【アマゾン、ニトリ、ZARAを物流視点で切る】
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東日本大震災の影響か、はたまたアマゾンの活躍によるものか、最近また、「物流」に対する関心が高まっています。
もともと物流は「Operations Management」という名前で、MBAでも学ぶ一つのジャンルですが、日本のビジネスパーソンは、ちょっと部署が違うと、学ばない人が多い。
その点本書は、今注目の企業のビジネス事例から儲けのポイント、物流戦略を明らかにしたもので、読み物感覚で物流を学ぶことができます。
著者の角井亮一さんは、米ゴールデンゲート大学でMBAを取得、船井総合研究所、不動産会社を経て、家業の物流会社に入社。今は国内ナンバーワンの通販専門物流代行会社、イー・ロジットを経営しながら、物流のコンサルタントも務める人物で、物流の業界では有名な人物だそうです。
本書では、アマゾン、ニトリ、アイリスオーヤマ、ZARA、DHLの事例を紹介しながら、それぞれの企業の物流戦略を紹介。
最終・第6章では、まとめとして、「オムニチャンネルと物流戦略」について、持論を述べています。
新書の割には、なかなかしっかりした読み物です。
さっそく、内容のポイントをチェックしてみましょう。
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グローサリーは、EC注文でも特に店頭受け取りを希望する層が多く、2015年7月のアドビの調査では店舗受け取り希望が18%でしたが、1年後の2016年7月には45%と、2・5倍に増えています
ニトリグループでは、当初、その手続きを専門会社に委託していましたが、自社通関の体制を整え、自社ですべての手続きを完了できるようにしました。その結果、大幅なコスト削減になり、海外生産品をスムーズに国内供給できるようになりました
◆ニトリ
2016年12月に新在庫管理システムが導入され、都市型店舗にある店頭在庫と、ネット通販配送センターにある在庫情報の連動ができるようになりました
割引額を設定するためには、現状の混雑具合の確認や混雑の未来予測が必要になります。ニトリグループでは、2015年段階でそれを可能にするルートプランナー機能が利用できるクラウドサービス「MAMS」を導入しており、この制度をスムーズにスタートすることができました
◆アイリスオーヤマ
まず、配送費についてです。一般には販管費として全体で管理されていますが、同社では管理会計上、製造原価扱いにしています。どの商品に配送費がどのくらいかかっているのかが明らかになるようになっているのです
物流センター内に生地が保管されており、自動裁断機で裁断し、縫製工場に出荷します。実はインディテックスでは物流センターの在庫は、商品ではなく、生地なのです
通常のアパレル製品の場合、プロパー販売率(発売時の店頭価格で売り切る割合)は60%あればかなり効率的と言われていますが、インディテックスではプロパー販売率は90%にもなるそうです
◆オムニチャネル対応を実現するための3つのポイント
1.在庫の一元管理 2.価格の統一 3.店員の教育
アリババグループ運営の生鮮スーパー「盒馬鮮生(フーマーシェンション)」はオムニチャネルを地でいっている店舗で、スマホアプリ経由でネット注文すれば、3km以内の商圏には30分以内に自宅までバイクで宅配を行なっています
持ち戻りがなければ、計算上では現在の配達個数の1・5倍のキャパが生まれる
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・成長業態に自分たちの業容を合わせる
・レジ通過売上げでなく、商圏内売上げの発想
・「ちょっとしたことでも面倒」と感じる消費者は、今後ますます増える
など、各企業に学ぶビジネスのポイントや、今後のトレンドについてもきっちり書かれており、じつに勉強になりました。
本格的な物流論というよりは、最新事例読み物といった感じの一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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『すごい物流戦略』角井亮一・著 PHP研究所
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◆目次◆
序 章 なぜ、物流戦略なのか?
第1章 アマゾンの物流戦略
第2章 ニトリの物流戦略
第3章 アイリスオーヤマの物流戦略
第4章 ZARAの物流戦略
第5章 DHLの物流戦略
第6章 オムニチャネルと物流戦略
終 章 物流戦略の4C
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