【米Amazon.comで五つ星1300獲得の超注目作】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415209771X
昨日は、人間関係で悩みを抱える友人のために深夜、バーに出掛け、相談に乗っていました。
新宿某所の地下にある、瀟洒なバーですが、そこで、素敵な店員さんに出会いました。
土井が赤ワインを2つ頼もうと思って手を上げると、わずかに遅れて、すっかり酔いが回って周りが見えていない30代の男性が、大きな声でオーダーをする。
瞬間的に土井は手を引っ込め、「後でいいよ」と無言の合図を送ったのですが、ここでの店員さんの対応が素晴らしかったのです。
まず男性のオーダー(カクテル)を取り、その後、土井のテーブルに来てオーダーを取る。ここで客の男性をいったん納得させておいて、カウンターに戻った後は、最初に土井の赤ワインを注いだのです。
そして、その後カクテルを作って、男性客に渡す。それから、土井の赤ワインを運んできたのです。
赤ワインは空気に晒したほうが風味が増すから、お互いWin-Winの関係になる。客のプライドも満たされる。
まるで交渉術でいう、「みかんの皮と中身」のような鮮やかさで、本当に気持ちの良い対応でした。
ということで、前置きが長くなり、かつ強引な展開ですが、本日ご紹介する一冊は、今、アメリカで最も注目されている交渉術の本。
なんと、Amazon.comで五つ星を1300超、地味なジャンルなのに全米で20万部売れたという、異例のベストセラーです。
FBIに所属する一万人の捜査官のうち、国際的誘拐を担当する唯一の首席交渉人、クリス・ヴォス氏が書いた実践的交渉術。これが面白くないわけがありません。
ムヌーキンとブルーム、ハーバードが誇る交渉の達人2人を著者が手玉に取るところから本文がスタートするのですが、これがもうワクワクする。
駆け引きなしに、今、一番読んで欲しい交渉術の本です。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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「つまり、わたしが息子さんを殺しても構わないのかね、ミスター・ヴォス」「すみませんが、ロバート、どうしたら、生きているとわかるのですか」わたしは言った。詫びのことばと相手のファーストネームを使い、会話にあたたかみを添えることで、わたしを脅迫する最初の一手を撹乱しようとした
円滑な関係を築くためのもっとも手早くて効率のいい手段は、ネガティブな感情を認めて発散することだ。わたしは人質の家族に対応するときはいつも、怖いですよねと切りだす
とにかく話を聞かない人に話をしようとしているとき、その頭をこじあける唯一の方法は、相手の反感を買って「ノー」と言わせることである。その最適なやり方のひとつは、相手の感情や要求にまちがったラベリングをすることだ。つまり、完全にまちがっていると承知していることを──例えば、仕事を失いたくないことが明らかな人に「なるほど、ほんとうにこの仕事を辞めたくてたまらないようですね」と──告げるのである。それによって、相手は話を聞かざるをえなくなり、「いいえ、そうではありません。こうです」と言うことで、あなたのことばを訂正して安心する
相手を説得して、自分が達成しようとしていることを見てもらう前に、相手に「そのとおりだ」と言わせる何かを、自分が言わなくてはならないのである
要約を使って、「そのとおりだ」を引きだそう
期限はことあるごとに、本人の最善の利益に反して衝動的なことを言わせたり、やらせたりするが、それは人には期限が近づいてくると急ぐという傾向が、生まれながらにしてあるからだ
わたしは契約を交わした先々に出向き、通常一日あたり二〇〇〇ドル受けとっていた業者に、数か月のあいだ五〇〇ドルしか出せないことを伝えなくてはならなかった(中略)「ろくでもない提案があるのですが」わたしは言い、相手が先を促すまで間を置いた(中略)こうして期待の低さという地雷原にアンカーで相手の感情を固定してから、損失を回避したい気持ちを焚きつけた。「それでも、ほかのだれよりも先に、あなたにこの機会を持ちかけたかったのです」わたしは言った。ここで突然、その電話の用件は、二〇〇〇ドルを五〇〇ドルに削減する話ではなく、五〇〇ドルをほかの人間に取られないためにはどうすべきかという話に変わった。どの相手も取引に合意した。対案も苦情も出なかった
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交渉において、相手の感情を扱うことは最も大切なことですが、本書はその一番大切なことにフォーカスした、交渉の実践ノウハウ。
しくじれば人命が失われる過酷な状況で交渉に成功し続けてきた著者だけに、主張には説得力があります。
著者の現場でのエピソードも読み応えがあり、ミステリー小説を読んでいるようなドキドキ感を味わえました。
ノウハウあり、エンターテインメントありの、じつに興味深い一冊です。
ぜひ、読んでみてください。
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『逆転交渉術 まずは「ノー」を引き出せ』
クリス・ヴォス、タール・ラズ・著 佐藤桂・訳 早川書房
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415209771X/
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https://bit.ly/2syFz2d
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◆目次◆
1 交渉の新しいルール
2 相手のことばをくり返す
3 相手の痛みは、感じるのではなく言語化せよ
4 相手の「ノー」から交渉ははじまる
5 どんな交渉もひっくり返す魔法のことば
6 現実のとらえ方を変えさせる
7 理想の解決策を相手から引き出す
8 実行すると保証する
9 値切り交渉は熱く
10 隠された情報を見つける
謝辞
付録 交渉のためのワン・シートを準備する
訳者あとがき
参考文献
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