2016年10月15日

『中国人エリートは日本をめざす』中島恵・著 vol.4469

【じつは早稲田が人気。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121505654

年内をめどに一人、中国の留学生を採用する予定です。

彼女は、中国語、日本語、フランス語、英語がペラペラ。東京大学の大学院を蹴ってまでエリエスに入社してくれるわけですが、どうしてそこまで日本で働くことにこだわるのだろう? と正直疑問に思っていました。

そこで手に取ったのが、ジャーナリスト中島恵さんが書いた、『中国人エリートは日本をめざす』。

そしてそこには、驚きの中国人の本音が書かれていました。

<日本人の生活は「理想的」>
<ワンダーランド>
<数百万円かけてでも、東大に入りたい>
<世界ブランドを持つ日本企業に就職して、国際的に活躍してみたい>
<日本で、日本人みたいな暮らしをしてみたい>

にわかには信じられない話ですが、どうやら本当の話のようで、事実、現地では日本に留学するための予備校が大人気。

東京・大久保でも約5000人の“金持ち”中国人予備校生がいて、日本の大学合格をめざして日夜勉強に励んでいるのだそうです。

そこまで意欲が高いのであれば、今後、中国人の採用・活用を考えない手はない。

本書には、実際に中国人を受け入れている日本企業の現状についてもレポートがあり、雇用を考える経営者にとっては、大いに役立ちます。

さっそく、いくつかポイントを見て行きましょう。

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中国人の日本に対する興味は、単なる「モノ」の消費から「コト」の“体験”にまで範囲が広がってきており、一六年以降、その勢いは驚くべきスピードで加速している

日本人には信じられないことだろうが、彼らの言葉を借りるならば、日本は「出来すぎた国」で、日本人の生活は「理想的」。ひとたび日本に来てみれば、毎日楽しくて仕方がない、夢のようなワンダーランドなのである

厚生労働省の調査によると、一五年末の時点で、在日中国人は約六六万六〇〇〇人。在留資格別に見ると、ホワイトカラーが増えており、「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得者は約六万人に上っている

早稲田がダントツのトップ、二位が東大、三位が日本経済大学

『早稲田は李大?、陳独秀が学んだ由緒ある大学』

「同志社」は一部の人が中国語で読むと「ゲイが集まる場所」という意味に受け取られ、中国人には敬遠されることがあるのだという

日本の大学は英語教育とか世界照準に合わせるよりも、むしろもっと日本文化を教えるような日本ならではの個性的な授業を増やすほうがいいんじゃないか

学費は年間で七四万円。他に寮費が三〇万円かかるが、「関西言語に通えば、日本の一流大学に必ず入学できる」と夢見る学生は多く、「今後は学院のキャパシティを増やして対応していく」と松尾は意気込む

「中国人留学生といえば、やはり東北育才出身者が多いですね。日本語力が格段に違います」(東大の教授)

「留学の低年齢化」という潮流は、韓国から中国へと広がっている

「早稲田には英語だけで学位が取れるコースが学部、大学院合わせて五〇コースもあるんです。これが中国人にとっても大きな魅力になっていると思います」(早稲田大学の担当者)

日本の初任給は厚生労働省の一五年の調査で大卒男子は約二〇万四〇〇〇円と、単純にいって中国の二・五倍

「最近、クライアント企業から外国人社員向けの研修として、『日本の和の文化を教えてほしい』というリクエストが増えているんですよ」(グローバル人材戦略研究所社長小平達也氏)

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東京大学の人気はわかりますが、じつは人気ランキングでは早稲田がダントツのトップというのが驚きでした。

その理由は、早稲田は中国共産党の創設メンバーの2人が卒業した大学だからだそうです。
(ちなみに慶應義塾は『ビリギャル』のおかげで知名度が上がっているものの、いまだランク外だそうです)

彼の国の価値観がわかれば、何が売れるかも容易にわかる。

塾ビジネスの経営者は必読。学校関係者も必読。ビジネスパーソンにとっては、意外な切り口から中国人を理解できる、興味深い一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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『中国人エリートは日本をめざす』中島恵・著 中央公論新社

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◆目次◆

第1章 東大、早稲田……日本に留学したい本当の理由
第2章 留学生を支える予備校ビジネスの実態
第3章 過酷すぎる中国の大学受験戦争
第4章 一八歳人口の減少におびえる日本の大学
第5章 なぜ彼らは日本で働きたいのか
第6章 ダイバーシティをめざす日本企業に足りないもの
第7章 日本を選んだ中国人エリートの先駆者たち

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