【NHKがまとめた人口急減社会】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062884364
本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『未来の年表』と同様、日本の不都合な真実をまとめた、未来予想図。
※参考:『未来の年表』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062884313/
NHKスペシャルの取材班が現地をレポートした内容がメインで、データ中心の『未来の年表』と比べ、生々しい内容となっています。
取材班が注目したのは、「縮小ニッポン」の未来図を見つめるヒントとなる、「地上自治体」。
本書では、北海道、広島、松江、東京にネットワークを持つ同取材班が、「過疎」や「限界集落」の実態、そして現地に住む人々のリアルな声をレポートしており、オリンピック後の日本をありありとイメージさせる内容になっています。
もちろん、データが示す日本の未来は、これからの政策や人々の行動によって変わる部分はあるのですが、本書が扱っているのは「今」であることがポイント。
現在でもこれだけ苦しい自治体があるのに、今後本格的に人口減少が起こり始めたらどうなってしまうのか…。
読めばきっと、この国の未来を悲観せずにはいられなくなると思います。
どんなことが書かれているのか、いくつかピックアップしてみましょう。
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2016年に発表された国勢調査(2015年)によると、我が国の総人口は1億2709万人。5年前の調査と比べて、96万2667人の減少である。「人口減少」と言われて久しいが、実は、1920年(大正9年)の開始以来100年近い国勢調査の歴史上初めて日本の総人口が減少に転じた、ひとつの大きな節目であった
夕張では、破綻後、若年層の流出が加速し、過去10年間で人口の実に3割が減少した。その結果、住民の高齢化率は5割を超えた
2014年5月に発表された「消滅可能性都市」とは、少子化と人口減少が止まらず、将来存続が危ぶまれる自治体を指す。全国の49.8%にあたる896の市区町村が「消滅可能性都市」に挙げられた。選定の基準は、2010年から2040年までの30年間で、子どもを産み育てる中心的な世代である20~39歳の女性が5割以上減少することだ。5割以上減少すると、出生率がいくら上昇しても人口の維持が困難になるとされている
2016年2月に発表された国勢調査(2015年)では、全国の8割以上の自治体が人口減少に陥っている。それとは裏腹に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を合わせた人口は、過去最高の3613万人を記録し、世界最大の都市圏となっている
近年、豊島区に転入してくる若い世代は年収が240万円ほどしかないため、税負担の能力は低い。もし、非正規雇用に従事する人が多いとすれば、将来的にも、給与水準が上がらない可能性がある。もし、彼らが結婚し子どもをもうけることができなければ、税金の担い手となる次の世代につなぐこともできない
「かつては、働けなくなった警備員は、自分のタイミングで地元に帰るなどして仕事をやめていっていました。それがいまは、家族を持たない人が会社の寮に住み続け、文字通り、体が限界を迎えるまで働き続けているのです」
「行政は『コンパクトシティ構想』って言ってるけど、聞こえは良いけどもさ、要は“厄介払いをする”っていうことでしょ。コンパクトにして、金のかかることは一切やらないようにして、そして、地域を整理しますっていう計画でしょ」
東京をはじめとした大都市圏では医療や介護を必要とする高齢者の急増は避けられず、介護施設や医療機関で最期を迎えるのはこれまで以上に難しくなる
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<消滅をタブー視していては、何も進まない。何を守り、何を諦めるのか>
5章の終わりに書かれているこのメッセージが、われわれがこの国で生きていく上で、真に考えなければならないことでしょう。
既存の評価軸の延長上で語るのではなく、本当に日本にとって大事なものが何なのか。
真剣に議論すべき時に来ているのかもしれません。
ぜひチェックしてみてください。
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『縮小ニッポンの衝撃』NHKスペシャル取材班・著 講談社
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◆目次◆
プロローグ
第1章 東京を蝕む一極集中の未来
23区なのに消滅の危機(東京都・豊島区)
第2章 破綻の街の撤退戦(1)
財政破綻した自治体の過酷なリストラ(北海道・夕張市)
第3章 破綻の街の撤退戦(2)
全国最年少市長が迫られた「究極の選択」(北海道・夕張市)
第4章 当たり前の公共サービスが受けられない!
住民自治組織に委ねられた「地域の未来」(島根県・雲南市)
第5章 地域社会崩壊 集落が消えていく
「農村撤退」という選択(島根県・益田市、京都府・京丹後市)
エピローグ 東京郊外で始まった「死の一極集中」(神奈川県・横須賀市)
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