2018年5月30日

『マーケティングとは「組織革命」である。』森岡毅・著 vol.5040

【元USJ森岡毅氏、独立後初の著書】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822257959

ビジネス書の世界には、滅多に書かないけれど、書いたら絶対に話題になる著者というのがいます。

海外だと、ジェームズ・C・コリンズ、そして日本だとこの森岡毅さんじゃないでしょうか。

ご存じない方のためにご紹介しておくと、森岡毅さんは、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を奇跡のV字回復に導いた天才マーケター。

実務ができるだけでなく、しゃべらせても書かせても滅茶苦茶面白い、稀有な人物です。

氏が書いた『確率思考の戦略論』は、マーケターなら誰もが読むべき、本格的なマーケティング論です。

※参考:『確率思考の戦略論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041041422/

そんな森岡さんが、USJを辞めて独立後、初めて書いたのが、本日ご紹介する一冊、『マーケティングとは「組織革命」である。』です。

いつも意表を突く方ではありますが、まさか組織マネジメントについて書いてくるとは。正直、面食らいました。

なぜマーケティングを成功に導くのに「組織革命」が重要なのか、どうやれば組織を動かし、新商品やサービスを爆発的ヒットに導けるのか、一介の部長の立場からUSJを立て直した著者の、理論と成功秘話が語られた、じつに興味深い論考です。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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60点の人間に90点を取らせる組織…。それは多くの人生を豊かにします

商品開発は何を行っているのか? 彼らは魚(消費者)を食い付かせるための“エサ(商品)”を開発しています。「魅力的なエサ」は魚を釣るために最重要ですから、商品開発はマーケティング・システムにとって最重要機能だとご理解いただけると思います

鎖の一部分だけを診ても問題の本質はわかりません。しかし一連の機能の繋がりとして診れば、ある部分とある部分の相対的な生産性の比較が可能になり、目的に対して組織の生産性を低く制限してしまっている「ボトルネック」が見えてくる

人体組織から我々が学ぶべき重要なヒントの一つは、各臓器が「上下関係」ではなくて、明確な役割による「共依存関係」で繋がっていること

召使い行動をさせられる側(女性)と、させる側(男性)の間に、長年にわたって上限関係が刷り込まれていきます(中略)そのような毎日を繰り返した女性が、5年経って、10年経って、並み居る男性たちに向かって自分の意見を堂々と主張できるプロに育つでしょうか? 逆に男性達は女性の意見を傾聴できるプロに育つでしょうか? 私はそう思わないのです

「個」の自己保存にとって「群れ」は手段です。「群れ」の成功が「個」の自己保存にとって顕著なメリットがあるのであれば、個は群れを成功させようとします

相対評価に欠かせないのが「評価プール」です。評価プールとは、同じグループとして1番から最下位まで順位付けされる際のライバルとなる個人の束のことです。良い評価プールを設定する原則は、3つです。
(1)1つのプールに一定数以上の大きさを持たせること
(2)競合させる年次やグレードとして似通った人を集めること
(3)できれば職能も似通った人でプールを構成すること

私が考える報酬の原則は、Pay For Performanceの他にも、Pay For Priceがあります。職能に応じた市場価格をベンチマークにして人が辞めないように報酬を支払うというものです

私がかつてハリー・ポッターの提案を通した際にも、プライスレスな価値を感じさせる“感情系便益”には腐心しました。例えば、負け続けることに慣れてしまった多くの人に対しては、心の奥底の種火に火を付けるべく、「このプロジェクトは、子供だけでなく、孫にも曾孫にも自慢できる仕事になる!」と熱く語りました

私は「データ主義の経営者」とよくいわれましたが、最も重要なのは新しい仮説を発想することですね(鈴木敏文氏)

太陽光線が虫眼鏡を使って1点に集中させないと発火しないのと同じで、ターゲットはギュッと絞る(秋元康氏)

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巻末には、「成功者の発想に学べ!」と題して、セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏、作詞家の秋元康氏、湖池屋社長の佐藤章氏、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏との対談が付いていますが、これがまた贅沢な内容です。

なかでも、鈴木敏文氏、秋元康氏との対談部分は、ヒットメーカーを目指すなら、絶対に読んでおくべき内容です。

マーケティングで成功するには、まずインターナルマーケティング(社内マーケティング)から。

その鉄則に沿った、プロマーケターの著者らしい組織論です。

マーケティングのプロも、人事のプロも、ぜひ読むことをおすすめします。

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『マーケティングとは「組織革命」である。』森岡毅・著 日経BP社

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◆目次◆

はじめに 一人でも会社に変化は起こせる!
第1部 組織に熱を込めろ!「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質
第1章 USJを劇的成長に導いた森岡メソッド
第2章 マーケティング革命とは「組織革命」である。
第3章 理想の組織とは「人体」である。
第4章 人間の本質とは「自己保存」である。
第5章 社員の行動を変える「3つの組織改革」
第二部 社内マーケティングのススメ「下」から提案を通す魔法のスキル
第6章 自分起点で会社を変える個人技
第7章 あなたは一体何を変えたいのか?(目的の設定)
第8章 成功のカギはターゲット理解が9割(WHO)
第9章 何が相手に響くのか?(WHAT)
第10章 伝え方の技術(HOW)
第三部 成功者の発想に学べ!起点となって世の中を変えた先駆者たち
鈴木敏文氏 セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問
秋元康氏 作詞家
佐藤章氏 湖池屋社長
佐藤可士和氏 SAMURAI クリエイティブディレクター
マーケティングの力で日本を元気に!

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