2018年7月12日

『エンジェル投資家』ジェイソン・カラカニス・著 vol.5071

【ウーバーに投資し、1000万円を100億円にした男】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822255727

本日ご紹介する一冊は、シリコンバレーのカリスマエンジェル投資家、ジェイソン・カラカニスによる注目の一冊。

カラカニスは、ウーバーやマーケットプレイス、サムタックの最初の投資家としてリスクを取った人物で、なんと1000万円を100億円にした、伝説的エピソードの持ち主です。

本書には、そんなカラカニスがどうやって投資案件を見分けているのか、どんな投資戦略を持っているのか、どんな起業家を理想としているのか、が書かれています。

日本語版序文で孫泰蔵氏が書いているように、シリコンバレーと日本ではエコシステムが違いすぎて、本書のノウハウも活用できないことが多い。

ただ、カリスマ的エンジェル投資家が起業家にどんな質問をするのか、どんな視点で有望なビジネスを見分けているのか、はみなさん知りたいところでしょう。

なかでも、「創業者に尋ねるべき4つの質問」と、「次に聞くべき5つの質問」は、すべての投資家と起業家がチェックしておくべき内容でしょう。

さっそく、いくつかポイントをピックアップしてみます。

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リターンの大半を稼ぎ出すのは、独善的な妄想にひたるわがままで付き合いにくい起業家たちだ

エンジェル投資家として第一の仕事は、揚げ足取り、後ろ向きの批評家、言い訳屋、要するに考えのスケールが小さい人間の言うことに起業家が耳を貸さないよう盾になることだ

500万ドル(5億円)なら「金の苦労を当分取り除いてくれる」ような額だ。500万ドルあれば少なくとも10年間は生活の心配をしないですむ。しかしこれが1000万ドル(10億円)なら「地球脱出速度」を得るようなものだ。つまり今後は決して生活の心配をせずにすむ。年間50万ドルの利子なり配当なりが確保できれば生涯暮らしに困ることはない。それが2000万ドル(20億円)なら「くそくらえマネー」の領域に入る。これだけの金があれば、誰に対しても堂
々と「くそくらえ!」と言って立ち去ることができるだろう。私の経験からすると、ここに創業者の決意が試される危険な領域がある。銃を突きつけられたも同然の苦しい状況にいたのに、ある日突然、邪魔な人間には遠慮なく「消えて失せろ」と言えるようになるのは往々にしてやっかいな問題を引き起こす

10億ドルの会社を選ぶのではない。10億ドルの創業者を選ぶのだ

スケーリングできるビジネスを探せ

◆創業者に尋ねるべき4つの質問
1.あなたは今どんな仕事をしていますか?
2.あなたはなぜこれをやっているのですか?
3.なぜ今なのか?
4.あなたの不当なまでの優位性は何か?

◆次に聞くべき5つの質問
1.競合について教えてください。
2.どうやって利益を出しますか?
3.顧客にはいくら請求しますか?
4.平均的な顧客はいくら使いますか?
5.このビジネスが失敗する理由のトップ3を聞かせてください。

小さくスタートするのは構わないが、小さく考えてはだめだ。

「なぜ今ならこのアイデアが成功するのか?」
ウーバーの場合は簡単だった。誰もが携帯電話を持っていてその中にはGPSが入っている

見つけ出すべきなのはこの創業者が苦しいときに逃げ出すかどうかだ

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結論から言うと、日本の投資環境にはなじまない本です。正直、関係のない記述が多い印象でした。

ただ、著者のエネルギーに満ちた語り口調、そして要所要所に見られる投資の視点、起業家を見極める視点は参考になります。

話題書には間違いないので、ぜひチェックしてみてください。

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『エンジェル投資家』ジェイソン・カラカニス・著 日経BP社

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◆目次◆

日本語版序文 孫泰蔵
第1章 誰もこういう本を書かなかったので、私が書くことにした
第2章 ブルックリンのガリ勉少年
第3章 エンジェル投資とはそもそもどういうものか?
第4章 エンジェル投資に向いている人間とは?
第5章 優れたエンジェル投資家になるにはシリコンバレーにいる必要がある
第6章 シリコンバレーのどこがそれほど特別なのか?
第7章 スタートアップの資金調達ラウンドを解説する
第8章 わずかしか(あるいは全然)金がなくてもエンジェル投資家になれる
第9章 アドバイザーのメリットとデメリット
第10章 大学新卒でもエンジェル投資家になれる
第11章 エンジェル投資のシンジケートをつくるには?
第12章 ひと月目──まずは10件のシンジケート投資
第13章 2カ月目──30日間、創業者とミーティングを続ける
第14章 最高と最悪のピッチ・ミーティング
第15章 ピッチ・ミーティングの前にやるべきこと
第16章 ピッチ・ミーティングで何をすべきか
第17章 10億ドルの創業者を見つけるには
第18章 創業者に尋ねるべき4つの質問
第19章 さらに深く切り込む
第20章 創業者か詐欺師か?
第21章 案件を評価する
第22章 エンジェル投資家がディールメモを書くべき理由
第23章 出資を断る最善の方法
第24章 デューデリジェンスのチェックリスト
第25章 初めてのイエス
第26章 創業者がエンジェル投資家とつきあう方法
第27章 月次報告書ほど重要なものはない
第28章 エンジェル投資家の悲惨な2年目
第29章 片時も目を離すな
第30章 エグジット──すごい会社は売るのではなく買われる
第31章 自分の打ちやすい球を見つけよう
第32章 エンジエル投資という仕事はどこでどのように終わるのか?
謝辞
訳者あとがき

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