや解約、新規契約件数を計算することもできた。だからこそ、ジーグラーは16四半期連続でマーケティング費用と契約者数を正しく予測できたのである
トータルアクセスを見て、ロスは「これはビデオレンタル版コーラ戦争だ」と思った。確かにトータルアクセスは手ごわかった。実店舗の利便性とオンラインサービスの品揃えを兼ね備えており、実店舗を持たないネットフリックスにとってまねするのは不可能だった。だが、彼にはコーラ戦争から学んだ教訓があった。ブランドに対する愛着度合いなどの消費者感情が、最終結果に極めて大きな影響を及ぼすのである
ブロックバスターが湯水のように資金をつぎ込んでトータルアクセスを宣伝したことで、アメリカの一般消費者がどっとオンラインレンタルに流れ始めた。オンラインレンタルを初体験する消費者は1千万人の大台に乗せた
カール・アイカーンは後になって振り返り、「ジョン・アンティオコはトータルアクセス戦略で実に良い仕事をしていた。もしボーナスをめぐって対立せず、会社にとどまっていたなら、全然違う展開になっていたかもしれない」
ネットフリックスを辞めて以来、ランドルフは旅行休暇を最小限にしてシリコンバレーに戻り、IT系スタートアップを支援するようになった。若い起業家から連絡を受け、相談に乗る日々を送っていた。「映画以外の何かを扱うネットフリックスをやりたい」という声を聞くたびに驚くのだった。自分自身が「書籍以外の何かを扱うアマゾンをやりたい」と思ってネットフリックスを創業したからだ
自由な市場メカニズムとはそういうものだ。良い商品、健全なバランスシート、事業計画の完璧な遂行──。経営の基本をきっちり押さえていれば自然と顧客に信頼され、ライバルを追い払える
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小さな疑問、不満から始まったという点では、ネットフリックスもその他大勢の企業と同じですが、違うのはそこからの破壊的な伸び。
以前、日本で初めてレンタルビデオビジネスを手掛けた経営者にお会いしたことがありますが、その際、こんなアドバイスを受けましたことを思い出しました。
「土井さん、ビジネスには<伸>の要素が必要だよ」
なぜ伸びたのか、なぜこれからも伸びるのか。ネットフリックスの物語を読むうちに、その本質がわかると思います。
そして、ネットフリックスとブロックバスターの熾烈な戦いを見ていると、これは単純にダビデとゴリアテの戦いではなく、ゴリアテのなかにもダビデがいて、それが複雑な政治やプレイヤーの思惑によって葬り去られたのだというのがよくわかります。
日本企業が再びダビデになれるように、またゴリアテのなかから英雄ダビデが登場した際、組織がそれを守れるように、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。
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『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』ジーナ・キーティング・著 牧野洋・訳 新潮社
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◆目次◆
準備ステップ どんなリーダーになりたいのか、目標を定めよう
01 第1日目に部下の心をつかむ
02 部下の話をよく聞く
03 リーダーらしく話す
04 やる気を引き出す
05 部下を注意する
06 部下を叱責する
07 時間を管理する
08 仕事を任せる
09 上司をコントロールする
10 ネットワークをつくる
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