【意思決定ノウハウを使って人生を豊かにする】
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本日ご紹介する一冊は、慶應義塾大学総合政策学部教授であり、意思決定・交渉を専門とする印南一路先生による意思決定入門。
受験や就職、転職、結婚、転居…。
人生の成否はほとんどが「選択」にかかっているわけですが、その選択の技術をきちんと学んでいる人は少ない。
本書は、学問的に確立されている意思決定の手法を簡単に紹介したもので、学生の高橋君と先生の対話を主体に構成されています。
就職の候補企業がいくつかあった場合、どうやって選べばいいのか、どうすれば後悔しないのか。反対に雇う側になった場合、どうやって選べば間違いないのか。
総合評価法や突出評価法、自動選択機などのツールを使ってうまい意思決定をするやり方が解説されており、選択のヒントを得ることができます。
また、集団の意思決定に関する注意点も述べられており、マネジャー、経営者はこちらも合わせて読むといいでしょう。
なかでも、前半の3つのパターンはよくあるケースで参考になるはず。
1.どの選択肢も完璧なものではないので、うまく選択できない
2.選択肢が多すぎて、的確に選択できない
3.条件が多く複雑で、素早く選択できない
どんなノウハウが書かれているのか、さっそくチェックしてみましょう。
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とにかく選択肢を減らしさえすれば何とかなる、と考えがちなんだけど、実際にはなかなかうまくいかない。何か基準を作って順番に選択肢を減らしていこうとする方法を、私は「順次消去法」と呼んでいるのだけど、その方法を選んだこと自体、罠にはまっている
「帯に短し、たすきに長し」のような状況では、全部の選択肢を全部の評価基準で、しかも同時に評価する必要がある
ウェイトを用いることで重要性の度合いがより明確化する
順序消去法だと、2番目に何を基準にするかで結論が変わってしまったけど、総合評価法では評価基準の間での順番は関係なく、あくまでウェイトが重要、ということになる
他人のアドバイスを受ける時には、結論を聞くのではなくて、評価基準として何がふさわしいのかを聞くほうがずっと賢い
総合評価法だと望ましい順序が分かるだけでなく、点数の差という形で、具体的に選択肢の間にどれくらいの優劣の差(距離)があるかも判断できるようになる。B社とC社の間での優劣の差が小さいようなら、決定的とまでは言えなくなるから、また別の選択肢を考えてみてもいい
「感度分析」という技術を教えよう。これは一応の結論が出た後にウェイトを変えてみて、結果がどう変わるかを確認する方法だ
いざ進学や就職をすると、その前に漠然と持っていたイメージが崩れ、現実的になるし、何より同調圧力がなくなるから、冷静に考えるようになる。そうすると、本当はどんな学部で何を学び、どんな業界でどんな活動をして、どういう人間になりたいかという理念や信念、キャリア的な視点が生まれてきたりして、それらと現実の自分との間にギャップが生じる。それが結果として「後悔」につながる
飛び抜けた選択肢は突出評価法で選び出す
みなが見ていると見栄や意地が心に必ず忍び込んでくるから、「掟」はなるべく具体的にしておいたほうが守りやすい
もし完全に相関している基準なら、二つを同時に使うのは良くない。知らずにウェイトを倍にしていることになりかねない
より良い選択をしたいと思うならば、人とアイディアを切り離す作業が不可欠
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シンプルに意思決定の方法を説いた内容で、入門者には良いと思いました。
ただ途中、『人生が輝く選択力』から逸れる部分もあり、そこが残念。
もっとタイトルに忠実に作り込んでいたら良い本になったのに、と思いました。
意思決定論を学んだことのない方に、オススメの入門書です。
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『人生が輝く選択力』印南一路・著 中央公論新社
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◆目次◆
第1章 「帯に短し、たすきに長し」からベストを選ぶ 総合評価法
第2章 膨大な選択肢から的確に選ぶ 突出評価法と事前選抜
第3章 場面別に適切なものを素早く選ぶ 自動選択機
第4章 どこまで会議は効率化できるか 集団力学による意思決定
第5章 すぐれたグループの意思決定
思考を大きく発散させて効率的に収束させる技法
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