【クリエイティブJAPANの障害】
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本日ご紹介する一冊は、音楽教室への著作権使用料問題で炎上した「JASRAC」と著作権の是非について、米国弁護士で著作権に詳しい城所岩生さんが論じた一冊。
現在、同著はアマゾンで部門一位。早々に増刷も決まったようです。
著者によると、日本のITが他国に遅れをとったのは、頑な過ぎる著作権法のせい。
検索サービスにしろ、P2Pにしろ、日本には素晴らしい技術があったのに、この国はその若い芽を摘んでしまったと著者は指摘します。
そして問題なのは、この著作権が、今後日本の主力となる観光産業、文化事業の妨げにもなるという点です。
著者はその例として、「街から音楽が消えた」ことを指摘しています。
店がJASRACの使用料聴衆を恐れるあまり、街から音楽が減ってしまったのです。
音楽のない街なんて歩いていて面白くありませんし、音楽が流れないことで音楽教育もなされない。
本書を読めば、なぜ著作権法が国の発展の妨げになるのか、何が日本の問題なのか、今著者が問題にしている「JASRAC」とは何者なのか、なぜそんな強大なパワーを持っているのか、そのすべてがワンポイントでわかります。
さっそく、ポイントを見て行きましょう。
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検索サービスの技術は日米とも1994年に誕生しました。フェアユース規定のない日本は、一つひとつのホームページに検索サービスに掲載してもいいか、事前に許可を取る必要がありました。これをオプトイン(原則許諾)方式といいます。対して、アメリカにはフェアユース規定がありましたので、許可を取る必要はなく、検索されたくないホームページは自分たちで検索されないよう回避する技術を組み込むことで検索対象から逃れることができました。これをオプトアウト(原則自由)方式といいます。この結果、アメリカの検索サービスはたくさんのホームページを検索対象にすることができ、グーグルといった世界を席巻する検索サービスを生み出すことができたのです
日本のIT化を遅らせたのは著作権法だけではありません。ただでさえ厳しい著作権法をさらに厳しく解釈する裁判所も原因の一つです
Q.5
葬儀で故人の好きだった曲を流すのも使用料を払わなければ行けない?
A.
遺族が持ち込んだ曲でもJASRACに使用料を払わなければならない!
2017年5月、京都大学の山極寿一総長が入学式の式辞でボブ・ディランの「風に吹かれて」の歌詞を引用し、大学のホームページで公開したら、JASRACから連絡が来た
◇基本的に、新聞の見出しのような短いフレーズは著作物とはみなされないため、使用料は発生しない。
◇しかし、JASRACはある特定の曲を連想させる歌詞をツイートしたら使用料が発生すると主張している!
ライブハウスなど包括契約の店舗に関しては、支払った著作権料が適切な著作権者に分配されていない可能性がある
音楽教育を守る会の訴状によると、ツイッター上では約60万ものJASRACに対する批判的なツイートが寄せられた
坂本龍一さん、大政直人さんなど著作権者もJASRACの方針に反発
JASRACは本来、音楽の普及を考えなくてはならない立場であるのに、自身の短絡的な利益を求めるが故に、このような場でBGMをかけることに対しても課金を求めています。この行為が結果的に、街から音楽を消し去り、将来的には権利者、管理団体にとっても不利益な構造を生み出すことは明らかであるにもかかわらずです
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すべてQ&A形式+解説という形を取っており、どこからでもつまみ食いできて、論点だけはすぐわかるのがポイント。
忙しい方でも、これなら読めるはずです。
これから「クリエイティブJAPAN」を実現するには、この著作権法の問題は絶対にクリアしなければダメ。
日本の発展のため、再び活気あふれる日本を取り戻すために、ぜひ読んで話題にして欲しい一冊です。
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『JASRACと著作権、これでいいのか』城所岩生・著 ポエムピース
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◆目次◆
第1章 厳しすぎる? 日本の著作権法
第2章 最近マスコミを賑わしているJASRACって何者?
第3章 音楽教室にまで手が伸びたJASRACの使用料徴収
第4章 何が違う? 日本と海外の著作権法
第5章 日本のイノベーションをも邪魔する著作権法
第6章 今後どうなる? 日本の著作権法
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