【全産業人必読】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569840590
日本の主要製品出荷額約300兆円のうち、約2割の53兆円、就業人口6440万人のうち8.3%を占めている、自動車産業。
その自動車産業が今、危機に直面しています。
いや、危機に直面しているのは、自動車産業だけではありません。それを取り巻くエネルギー、通信、部品、家電、家具、音楽、映像など、ありとあらゆるビジネスが、この次世代自動車戦争の結果いかんで、大きな影響を受けるのです。
ただ問題は、この「次世代自動車戦争」が、あまりに多くのプレイヤー、国が絡んで行われるという点。おそらく、ビジネス、テクノロジー、法規制等の全体像を押さえている人物は、当の自動車業界にもほとんどいないと思われます。
本日ご紹介する一冊は、その全体像と最新レポートを、ベストセラー『アマゾンが描く2022年の世界』の著者で、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授がまとめた一冊。
※参考:『アマゾンが描く2022年の世界』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569837336/
旅行先に持っていくのに、「何でこんなに厚いんだ!」と文句を言いたくなりましたが、読んでみて、厚さの意味がよくわかりました。
本書には、この次世代自動車産業を取り巻く主要プレイヤーの戦力、優位性の分析と、マネジメント体制、鍵となるテクノロジー、法規制、指導者のプロファイルなどがじつに詳細に書かれているのです。
それはつまり、本書が「株式投資の絶好のガイドブックとなる」ということ。
中国最大の検索サービス企業、バイドゥ(百度)が中心となって手掛ける「アポロ計画」に参画する企業はどこなのか、中国当局の規制基準をクリアしてチャンスを手にするのはどこなのか、次世代自動車に欠かせない部品、技術を有する企業はどこなのか…。
各企業の経営者紹介の部分は、まるで戦国武将のガイドブックを見ているようで、じつにワクワクしました。
次世代自動車産業の4つの潮流「CASE」を始め、複雑な戦争の構図をシンプル化するフレームワークも示されており、じつに読み応えがあります。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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半導体消費が大きいことに加えて通信消費が大きいのも、次世代自動車の特徴です。クルマが「IoT機器」の重要な一部になる近未来においては、通信量は膨大なものになります。これらが全て交差してくると「東京電力のような電力会社やNTTドコモのような通信会社がクルマを売る」「トヨタのような自動車会社が電力や通信を提供する」「近未来のメルカリのようなシェアリング会社がクルマの最大の買い手となる」といったことも現実になってくるでしょう
自動運転やEV車のキーとなっている部品を担うメーカーの力が巨大化していることも見逃すわけにはいきません。なかでも象徴的なのは、エヌビディアやインテルといった半導体企業です。なぜなら半導体こそが自動運転の心臓部、あるいは頭脳にも相当するからです。エヌビディアの自動運転向けAI用半導体は優れた計算能力を持ち、トヨタ、ダイムラー、テスラ、フォードといった多数のメーカーがこぞって採用しています
自動運転事業を委託されたのが、「中国のグーグル」とも言われるインターネット検索のバイドゥ(百度)です
「CASE」:次世代自動車産業の四つの潮流
C:Connected(コネクテッド化、スマート化)
A:Autonomous(自動運転)
S:Shared & Service(シェア化とサービス化)
E:Electric(電動化)
いざとなったらグーグルがテスラを買収する。これが本命でしょう。次点としては、テスラの株式をすでに5%保有し、次世代自動車産業にも乗り込んできている中国ITの雄、テンセント
CES2018ではトヨタ自動車も、トヨタ車両へのアレクサ搭載を発表しました。ついに、自動車の領域にまで「アマゾン・アレクサ」経済圏とも言える産業構造を形成しつつある
中央集権型プラットフォームの王者、アマゾンが、他社に先行して非中央集権型・分散型のブロックチェーンをサービスとして提供していくことには本当に脅威を感じます
「アポロ計画」のパートナーには、主だったところだけでも、実に多彩な顔ぶれが揃っています。中国自動車メーカー“ビッグ5”からは第一汽車・東風汽車・長安汽車・奇端汽車。(中略)自動運転の心臓部を握るとされるAI用半導体メーカーでは、米国からエヌビディア・インテル、蘭のNXP、日本のルネサス。(中略)ライドシェアのグラブ・UCAR、通信機器のZTE・ファーウェイ、センサー技術のVelodyneなど
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読み終わってすぐ、複数の企業に投資したい思いに駆られましたが、それがどこなのかは、本書を読んだみなさんの感性にお任せします。
一つだけ言えるのは、本書がこれからの産業の行方、この国の行方をうらなう、重要な書物であること。
厚さに対する心理的抵抗は脇に置いて、ぜひ読んでおくことをおすすめします。
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『2022年の次世代自動車産業』田中道昭・著 PHP研究所
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◆目次◆
序 章 次世代自動車産業をめぐる戦国時代の幕開け
第1章 自動車産業の「創造的破壊」と次世代自動車産業の「破壊的創造」
第2章 EVの先駆者・テスラとイーロン・マスクの「大構想」
第3章 「メガテック企業」の次世代自動車戦略
──グーグル、アップル、アマゾン
第4章 GMとフォードの逆襲
第5章 新たな自動車産業の覇権はドイツが握る?
──ドイツビッグ3の競争戦略
第6章 「中国ブランド」が「自動車先進国」に輸出される日
第7章 「ライドシェア」が描く近未来の都市デザイン
──ウーバー、リフト、滴滴出行
第8章 自動運転テクノロジー、“影の支配者”は誰だ?
──エヌビディア、インテル……
第9章 モビリティと融合するエネルギーと通信
──再生可能エネルギーと5Gが拓く未来
第10章 トヨタとソフトバンクから占う日本勢の勝算
最終章 日本と日本企業の活路
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