【生き方としての「シェア」】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/429540277X
ニューヨーク、山口、大阪と、約3年、二拠点生活をしていますが、そのおかげで、ミニマルライフがすっかり定着しました。
冷蔵庫も洗濯機も持たない生活をすることで、あらゆるものを「シェア」する癖がついた気がします。
面白いもので、いったんこういう生活を始めると、思想や気分までが変わってくる。
ひとことで言うと、「軽やかになる」のです。
そして、生活を成り立たせるためには、他人の力が必要になるので、人とのつながりができる。まさに良いことずくめです。
本日ご紹介する一冊は、そんな「シェア」の思想で社会がこれからどう変わるか、どんなサービスが立ち上がっているのか、明らかにした一冊。
著者は、シェアリングエコノミーの専門家で、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュさんです。
著者は、リクルート→クラウドワークス→一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長というキャリアを歩んできた方ですが、本書では、著者個人のシェアライフ体験談と、最先端のシェアビジネス事例を紹介しています。
土井は以前、セミナーで「日本経済は家族を切り刻むことで成長してきた」と述べたことがありますが、大家族から核家族、単身世帯と分断されることで、人は孤独になり、かえって社会の生産性を落としていると感じています。
本書の提言は、こうした流れに歯止めをかけるものであり、ビジネスに限らず、社会を再考する良いきっかけになるのではないでしょうか。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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これまで当たり前とされてきた社会の前提を失いつつある時代だからこそ、「『私たちにとっての本当の幸せ』とは何か──?」を、新たに、再定義するときがきています
私は今、渋谷で「“ともに暮らし、ともに働く”意識でつながる家族」というコンセプトの『Cift』(シフト)というシェアハウスで暮らしています。Ciftには、0歳から60代まで、約60人の多様な人々がおり、一緒に「家族」をしています。立ち上げ当初38人だった家族は1年で約2倍になりました
Ciftは協同組合でもあります。一人ひとりが組合費を払い、食費や家賃、誰かが困ったときの救済費まで何に使うかを決めています。複数の拠点を持ち、旅をしながら働くメンバーもたくさんいて、それぞれが持つ家を合わせるとその数は100以上。「メンバーが持つ家だったらどこでも泊まっていい」というルールの『全国家族マップ』もシェアしています。全国どこに行っても「ただいま」と言える場所があるんです
「血縁家族」という形にとらわれなくても、人と人はつながり支え合いながら生きていくことができる
モノの個別化の歴史が、つながりの希薄化、孤独の原因
お金の価値そのものが揺らぎ始めている今の時代において、「豊かな人」のロールモデルは、「内面的にも満足し、他者とのつながりをもって信頼を得ている人」になっていきます
個人として生きていける時代だからこそ、主語が「私」から「私たち」に変わってきています
幸せは、つながりからしか生まれない
非労働人口に含まれていた方たちが、シェアによって社会参画できるようになるのです。さらにそれは、数多の企業を悩ませる「人手不足問題」の解消にもつながると考えられます
収入や肩書き、人間関係、やりがいなどの依存先を複数にばらしたことで、「もし何が起きても、そこにしがみつかなくていい」という安心感と自由を得られたこと
最近では、「全国どこでも住み放題」を実現するサブスクリプション型の多拠点生活モデルも登場しています。月額4万円で、登録されている全国の家に自分の家のように住むことができる「ADDress」というサービスも登場しました
子どもはみんなで育てるもの
他者を信じる心の垣根を下げること。「信頼の境界線」を、意志をもって広げていくこと。それが信頼できる自分を育てていくための近道なのではないでしょうか
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思想は素晴らしく、また事例も豊富で読み応えがありましたが、あえて注文をつけるとすると、再現性があるのかどうか、ということでしょうか。
新しいことをやるのはいつの時代もリスクですが、本書の提案を実践するのは、心理的になかなかハードルが高いかもしれません。
著者のような特別な方ではなく、もっと等身大の方がモデルとしてたくさん紹介されていると、やる気になるかもしれませんね。
とはいえ、これからの生き方を考えるのに、大きなヒントとなるのは、間違いありません。
もちろん、これからシェアビジネスを仕掛けたい方にもおすすめです。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『シェアライフ』石山アンジュ・著 クロスメディア・パブリッシング
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◆目次◆
はじめに
序 章 私のシェアライフ
第1章 新しい時代
第2章 新しい価値観
第3章 新しい生き方
第4章 つながりが社会を救う
第5章 シェアするマインド
終 章 シェアの未来
おわりに
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