2017年7月20日

『人気ストラテジスト直伝 本音の株式投資』井出真吾・著 vol.4747

【読み応えあり。】
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「プロと素人の違いは何か?」

もちろん、スキルや経験もあると思いますが、個人的には、道具の違いが大きいと思っています。

その証拠に、プロが使うフライパンや鍋を使うと例外なく料理が美味しくなりますよね。

では、株式投資における道具とは何か?

それはもちろん、「情報」です。プロは持っている情報が違う。だからこそ、勝てるのです。

本日ご紹介する一冊は、「Newsモーニングサテライト」「報道ステーション」「日経プラス10」などでおなじみの人気ストラテジスト、井出真吾(いで・しんご)さんによる初の著書。

プロがやっているPERやPBRの使い方、高ROE銘柄を分析してわかった真実、個人投資家にはまだまだなじみの薄いスマートベータ(賢い指数)…。

最近よく買われているETFの仕組みについても詳しく解説しており、今後のリスクや問題点がよくわかる内容となっています。

広範囲・中長期の統計データに基づき分析しているので、株価と各種指標との関係の「真実が見える」のが特長です。

さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。

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スマートベータ(賢い指数)というものがあります。科学的に勝つことを目指したアクティブ・ファンドの一種で、年金など一部の機関投資家は活用していますが、個人投資家の方にはまだまだなじみのないものでしょう。しかし、TOPIXや日経平均よりも優れた指数なので、機関投資家ばかりが利用するのはもったいないことです。ぜひ個人投資家にもスマートベータに連動するETFなどを利用してほしいと思います

企業自身が発表した業績予想に基づく日経平均ベースの1株利益(EPS)を14倍した値が適正ゾーンの下限、16倍した値が上限

株価が下落を続けているときは「割安かどうか」よりも、まずは「下限のメド」に関心が集まります。多くの投資家が株価の反転タイミングを図るからです。そんなときに役立つのが、株価を1株あたり自己資本で割ったPBR(株価純資産倍率)です。なぜなら市場が過度に悲観的なときは、業績よりも資産価値を意識することが多くなるからです

下値のメドはPBR=1倍

リーマンショックのように強烈な危機が起きたときは0.8倍強まで売り込まれたこともあります

過去15年(2002年3月期~2016年3月期)について業績予想の推移を振り返ると、うち11年は最終的に増額されました。特に中間決算を発表する10~11月に大きく修正したケースが多いことが目立ちます。逆に下方修正は、リーマンショックが起きた2008年度や東日本大震災に見舞われた2011年度などに限られます

中間決算で上方修正する銘柄は期末にも自信がある

(上方修正の)常連企業には自動車・輸送機、鉄鋼・非鉄、機械が目立ちます

外国人の平均保有期間はきわめて短く、平均的には買ってから3カ月で売却してしまいます

自社株には季節性があります。毎年4~6月は年間でもっとも多額の自社株買い計画が設定される傾向

ブラックスワンが現実に起きたとき株価が下落しやすいのは、日銀のETF買いで株価が割高になっている銘柄

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下落局面ではPERよりPBRを見ること、外国人投資家の後を追うとしくじること、レバレッジ型ETFは長期保有に向かないことなど、さまざまな気づきがありました。

209ページに、「個人が利用可能なスマートベータの金融商品」の一覧もあり、じつに有用な一冊でした。

読者がこれまでどんな本を読んできたかによりますが、これまでの常識が覆される一冊だと思います。

個人投資家は、ぜひ読んでみてください。

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『人気ストラテジスト直伝 本音の株式投資』井出真吾・著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

第1章 日経平均の本当の予想方法
第2章 企業業績の本当の読み方・使い方
第3章 ROEの本当の意味・進化する投資術
第4章 「外国人が買った株」の本当の姿・投資への活かし方
第5章 投資の常識は本当か
第6章 「日銀は株価を歪めていない」は本当か
第7章 「賢い指数」は本当に儲かるか
終 章 本音で語る世界経済の行く末

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