【感動サービスはもう古い?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408338036
エリエスでは、社内交流用の飲料を「カクヤス」さんから仕入れていますが、最近は暑くて飲料の需要が高まっているせいか、電話がまったくつながらない状況が続いています。
あまりにつながらないので先日、やっとインターネット注文に切り替えたのですが、これはエリエスのスタッフのネットリテラシーが低いからではありません。
カクヤスさんのウェブサイトが使いにくいからです。
企業は、お客様を「ネットが得意な人」と「アナログな人」というように見ており、前者がITリテラシーの高い若い人、後者がITリテラシーの低い年配の人、というように見ているでしょうが、現実はそうではありません。
お客様は状況次第でチャネルを選ぶ。ただそれだけなのです。
本日ご紹介する一冊は、デジタル時代のカスタマーサービスの「真実」を論じた、興味深い一冊。
有名マーケターの神田昌典さんが監修を務めていることからも、本書がビジネス上、重要な示唆を含んでいることがわかるでしょう。
本書によれば、多くの企業は顧客の期待を超える「感動サービス」を生み出そうと躍起になっていますが、現実にはそれが顧客ロイヤルティにつながることはありません。
どんなにカスタマーサービスを強化しても、顧客の離脱を防げないのはなぜか。
どうすれば企業はコストをかけず、顧客をつなぎとめておくことができるのか。
本書には、今まで明らかにされていなかった重大なデータが示されています。
さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。
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カスタマーサポートと顧客とのやりとりが発生すれば、ロイヤルティを高めるどころか、4倍もの悪影響を及す
感動サービスよりも、顧客の手間を省くべき
乗車して降車するまで、いっさい何の手間もかからないUBER(ウーバー)を体験している外国人からみれば、日本のタクシーは、丁寧だけれど、手間を強いるのだ
実は顧客はただ約束されたものが手に入ればそれでとても満足していることがわかった。だから何か問題が起こったら、それをあっさりと迅速に解決すればいい
私たちが実施したグローバルな調査では、顧客の企業満足度調査の結果と将来の顧客ロイヤルティとのあいだに統計的な関係は事実上見られなかった。正確には、決定係数は0.13だった
データを徹底的に調査したところ、サービス・インタラクションには満足したが、その一方で率直なところその企業との取引をやめて他から購入しようと思っていると答えた顧客が20%もいることがわかった
よい製品エクスペリエンスをした人の71%が口コミするのに対し、悪い製品エクスペリエンスをした顧客のうち他の人たちにその経験を話したい人の割合はわずか32%だった
ひどいカスタマーサービス・エクスペリエンスが否定的な口コミを招く可能性はすこぶる高い。正確には65%だ
実際のところ、企業にかかってくる電話の約58%は、一応企業のウェブサイトを見てみたが、何らかの理由で、結局コールセンターに電話することになった顧客によるものだ
担当者Aの対応:技術者が明日そちらに伺いますが、時間指定ができませんので、朝8時から夜8時までのあいだ、どなたか家にいていただかないといけません。それでよろしいでしょうか。担当者Bの対応:2時間の時間枠指定でそちらに伺えるのは来週になりそうです。技術者を明日伺わせることもできますが、その場合は時間指定ができません。朝8時から夜8時までのあいだ、どなたかが必ず家にいて技術者が家に入れるようにしていただかないといけないのですが、少なくとも来週まで待たずに、明日問題が解決します。急な話ではありますが、いかがでしょうか。この例では、Bグループは全体的な経験の質を76%高く、顧客努力の度合いを55%低く評価している。この例でも顧客がやらなければならないことはまったく同じである
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ビジネスにおいて致命的なのは、思い込みで多額のコストを掛けて、実際には何の成果も得られないこと。
そんな事態を防ぐには、やはり本書のような、現実を教えてくれる本を読むのが得策です。
なぜ顧客は満足したのに、他の製品・サービスに乗り換えるのか。本書には、経営者・マーケターが知りたい重要な「事実」が書かれています。
なかでも、経験工学に基づくアドボカシーのテスト、肯定的な言葉づかいのテスト、アンカリングのテストによって、顧客の評価が変わる手法は、ぜひじっくり読み込んでいただきたいところ。
これは注目の一冊です。
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『おもてなし幻想』マシュー・ディクソン、ニック・トーマン、リック・デリシ・著
神田昌典、リブ・コンサルティング・監修 安藤貴子・訳 実業之日本社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4408338036/
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◆目次◆
監修者まえがき(神田昌典)
序文
はじめに
第1章 顧客ロイヤルティを巡る新たな戦場
第2章 なぜ顧客はあなたと話したがらないのか?
第3章 カスタマーサービス担当者がしがちな最悪の質問
第4章 できることが何もないように思えても、できることは必ずある
第5章 主導権を握るには、主導権を手渡さねばならない
第6章 ディスロイヤルティを見つけ出せ 顧客努力指標V2.0
第7章 努力の軽減を定着させる
第8章 コンタクトセンター以外での努力
謝辞
注釈
付録
監修者あとがき(リブ・コンサルティング/権田和士)
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