【倒産劇の真実とは?】
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本日ご紹介する一冊は、日経電子版の好評連載を書籍化した、待望の一冊。
著者は、膨大な企業倒産情報を持っている帝国データバンク情報部と、同情報部で25年間企業取材を行なっているというベテランの藤森徹さん。
老舗ゲーセンのザ・サードプラネット、脱毛大手のジンコーポレーション、新電力の旗手と呼ばれた日本ロジテック、ジーンズの国内トップメーカーエドウィン、アイスノンなどの家庭用品で知られる白元など、聞いたことのある企業がズラリと並び、その破綻原因を淡々と書いています。
それぞれの企業が倒産した理由はさまざまで、本書では以下のような例が挙げられています。
突然のショックによる売上減
資金繰りの悪化
取引先に広がった信用不安
供給不足
マネジメントの失敗
財テク
具体的にどういうことなのか、破綻の徴候に気づくにはどうすればいいのか、破産を防ぐにはどうすればいいのか…。
投資・経営のヒントが満載の一冊です。
さっそく、チェックしてみましょう。
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老舗ゲーセンのザ・サードプラネット
赤字続きの経営でキャッシュフローが乏しいため、リニューアルが後手に回った。ゲーム機器や施設の陳腐化はさらなる客離れを招いた。そこにスマホを活用したソーシャルゲームの普及と消費増税の影響が襲いかかり、経営が行き詰まった
あきれたことに、加賀屋の経営陣は着服した総務経理部長を解雇しなかった。それどころか、そのまま経理業務を任せていた。「ほかに経理が分かる社員がいなかった」からだという
脱毛大手のジンコーポレーション
急成長のあおりで既存会員の予約が取りにくい事態が発生。サービスに不満を感じた会員からの解約が増加し、資金繰りの計画が合わなくなった
財テクが恐ろしいのは、社長自身が情報を抱え込む衝動を抑えられなくなることだ。「もうかったら人には言わない。ましてや損をしたら絶対に外部には言わない」のだ。ゆえに発覚したときは、損失がとてつもない規模に膨らんでいることが多く、手遅れとなったケースが少なくない
白元の経営は、鎌田一族による同族経営が築かれていた。初代社長の泉は創業以来「本業一筋」を理念に掲げ、「身の丈に合った経営」を貫くことで業界トップに上りつめてきた。(中略)ところが三代目の収が社長に就任したころから、「身の丈」から外れた経営が目につくようになる。00年ごろから始まった子会社の設立と、M&A(合併・買収)戦略により、銀行からの借金は膨らみ続ける。中国で現地法人を設立したほか、明治薬品工業、大三、キング化学などを立て続けに買収し、グループの拡大を進めていった。しかし、結局は事業拡大路線が思ったほどの効果が出ないことから、わずか数年の間に吸収合併や、統廃合を強いられる。結果的に、収の社長就任以来、借入金は3倍以上の80億円弱にまで膨れ上がった
帝国データバンクが保有する企業データベースによれば、老舗といわれる「業歴100年企業」には3つの特徴があることが分かっている。1つ目が事業承継(社長交代)の重要性。2つ目が取引先との有効な関係。3つ目が「番頭の存在」だ。白元はこの3つが十分に備わっていなかった
年末年始、大型連休、年度末などの直前に動きを活発化させるのもパクリ屋の特徴の1つ。決算直前やシーズンの節目に売り上げ実績が欲しい企業にとって、新たな取引先からの大口受注は干天の慈雨に思えてしまう。これを逆手に取ったうえ、長期の休暇を挟めば、逃亡や証拠隠滅の時間を稼げるのが、その理由だ
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倒産が恐いのは、それによって人々を豊かにしていた良質な商品・サービスが永遠に失われてしまうこと。
そんな残念なことにならないためにも、しくじる理由については、きちんと知っておきたいものです。
ほぼ事例集で、詳しく書き込まれているので、各社の事情はよくわかりました。
起業したい人、既に起業している人、マネジメントに携わる人は、ぜひ読んでおきたいところです。
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『あの会社はこうして潰れた』
帝国データバンク情報部、藤森徹・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
第1章 構造変化に呑まれた企業はこうなる
第2章 老舗企業のたどった末路
第3章 あの上場会社はこうして潰れた
第4章 ベンチャー企業はどこでつまずいたか
第5章 捨てられる会社、捨てられる社長
第6章 闇経済、不正、詐欺の舞台裏
第7章 出版業界のタブーに迫る
第8章 あなたもその倒産に巻き込まれる
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