【一流の言葉はなぜ、研ぎ澄まされるのか】
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先日ご紹介した『“トークの帝王”ラリー・キングの伝え方の極意』に、<達人は「仕事への情熱」を語る>という項目がありました。
※参考:『“トークの帝王”ラリー・キングの伝え方の極意』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799319582/
どんな分野であれ、自分の仕事に情熱を持っている方のお話は、いつだって面白いものです。
そういう意味で、土井が注目したのが、本日ご紹介する『広告をナメたらアカンよ。』。
元電通のカリスマクリエイターで、現在はクリエーティブディレクター、コピーライター、関西大学社会学部教授として活躍する、山本高史さんによる、注目の一冊です。
もともとは、「宣伝会議」の連載を加筆修正したもので、広告史に残る名コピーを、著者と書き手本人が解説するという、じつに刺激的な内容です。
著者の鋭い分析に、書いた本人やクライアントが解説を加えるというもので、プロ同士の刺激的な応酬が読ませてくれます。
著者の時代を読む目、なぜメッセージが変化するのか、受け手の心をどう捉えればいいのか、といった点が学べる、高度なコミュニケーション本です。
仲畑貴志(「『人間は、全員疲れているのだ』と仮定する。」)、太田恵美(「そうだ 京都、行こう。」)、小野田隆雄(「恋は、遠い日の花火ではない。」)など、そうそうたるプロが持論を展開しており、読み応えがありました。
さっそく、いくつか内容のエッセンスを見て行きましょう。
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あえて王様の耳の禁に触れると、「おいしい生活。」というコピーで、今の百貨店でモノは売れまい。「おいしい生活。」という言葉で、今の生活者の心は動くまい
コンテンツはそのカタチの変化を後追いするように、適合するように変化を始める
「男は黙ってサッポロビール」
明るくにぎやかな世間では、寡黙な男は居心地が悪い。それでもビールくらいはうまそうに飲みたい。「男」はそんな「時代」を背景に「黙って」いた。送り手側にしてみれば、「男」が満たされているのであれば、ことさら「男」を描くことにマーケットを刺激する面白みもない。満たされていないからこそ、ビールの、その広告の果たすべき仕事が見えてくる
明日が待ち遠しいのは、今日に何かが足りないからだ
最後に「広告の善意」について尋ねた。
「だったらいいな、やな」と仲畑さんは言った。
「それは広告屋の矜持やけど、言わんほうがええな」。
そんなこと、クライアントに共有するわけにもいかないし、受け手の善意ある理解をあてにすると、仕事が幼くなる。だから、「言わんほうがええ」なんだと理解した
ことばは道具だから、時と共に持ちやすく、使いやすく変えられる。
(仲畑貴志)
「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本がある。かつてクルマの広告のボディコピーで、スペックをこれでもかというくらい並べられていた時には、その「走る、曲がる、止まる」のどれにも幸せな不足があった。不足は進化を待望する。だからこそ受け手は、少々の長さや級数の小ささを厭うはずがなかった(中略)スペックは進化の指標であるならば、進化のゴール(終わり)が近いと、もう役割を終えてしまう
「そうだ」の言葉の役割は、山本さんが指摘するスピード感ではもちろんあるが、それ以上に「そうだ、私には京都だわ」でもある。コピーは、京都を威張ったり誉めるためにあるんじゃない。さんざんに藻掻く今のあなたをわかっているから来てみればと誘うためにある。これからもありたいと思う(太田恵美)
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「おわりに。」では、著者の広告への愛と感謝が伝わってきて、思わず胸がいっぱいになりました。
『案本』の時もそうでしたが、今回も、実用性と感動が絶妙にブレンドされています。
※参考:『案本』
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遠慮せずに買って、グッと行っちゃってください。
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『広告をナメたらアカンよ。』山本高史・著 宣伝会議
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◆目次◆
はじめにの前に。
はじめに対談「しりあがりさん、どう思います?」
もともとは、「広告を『読む』。」という連載でした。
1「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」
2「美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。」
3「男は黙ってサッポロビール」
4「おじいちゃんにも、セックスを。」
など
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