2017年5月1日

『池上彰の世界はどこに向かうのか』池上彰・著 vol.4667

【池上彰、東工大の学生に語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532176190

本日ご紹介する一冊は、2012年4月から東工大で教鞭をとっているジャーナリストの池上彰さんが、その講義内容を一冊にまとめたもの。

同じ内容を、日本経済新聞月曜日朝刊の「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」で連載しており、本書はその内容を現時点で加筆・修正したものです。

タイトルには、『世界はどこに向かうのか』とありますが、正直、未来予測に役立つ内容ではありません。

アメリカの大統領選挙や、トランプ大統領批判、国際情勢、日本の政治などが中心の内容で、政治の基本や歴史を学ぶのに役立つ本、といった方がいいかもしれません。

写真付きで、歴史を作ったニュースの数々を紹介しており、なぜわれわれの社会が現在こうなっているのか、その理由がスッキリわかります。

ジャーナリストならではの批判的なニュースの読み方や数字の見方が書かれており、若いビジネスパーソンに読ませるにはピッタリの内容だと思いました。

さっそく、内容をチェックしてみましょう。

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2017年1月、就任演説にのぞんだトランプ大統領は、「我々は2つの簡単なルールに従う。『アメリカ製品を買い、アメリカ人を雇う』というルールだ。行動を起こすときだ」と強く訴えました。そして「強いアメリカを再建する」という自国最優先の政策を実行し始めています

アメリカという国は、一国主義的な外交政策をとりがちな国なのだ、ということを認識したうえで、これからのトランプ大統領の選択とアメリカの行方を見ることにしましょう

政権によってメディアが選別されるとき、メディアが協力して民主主義のために戦えるか、アメリカでのできごとは、他人事ではない

まず相手が驚くような要求を吹っかけて相手を動揺させる。そのあとで、最初よりは穏健な案を提示すると、相手はほっとして要求を受け入れる。これが、トランプ大統領が「好きだ」と明言している取引(ディール)の手法です。議会演説を見て、「トランプも大人になったか」などと思っては術中にはまるのです

自由貿易を否定し、中国製品など外国産の商品に高い関税をかければ、結局はアメリカ国内での物価上昇につながり、トランプ氏に投票した人たちの生活が苦しくなります。そうなったとき、彼らはどんな反応を示すのでしょうか。そのときトランプ大統領は、どこかに「敵」をつくり出し、敵に向かって国民の団結を呼びかける。そういう事態になることを恐れます

アメリカのメディアのように、選挙の前に候補者の金銭問題を追及するのは大事なこと

第1次大戦が終わっても、世界は次の戦争を防ぐことができませんでした。1929年、ニューヨークで株価が暴落すると、世界は「自分の国さえよければ」と保護主義に走り、世界経済は深刻な不況に陥りました。「自国さえよければ」という態度がかえって不況を深刻化させ、やがて第2次大戦へと進んでいきました

ヨーロッパから戦争をなくすには、過去にしばしば戦争をしてきたドイツとフランスが和解することが必要。それを周辺の国々が保証人となって推進しよう。これが、欧州統合への第一歩でした

人生への恐れをなくすことを恐れよ

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歴史がわかって、ニュースもマメに見ている方なら、さほど目新しいことはないかもしれませんが、ニュースを見る前の「基礎知識」を得るには、最適の一冊と感じました。

ニュースをキャッチアップしたい方に、また高校生・大学生のお子様がいらっしゃる方に、おすすめしたい一冊です。

ぜひチェックしてみてください。

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『池上彰の世界はどこに向かうのか』池上彰・著 日本経済新聞出版社

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◆目次◆

第1部 「米国編」アメリカ・ファーストの衝撃
第2部 「世界編」“まさか”が起こる世界
第3部 「日本編」この国のあしたを考える
第4部 「大学編」君たちが生きるヒント

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