【生涯未婚時代の到来?】
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セミナーなどでは、常々お伝えしているのですが、この国は結婚制度と労働法を変えていかないと、もううまくいかなくなると思っています。
なぜなら、この2つの要素は、GDPの構成要素(人口と生産性)と直結しているからです。
労働に関する議論は、電通の事件やヤマト運輸の問題などを受けて、急速に進みましたが、結婚に関する議論は、いまだ個人任せ、という印象です。
このまま国が手をこまねいていると、個人の方で適応するしかない。その適応が全体にとって良い方向に向かうのかどうかは、まったくわかりません。
そこで今後の結婚や家族のあり方を考える上で、参考にしたいのが本日ご紹介する一冊。
家族社会学を専門とする永田夏来さんが書いた、『生涯未婚時代』です。
新書で結婚の話、というと、山田昌弘さん、白河桃子さんによるベストセラー『「婚活」時代』を想起させますが、本書は結婚に関する「その後」のトレンド、今の若い人たちの考え方を取り上げた、最新の論考です。
※参考:『「婚活」時代』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4887596235/
若い男女の結婚観がどう変わってきたのか、それはなぜなのか、結婚は今後どうなるのか…。
気になるポイントを、さっそくチェックして行きましょう。
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国立社会保障・人口問題研究所の『出生動向基本調査』によれば、一九九〇年代以降、一九~三四歳の未婚男女が「結婚相手に求める条件」で最も「重視する」のは男女ともに「人柄」です。次いで「家事能力」「仕事への理解」が男女ともに重視されています
バブル期の恋愛は女性に地位がないために男性の地位で自分が決まっていた
セックスが「かっこよかった」時代の終焉
雇用や経済が激変した今日、家族にだけ高度経済成長期の機能を期待するのは無理がある
生涯未婚時代において求められるのは、現状を維持する力ではなく、不要なものを整理する力なのではないでしょうか。親から受け継いだ土地やお墓は愛着があるものですが、それを維持するだけの経済的資源も人的資源も乏しくなっていくのがこれからの宿命です
これまで金銭の問題とされていたことのうちのいくつかは、もしかすると他の資源で代替できる可能性を視野に入れておく必要がある
信頼ベースで成立させる共同体は「うまくいっている」時には問題がないのですが、衝突などが起きた時にはそれを吸収する術がないという点に注意が必要です
結婚をする人生もしない人生も同じくらい尊い
現在の日本社会では、独身のままで社会の「お荷物」にならないように人生を終えようとした場合の選択肢がほとんど示されていない
「性・生殖・愛情」という三位一体が解体する
時間の進み方は人によって異なる
家族は以下のうちのどちらかになっていくと予想されます。一つは、現在「地方に住む若者」が実践しているように、ノイズの少ない閉じた人間関係の基盤として家族が位置付けられる状況です(中略)もう一つの方向性は、自分とは違う他者がたくさんいるという前提で社会の中に身を置き、必要な人間関係をその都度選択するという生き方です
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結婚に関して出されているさまざまな統計や書籍を紐解きながら、現在の結婚観をあぶり出しており、興味深く読ませていただきました。
「結婚をする人生もしない人生も同じくらい尊い」という著者のメッセージは、これから社会の中で一定のプレゼンスを持つのではないかと考えています。
未来の家族のあり方、個人のあり方を考える上で、参考になる一冊です。
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『生涯未婚時代』永田夏来・著 イースト・プレス
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◆目次◆
一章 生涯未婚時代とは何か
二章 生涯未婚時代は男性をくじいている
三章 社会が変わっても「結婚」が変わらない理由
四章 生涯未婚時代を生き抜く処方箋
五章 生涯未婚時代から未婚者包摂社会へ
六章 他者と交わるということ──生涯未婚時代の課題──
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