【企業を成長させるビジョン、衰退させるビジョン】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023317519
本日ご紹介する一冊は、好著『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』の著者であり、ブランド戦略コンサルタントの江上隆夫氏による、「ビジョン」考。
※参考:『無印良品の「あれ」は決して安くないのになぜ飛ぶように売れるのか?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797373288/
オビには、一橋大学大学院教授の楠木建さんのコメントがあり、そこにはこう書かれています。
「カネで買えないものがいちばんカネになる。それがビジョンだ。」
評価主義経済に向かうと、「信用が一番大事」という主張になってきますが、日々の約束をコツコツ守るだけだと、成長スピードには限界が出てきてしまう。
起業家であれ、政治家であれ、アーティストであれ、一気にスピード成長を実現したいなら、やるべきは「大きなビジョンを掲げ、公約を守ること」でしょう。
となると、ビジョンには実行可能性も含んでおく必要がある。
本書では、著者がさまざまな成功企業、失敗企業のビジョンを詳細に分析し、その優れた点と問題点を分析。そこから、成功するビジョン作りの要諦を導き出していきます。
なぜアマゾンが成長を続けるのか、なぜ東芝の成長が止まってしまったのか、ビジョン面から考察しており、興味深い内容です。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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◆優れたスタートアップの3つの特長
1.世の中を革新する「ベスト・オブ・ベスト」を提供しようとする意志とエネルギーがあること
2.「オープン」であること
3.個性を認め、面白がる風土
ビジョンを失うとすべての衰退がはじまる
道徳律としての「理念」が高々と掲げられ、共通の目標としての具体的な未来が語られていないのであれば、その企業には「ビジョンがない」
東芝の二つのビジョン、理念を見てみると「私たちにはいま語るべき、取り組むべき未来像がありません」そして「とりあえず、いまある技術的資産、人的資産を使ってがんばるしかない」というメタメッセージを周囲に発している可能性が高い
組織は本来、目的があって生まれます。しかし、語るべき未来、目指すべき未来がない組織は何かを創造することから離れていきます
テクノロジー系の巨大企業は自らの出自や発展の仕方に違いはありますが、大きなビジョンを抱げ、自分たちの進化にほとんど制約を設けていない
「すべてのものが買えるお店(ジ・エブリシング・ストア)」が、いまでもAmazonの小売業として目指す姿です
ベゾスは「顧客から始めて逆向きに考えていく」ブランドであろうとしています。そして、「我々はモノを売って儲けているんじゃなく、買い物についてお客が判断するとき、その判断を助けることで儲けている」存在だ、という認識に到達します
イヴォン・シュイナードは、2009年に来日したときに語っています。パタゴニアの株主は地球です。私たちのビジネスの基準は「地球にとって正しいかどうか」です
無印良品は「これでいい」というコンセプトで運営されています。「これでいい」とは「これがいい」という「強い嗜好性を誘う商品づくり」を目指さないブランドであるということです
描いたビジョンが、本物の夢、つまり「個の夢であり、公共の夢でもある」とき、世間が後押しする力が最大化する
◆ビジョンの機能
1.共有された目標となる
2.日々のモチベーションの源泉となる
3.行動と判断の基準になる
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後半には、社内でビジョンを作る時の方法論や手順なども書かれており、見た目によらず、実用的な内容です。
アマゾンのOLP(Our Leardership Principle)や、リッツ・カールトンのクレド、オリエンタルランドの行動基準など、事例も豊富で勉強になります。
ぜひ、読んでみてください。
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『ザ・ビジョン』江上隆夫・著 朝日新聞出版
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http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4023317519/
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◆目次◆
Part1 ビジョンとは何か
第1章 ビジョンを失うとすべての衰退が始まる
第2章 なぜ、優れたビジョンを持つ企業は成長し続けるのか
第3章 21世紀のビジョン企業であるために
第4章 ビジョンで最高の未来を創るためのヒント
Part2 ビジョンをつくる
第5章 「最高のビジョン」のつくり方
第6章 リーダーシップがビジョンを定着させる
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