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本日ご紹介する一冊は、イリノイ工科大学でデザインを学び、P&G、ソニーを経て戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業した著者が、ビジョン・ドリブンな思考法を説いた一冊。
本のソデ部分に書かれているこの言葉を読めば、本書で説く思考法がなぜ重要なのか、その意味が理解できると思います。
<「一見、根拠のなさそうな直感」を現実に重ね合わせられる人・企業が、マーケットに強烈なインパクトを与えている>
昔、藤原正彦さんが、「論理には出発点が必要」と言っていましたが、本書でいう「途方もない妄想」は、まさにその出発点となるもの。
以前、BBMで紹介した『よみがえれ、バサラの精神』とほぼ同じコンセプトで、まさに今、日本に欠けている考え方だと思います。
※参考:『よみがえれ、バサラの精神』会田雄次・著 PHP研究所
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本書では、どうすればわれわれがビジョン・ドリブンになれるのか、方法論とエクササイズを紹介しています。
これまで100件以上のイノベーションに関わってきたという著者が、その技法を惜しみなく公開した一冊。
これが読み応えないわけがありません。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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「いいか、佐宗くん。たしかに、P&Gのマーケティングが市場のゲームに勝てているのは、データに基づいて徹底的に考え抜いているからだ。ただし、そのP&Gでさえ、利益の8割方は『新しいゲームそのものをつくったひと握りのマーケター』に負っているんだ。戦略思考やフレームワークといったものは、ゲームの残り2割を補うためのツールにすぎない。絶対にそのことは忘れちゃいけないよ」(P&G時代の先輩の言葉)
既存のルールのままでは勝てないとき、まだ市場には存在しない新たなルールを設定することで、ゲームそのものを変えてしまい、これまでとは「別の勝ち方」をする──そんなマーケターこそが貴重
◆デザイン思考の3つのシンプルな本質
(1)手を動かして考える──プロトタイピング
(2)五感を活用して統合する──両脳思考
(3)生活者の課題をみんなで解決する──人間中心共創
構築主義の核心は、緻密な計画に先立って、まず不完全なアウトプットを行い、それを起点に対話・内省を促していくということにある
本当に価値あるものは「絵空事」からしか生まれない
カーネギーメロン大学の行動経済学者ジョージ・ローウェンスタイン教授による理論だ。彼によれば、人間の好奇心や情報への探究心が生まれるには、「情報ギャップ」を感じることが不可欠だ。つまり、まず探求する心があって、そこから情報の収集に向かうのではなく、「情報が欠けている」という認知があって初めて、「何かを知りたい」という好奇心が発動するというわけだ
ソニーコンピュータサイエンス研究所の社長・所長である北野宏明氏は、「2050年までに、サッカー・ワールドカップ優勝チームに完全自律型のヒューマノイドロボットのチームで勝利する」という遠大なゴールを設定している人物だが、彼はこうした思考法について次のように述べている。「(ムーンショット型アプローチの)本当の目標は、定めた目標に行きつく過程で、様々な技術が生まれ、その技術が世の中に還元され、そして世の中が変わることなのです。これがMoonshot型のアプローチにある、もう1つの大きな効果です」
妄想を起点にした考え方の場合、問いかけは「もしも……ならどうなるか?」(WHAT-IF型)というかたちをとる
成功するプロジェクトとそうでないプロジェクトの違いは、そこに「妄想」を持った人がいるかどうかでしかない
ハーバード大学の発達心理学者ハワード・ガードナーは、自分たちの営みの「目的」を改めて内省するべきだと語っている。
夢を語れば、無形資産が集まる。無形資産が集まれば、有形資産が動く
(元サッカー日本代表監督 岡田武史さんの言葉)
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もともと、京都造形芸術大学で実施された「妄想を具現化する技法」という合計10時間(2時間×5回)のワークショップ型講義がベースになっているようですが、それだけに読みやすくもなっています。
ビジネスパーソンの多くは、イシュー・ドリブン型の思考を長く続けてきた結果、ビジョンを生み出したり、創造的になることに苦手意識を持っていますが、本書のやり方なら、誰でもビジョン・ドリブン型の思考ができるようになると思います。
じつによくまとめられた一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『直感と論理をつなぐ思考法』佐宗邦威・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆
はじめに 「単なる妄想」と「価値あるアイデア」のあいだ
序 章 「直感と論理」をめぐる世界の地図
第1章 最も人間らしく考える
第2章 すべては「妄想」からはじまる
第3章 世界を複雑なまま「知覚」せよ
第4章 凡庸さを克服する「組替」の技法
第5章 「表現」しなきゃ思考じゃない!
終 章 「妄想」が世界を変える?
おわりに 夢が無形資産を動かす時代
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