2018年9月27日

『ホモ・デウス(下)』ユヴァル・ノア・ハラリ・著 vol.5123

【衝撃の下巻】
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本日ご紹介する一冊は、世界800万部の大ベストセラーとなった、『サピエンス全史』の著者が描く、人類の歴史とこれからの未来。

※参考:『サピエンス全史(上)』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/430922671X/

タイトルの『ホモ・デウス』とは、神(=デウス)を目指す人類という意味で、不死と幸福、神性の獲得を目標とする今後の人類の方向性について述べています。

昨日、上巻を紹介しましたが、本日は下巻を紹介します。

上巻では、人類が<不死と幸福と神性を標的とする>未来を紹介していましたが、これだけだと何だか予想ができてしまう。

両方読んだ感想を言うと、本書は下巻の方がはるかに重要です。

著者はこの下巻で、「不死」「幸福」「神性」を目指す人間に訪れるであろう、衝撃のパラドックスを予言しています。

人間の知性を超えるアルゴリズムが登場することにより、人間が家畜同様の存在になることや、大衆に対して医療が与えられない可能性、人間至上主義がデータ至上主義に取って代わられる可能性…。

強烈な不平等と人間疎外が起こる可能性を指摘しており、この下巻は見逃せません。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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人生の意味とは何なのか? 何か外部の存在に既成の意味を提供してもらうことを期待するべきではないと自由主義は主張する。個々の有権者や消費者や視聴者が自分の自由意志を使って、自分の人生ばかりではなくこの世界全体の意味を生み出すべきなのだ。ところが生命科学は自由主義を切り崩し、自由な個人というのは生化学的アルゴリズムの集合によってでっち上げられた虚構の物語にすぎないと主張する

21世紀に考えられる、3つの実際的な進展
1.人間は経済有用性と軍事的有用性を失い、そのため、経済と政治の制度は人間にあまり価値を付与しなくなる
2.経済と政治の制度は、集合的に見た場合の人間には依然として価値を見出すが、無類の個人としての人間には価値を認めなくなる
3.経済と政治の制度は、一部の人間にはそれぞれ無類の個人として価値を見出すが、彼らは人口の大半ではなくアップグレードされた超人という新たなエリート層を構成することになる

人間の法律は、企業や国家のような共同主観的なものをすでに「法人」と認めている(中略)私たちはほどなく、アルゴリズムにも同じような地位を与えるかもしれない。そのときには、アルゴリズムは人間の主人の思いどおりになる必要はなく、自ら巨大な輸送事業やベンチャーキャピタルファンドを所有できる

人は何かする必要がある。することがないと、頭がおかしくなる。彼らは一日中、何をすればいいのか? 薬物とコンピューターゲームというのが一つの答えかもしれない。必要とされない人々は、3Dのバーチャルリアリティの世界でしだいに多くの時間を費やすようになるかもしれない(中略)そのような展開は、人間の人生と経験は神聖であるという自由主義の信念に致命的な一撃を見舞うことになる。夢の国で人工的な経験を貪って日々を送る無用の怠け者たちの、どこがそれほど神聖だというのか?

ほとんどの人はアップグレードされず、その結果、コンピューターアルゴリズムと新しい超人たちの両方に支配される劣等カーストとなる

二〇世紀の医学は、病人を治すことを目指していた。だが、二一世紀の医学は、健康な人をアップグレードすることに、しだいに狙いを定めつつある

一八世紀には、人間至上主義が世界観を神中心から人間中心に変えることで、神を主役から外した。二一世紀には、データ至上主義が世界観を人間中心からデータ中心に変えることで、人間を主役から外すかもしれない

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こうした大作の上下巻が出た場合、ほとんどの方は、上巻だけ読んで下巻を放棄するものですが(先日訪れた博多の書店では、上巻だけが売り切れていました)、本書に限っては、上巻を読まずにBBMの要約で済ませ、下巻だけ読んでもいいぐらいです。

かつて、『アイランド』という映画があり、金持ちの治療のために臓器を提供するクローン人間の哀れな姿が描かれていましたが、ひょっとしたら今後、あんな世界がやってくるのかもしれません。

YouTubeやSNSなどを通して、人々はかつてないほど自尊心が肥大化する世の中を生きていますが、近い将来、一転して自己重要感を感じられない世の中がやってくるのかもしれません。

今後の世界を読み解く上で、必読の一冊。ぜひ読んでみてください。

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『ホモ・デウス(下)』ユヴァル・ノア・ハラリ・著 河出書房新社

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<Kindleで購入する>
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◆目次◆

第6章 現代の契約
第7章 人間至上主義革命
第3部 ホモ・サピエンスによる制御が不能になる
第8章 研究室の時限爆弾
第9章 知能と意識の大いなる分離
第10章 意識の大海
第11章 データ教

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