2019年2月6日

『ブスのマーケティング戦略』田村麻美・著 vol.5210

【傑作です】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866510951

「夢見ることをあきらめたブスと、劣化が始まった美人へ」

強烈なメッセージの本書は、SNSで女性起業家・経沢香保子さんが推薦しているのを見て、思わずアマゾンで購入した一冊。

ご丁寧に早稲田大学ビジネススクール准教授入山章栄さんの推薦もついています。

これまでにも、『いい男はマーケティングで見つかる』や、『モテる技術』など、マーケティング原理を恋愛に持ち込んだ本はあったのですが、本書は徹底して弱者に寄った姿勢が素晴らしい。

※参考:『いい男はマーケティングで見つかる』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887592892/

※参考:『モテる技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797345020/

弱者が抱えるコンプレックスをエネルギーに変える方法、商品としての自分の見直し、プロダクト・マーケット・フィット、コミュニケーション術、あらゆる点で参考になる一冊です。

著者は、東京足立区の北千住で、税理士として活躍している34歳の田村麻美氏。本書の言葉を借りるなら、「やさしい夫とかわいい娘もいて、いま早稲田大学の大学院にも通っていて、もうすぐMBAもとれちゃうかもしれない、そんな満たされたブス」の方です。

「ブス」という言葉に嫌悪感を感じてしまう人は、「ブス」を「中小零細企業」あるいは「無名の人」に置き換えて読むと、本書の凄さがわかるでしょう。

個人的には、昔『モテる技術』を絶賛していた神田昌典さんや、『小さな会社★儲けのルール』の著者、栢野克己さんあたりに書評していただきたいですが、とりあえず、土井が気になったところを赤ペンチェックしてみます。

※参考:『小さな会社★儲けのルール』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894517205/

本文中は過激な表現が多く、コンプライアンスの関係上(笑)、BBMで紹介しづらいところはありますが、いくつかポイントを見て行きましょう。

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ブスに比べて、美人は経年劣化がもろに反映される。(中略)心配なのは、経年劣化をまったく予想せず、「美貌」のみ、ただひとつの武器で生きてきた美人の行く末である

自分という商品が本質的に提供しているサービスが、どんなものであるのかを知ることが、マーケティング戦略の基礎の基礎

私は『エルティーン』を読みながら、いい男とやることを目的にひたすら勉強をし続けた結果、偏差値が70になってしまった

失敗なしにブスの成功はない(中略)どうすれば失敗するのか。それは行動しかない。どうすれば行動できるのか。自分の本能に素直になればいい。ただそれだけだ

ブスが勉強をがんばらなくてはいけない理由は3つある。
1.自分に自信をつけるため
2.パートナー探しにつなげるため
3.経済力をつけるため

ブス・ブサイク同士が結婚したとして、頭脳の遺伝子だけはいいものを子どもに伝えたい。となると、頭脳レベルの高いブサイクと結婚したいと思うものであろう。どこにそんなブサイクがいるのか。偏差値の高い大学なのである

中学時代の私は、すべての男性のなかで、「偏差値の高い男」という一点でターゲットを絞った。ここで重要なのはセグメンテーションという戦略である

「ブスだから現実世界の男に相手をされない」という固定観念がある。だから空想世界にいくのだ。そこで提案がある。街に出てほしい。街に出て、通りが見えるカフェでじっと窓の外を見ていると、何が見えるだろうか。ブスでもデブでも彼氏と手をつないで歩いていることがある

自分でできないというなら、お金か人の力を借りなさい

「ブス合コン」は場数である

無料で出会いなどあるものか。ブスはお金を払ってでも出会わなきゃ!

総合点が低いまま、未完成のまま市場に出すことで、ものすごい学びがある。傷つかないために、市場をしっかり見極めて、商品を出したい(行動に出たい)とは思う。しかし、市場の見極めは傷つくことなしにはできない

大事なのは、具体的な趣味を言うことだ。
「散歩」→「高円寺を散歩」
「音楽」→「下北沢へライブを観に行くこと」

女子校の男性教師はブサイクでもモテる。男子校の保健室の女の先生は、顔も年も関係なくモテる。希少性というのは、それだけで商品価値が上がるのだ

「市場を変える」という選択

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人間、誰しもコンプレックスはあると思いますが、本書はコンプレックスをエネルギーに変え、戦略に変える方法を提示した本です。

一つの武器(たとえば美貌)で戦わない、「自己PR」でなく相手を肯定する「テンプレート」を使う、確率を味方につけるなど、じつに勉強になる内容でした。

デキる編集者が手掛けているからだと思いますが、「ブスは恵比寿じゃなくて御徒町で出会う」など、言葉も立っていて面白い。

タイトルに惑わされず、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『ブスのマーケティング戦略』田村麻美・著 文響社

<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4866510951/

<Kindleで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07KXQ1QZ8/

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◆目次◆

第1章 自分を商品と考える
第2章 性欲をエネルギーに変えて商品力を高める
第3章 神童からただのブスへ
第4章 ブスが処女を捨てるとき
第5章 100回の合コンで学ぶ
第6章 ブスにとっての肩書きの重要性
第7章 ブス自身も顧客であった
第8章 ブスの結婚
第9章 ブスの起業
第10章 ブスの成功すごろくと美人の経年劣化

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