【メディアを使ったヒットの新しいカタチ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479796827
本日ご紹介する一冊は、Yahoo!ニュース個人2000万PV超の人気コンサルタントが、最近ブレイクしたドラマ、映画、俳優などを題材に、今どきのヒットの法則を明らかにしたもの。
著者は、ヒット現象に関わるあらゆるデータを分析しているメディアコンサルタントで、株式会社エム・データの顧問研究員も務めている人物。
有料マガジン「テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder」の発行もしており、テレビとネットの連携に詳しい方でもあります。
本書は、そんな著者が、『逃げるは恥だが役に立つ』や、『おげんさんといっしょ』『おっさんずラブ』『君の名は。』『カメラを止めるな!』などのヒットを分析し、それがどのようにネットと連携しているのか、外からは見えにくい部分を明らかにした一冊。
現在におけるヒットの構図がよくわかる、マーケター必読の書です。
また、コンテンツではありませんが、「保育園落ちた、日本死ね」などの社会問題の伝播がどのようになされるにも言及されており、ビジネスパーソンなら教養としてぜひ読んでおきたいところです。
『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』とは、真理なのでしょうが、本書の濃厚な分析内容を考えれば、不適切なタイトルです。
ゆるいタイトル、表紙とは裏腹に、業界のプロが本格的にマーケティングを論じた、本格論考です。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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これまで「4媒体」だったメディア構造はいま「テレビとネット」に変化したのだ
ネットマーケティングではよくファネルという言葉が使われる。物を買うプロセスを「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購買」の4段階に分け、逆三角形の図形で説明するものだ。認知した人の中から購買に至るまで少しずつ人数が減るのが漏斗に似ていることからファネル(Funnel=漏斗)と呼ばれる(中略)この普遍的なはずのファネルが、メディア構造の変化でわからなくなっているのが、いまのマーケティングの、そしてコミュニケーションの最大の問題(中略)認知と購買の真ん中、「ミドルファネル」と呼ぶべき部分が失われているのだ
このままいけば2020年までにはネット広告費がテレビ広告費を抜く
かくてネット広告は企業がブランドセーフティを気にすべき場となり、バナー広告はビューアビリティを問われ、アドフラウド(不正広告)を根絶せねばならなくなった
星野源はANNでも『おげんさんといっしょ』の告知をしたそうだ。リスナーはもちろん沸き立っただろう。だからバー星野源のマスターが1日限定で出張マスターを務めたNHKに、常連客が大挙して押しかけたのだ(中略)つまりそもそもツイッターで遊びなれたファンたちが大挙して『おげんさんといっしょ』に押し寄せたのでテレビ放送でもツイッターがあれだけ盛り上がった
ひとつのクラスターに絞って膨らませるたし算ではなく、クラスターとクラスターをかけ算することで話題が急速に膨張していったのだ
どんな商品もプロモーションは必要で、だったら最初から「どうプロモーションしていくか」を反映させた商品であるべきだ
タレントがどうブレイクし、どう人気が継続するのか。その鍵は「ツイッター投稿者の数とテレビ出演秒数の比」にあるという。簡単に説明すると、そのタレントがツイッターでつぶやかれた回数とテレビ露出の秒数の比が1を超えるかどうかがポイントということだ。そして星野源は、ブレイクの1年前から何度か「ツイート数とテレビ出演数の比」が1を超えていたというのだ。つまりテレビ出演回数が多くないのにツイッターで過剰に盛り上がる状態が何度か起きていた。そういうタレントはいずれブレイクする、ということだ
マスメディアの前に「自分とファンの居場所」を持っている状況は強い
実は「新海誠クラスター」があらかじめ存在したのだ
“想い”で結びつくことで、作品の送り手と受け手の関係を超えて、共犯関係で繋がることができる
「無名だから応援したい気持ち」が、ここまで述べた「誰かれなく言いふらしたくなる」に絶妙の調味料として加わっている
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今のマーケティングにはミドルファネルが抜けている、クラスターがコンテンツを盛り上げる、などはじつに新鮮な視点で、これからのマーケティングを考える上で、大いに参考になりました。
「クラスターとクラスターをかけ算する」は、著者やセミナー講師の間でもできそうな手法ですね。
ぜひ読んでみてください。
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『爆発的ヒットは“想い”から生まれる』境治・著 大和書房
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◆目次◆
序章 CMや広告だけで「火がつかなくなった」のはなぜ?
PART1 <<テレビ>>のヒットに学ぶ新しいコミュニケーション
第1章 『おげんさんといっしょ』の大ブレイクはどのように起こったのか
第2章 『おっさんずラブ』を大ヒットさせた「コミュニティ」のパワー
PART2 <<映画>>のヒットに学ぶ「口コミの連鎖」の起こし方
第3章 『君の名は。』の革命的ヒットが変えたもの
第4章 『カメラを止めるな!』の「爆発的に広がる口コミ」の秘密
PART3 SNSからすべてが始まる時代のヒットのセオリー
第5章 「伝わるメッセージ」の組み立て方を「日本死ね」から考える
第6章 想いをヒットにつなげる方法
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