【掘り出し物です。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822255255
ミラノ工科大学教授で、リーダーシップ論、イノベーション論を専門とするロベルト・ベルガンティ氏による名著です。
『突破するデザイン』とは、わかったようでわからないタイトルですが、本書が投げかけてくるメッセージは、これからの商品開発・マーケティングにおいて重要な示唆を含んでいます。
流行の「デザイン思考」ではなく、「意味のイノベーション」。
そしてそれがなぜ、今求められているのか、その理由が腑に落ちました。
著者によると、今の時代、<人々は選択肢が増え続け、複雑で不可解な人生の意味を理解することを楽しんでいる。人生が変化し続けるため、人々は絶えず「新たな意味」を探し求めるのだ>。
だから、商品開発者やマーケター、経営者がやるべきは、「問題解決」ではなく、「意味のイノベーション」なのです。
本書には、この「意味のイノベーション」をどうやって進めればいいのか、実際に成功した企業の事例も交えながら紹介されています。
この意味のイノベーションを考える過程は、じつに満たされたもので、「ああ、僕たちはそのために仕事をしているんだ」とえも言われぬ幸福を感じました。
赤ペンチェックするまでもなく「買い」の一冊ですが、納得しない方のために、いくつかポイントをピックアップしてみましょう。
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私たちは「意味を見つける」ために目覚めるのである
もしあなたが人々に愛されるモノゴトを創造したいのであれば、問題解決からは離れた方がよい。愛について考えるのだ
気に入らないことがたくさんある。例えば、サーモスタットだ。本当にゾッとするくらいひどい。心から愛せるサーモスタットをつくりたいんだ。(中略)ネストラボはサーモスタットに今までにない意味を与えることに成功した。人々は温度を管理したいのではない。できれば温度管理などすることなく、ただ快適に過ごしたいのである
この世界で価値をつくり出すための主役は、単なる意味ではなく「新しい意味」である
意味のイノベーションとは、進むべき方向の変化、判断のものさしの変化である
今やロウソクは無駄で古めかしいものではない。現代的で意味があるものなのだ
「私たちのアイデンティティは今や選択の問題となっており、アイデンティティを受け継ぐのではなく、発明するようになった。私たちは好きなだけ自分自身を再発明すべきである」(バリー・シュワルツ)
無限の選択肢は、私たちが逃した選択肢を惜しむ感情を引き起こし、そういった失敗に対する自責の念を生む一方、次への期待を換気しやすい
バラエティーの少ない世界では、より多くのソリューション、より多くの方法をつくることが賞賛される。一方、より多くの選択肢がある世界では、妥当な方針、妥当な理由、言い換えれば、意味の重要性を見いだすことが賞賛に値するのである
ヴォックスは顧客の人口動態の大きな変化、とりわけヨーロッパの人口高齢化を憂慮していた。(中略)ヴォックスは、コモディティー化を避けるため、新しいビジョンを提案した。寝室を「リビングベッドルーム」に変換するのだ。寝室を家の中心にすることで、高齢者は家族や友人に会って話ができ、楽しく過ごせるようになる
思い出づくりの手段から、コミュニケーションの手段へと写真の意味が変化した
・「話すことの信頼」それがなければ、私たちは未成熟な考えを共有することはできない
・「行動の信頼」それがなければ、禁止された実験を行う勇気は持てない
・「聞くことの信頼」それがなければ、批判的な意見を真摯に取り入れることができない
生贄は、今の市場において不人気であってはいけない。大成功しているが、人々が商品の意味に親しみながらも、その価値に潜在的な不満を持っているものがよい。たとえば、アルファロメオの生贄は、ハイエンドなドイツ車メーカーだった
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タイトルと翻訳の粗さが残念でしたが、それを補って余りある素晴らしい内容でした。
どうすれば、人々に真に愛される商品・サービスが作れるのか、なぜ商品開発を「自分」から始めなければならないのか、どうすれば素晴らしい商品を世に出すチームが作れるのか…。
目からウロコがボロボロ落ちる内容でした。
ぜひ、買って読んでみてください。
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『突破するデザイン』ロベルト・ベルガンティ・著 安西洋之・訳 日経BP社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822255255/
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◆目次◆
はじめに
第1章 意味のイノベーション あふれるアイデアに圧倒される世界
Part1 価値 意味のイノベーションが重要である理由
第2章 新たな意味の探究 人々にとっての価値
第3章 意味による競争優位 ビジネスの価値
Part2 意味のイノベーションの原則 アイデアを超えて意味へ
第4章 内から外へのイノベーション 贈り物をつくる
第5章 批判精神 深いビジョンの探究
Part3 意味のイノベーションのプロセス 方法論とツール
第6章 ビジョンをつくりだす 「自分」から「人々」へ
第7章 意味のファクトリー 内部での批判
第8章 解釈者のラボ 外部からの批判
付録 新しい意味の拡がり 意味のイノベーションの事例
日本語版へのエピローグ
日本語版解説 「なぜ?」を追求して愛すべき商品をつくる手法
原注
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