【客室数日本一、東横インの秘密とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822237362
デキる経営者とサラリーマンの本棚の違い。それは「ケーススタディをしっかりと読み込んでいるかどうか」です。
傾向として、サラリーマンは普遍的なもの、転職しても使えそうなスキルやノウハウを好むのに対し、経営者は明日にも陳腐化しそうな一企業の「ケース」を好んで読むのです。
ちなみに、サラリーマンが自分や自分の業界・仕事と関係ある本ばかり読むのに対し、経営者は他業種の本にまで手を伸ばします。
なぜそんなことが起こるのか。
それは、彼れが他業界のケースを学び、そのノウハウやアナロジーを自分の会社に転用することで、イノベーションを起こしているからです。
そこで本日ご紹介したいのは、流行の「グローバル」や「多様性」とは相容れない経営で、大成功している「東横イン」のケーススタディ。
「日経トップリーダー」の記事を再構成し、かつ新たに書き下ろした部分を加え、一冊にまとめたものです。
2016年3月期は売上高801億円、経常利益は177億円と、いずれも過去最高を記録しているという同社。
本書は、そんな同社のサービスやマネジメントが詳細にわかる内容で、経営者目線で見れば、じつに勉強になります。
男性客を引きつける方策、また現在深刻化しているマンパワー不足に対応する方法論として、じつに興味深い内容でした。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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予定より少しでも利益が出ると、返済に回すよう繰り返し要求してくる金融機関側に、黒田が椅子から立ち上がり、毅然と反論した。「震災後、被災地の店舗の支配人やスタッフたちは、一人二役、三役で頑張っています。予定を超えた利益は、施設の修理などに使わせていただきます」終了後、役員たちから「あれはよかった」との声が上がった
「男は床屋と枕は変えない」というのが創業者・西田氏の持論。東横インが目指すのは、床屋と枕のように宿泊客がクセ(習慣)で泊まるホテルだ。利用頻度が高い人ほどホテルに変化を求めず、いつもと同じであることを心地よく感じる。日常型ホテルの客室は均一がいい、という考え方だ
書きものやパソコンなど客室の机で広々と作業ができるように、テレビは壁掛け(古い店舗などを除く)
10人泊まって2人しか必要としないものは、コストが割高になるので置かない。これを常に意識し、時代によって変えている
たのやくは月刊誌で約130ページ、毎回20誌程度から転載。旅やグルメ、占い、パズルから経済までさまざまなジャンルの雑誌・書籍から記事をセレクトしている(中略)年齢、性別など多種多様な宿泊客の興味を引く記事を、自前で編集・制作するには多大な労力と費用がかかる。その点、転載記事なら質が高く、バラエティーに富んだ記事を掲載できる
ビジネスマンの場合、客室料金は会社が負担しているので、その金額は覚えているようで覚えていない。数百円の違いなどさほど記憶にない。でも、飲料は自分のお金で買う。「ホテルの自販機なのに、コンビニ価格だった」というのは頭に残り、また東横インを選んでもらえる
宿泊客のために24時間利用可能なコインランドリーを設置
「コンビニの袋を隠さずに堂々と持って入れる」
いつどこで泊まっても、チェックインとチェックアウトのときは同じフロントスタッフが対応してくれる。フロントの勤務体制が、ホテル業界では珍しい「25時間勤務の1勤3体制」を採用しているからだ
東横インの支配人の平均年齢は48歳。ホテル業界での勤務経験を含め、過去の職歴は一切問わない。やる気と適性さえあれば、専業主婦の経験しかなくても、支配人として採用する。結果として、育児が一段落した30~40代の女性を採用することが多い
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若干、宣伝臭が強いのが気になりますが、同社の商品・サービスを知る上で役に立つ資料であるのは間違いありません。
男性客の気持ちを知り、女性支配人がきめ細やかなサービスをする。東横インの強さをまざまざと見せられました。
チェックイン時のスタッフとチェックアウト時のスタッフが同じになるシフト体制、少子化でも人材調達できる理由、いちいち勉強になることばかりでした。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『あの会社はこうして潰れた』
帝国データバンク情報部、藤森徹・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
第1章 「私がやります」 帰ってきた跡取り娘
第2章 なぜ「1泊6000円」でも快適なのか? 東横インの秘密51
第3章 世界中どこに行っても東横イン
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