【社長が隠れて読む名著】
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経営で大切なのはロマンであり、ビジョンであり、お客様である。
これは変わらない真理ですが、実際の経営には、政治や人間関係が重くのしかかってきて、思うように行かないのが現実です。
そこで読んでおきたいのが、本日ご紹介する一冊。
『組織サバイバルの教科書 韓非子』は、中国古典研究家の守屋淳さんが、『論語』と『韓非子』を比べながら権力や政治、リーダーシップを論じていくという、一風変わったコンセプトの本。
日本人の組織観に大きな影響を与えた『論語』に潜んでいる、「拭いがたい短所」を指摘し、『韓非子』の現実的な思想を説いています。
・現代の大企業に受け継がれた「徳治」の問題点
・先輩や、お世話になった人には、特に逆らいにくい
・君主のお気に入り、必ずしも組織のためにならず
など、気になる言葉がたくさん並んでいて、人を動かすための実際的な知識・思想を学ぶことができます。
もともと、『韓非子』といえば、「経営者が愛読しているにもかかわらず、それがほとんど口外されない名著」として有名。
それがリーダー、マネジャー向けに解説されているということで、これは読まない手はないでしょう。
さっそく、気になるポイントをチェックして行きます。
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うなぎは蛇に似ているし、蚕はいも虫にそっくりだ。人は蛇を見れば飛び上がって驚き、いも虫を見ればぞっとして毛を逆立たせる。それなのに、漁師はうなぎを素手でつかみ、女性は蚕を平気でつまみあげる。利のあるところでは、みなとんでもない勇者となる
厳しい刑罰は、人民に忌み嫌われるが、これこそ国が治まる大本なのだ
◆子産の指摘した「やさしい政治」の問題点
ゆるやかな政治で人民を服従させるのは、よほどの有徳者でないと難しい
昔、みなが財物に執着しなかったのは、思いやり深かったからではない。人の数より財物が多かったからなのだ。現在、みなが争いに明け暮れるのは、賤しいからではない。人の数より財物が少ないからなのだ
・孔子……人は教育によって良くも悪くもなる
・韓非……人は置かれた状況によって良くも悪くもなる
君主は、自分の死が利益になりそうな人々に注意を払わなければならない。太陽や月にかかるカサのように、外の守りを固めたとしても、賊は内側にいるのだ。自分を憎む人間にいくら備えたとしても、禍は自分の愛している者にやどるのだ
相手のためにやっているんだ、という気持ちが差し挟まれると、人は相手を責めたり、うらんだりしたくなる。自分のためにやっているんだ、と思えばうまくいく
◆兵法書『尉繚子』(うつりょうし)の指摘
みせしめに殺すなら、なるべく位の高い者がよい。
また、賞を与えるなら、なるべく位の低い者がよい。
昔のことわざにこんな言葉がある。
「政治を行うことは、髪を洗うようなものだ。抜けてしまう髪があったとしても、髪は必ず洗う」
部下の悪事を防ごうとするならば、トップは部下に対して「刑」と「名」、すなわち申告と実績の一致を求めなければならない
君主は、自分の好悪を表に出してはならない。好悪を表に出せば、臣下はみなそれに倣おうとする
人に意見を聞いてほしいとき、やるべきこととは、相手の誇りをくすぐってやり、恥を忘れさせてやることにある
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思想が有効かどうかは、それがその時々の「現実」に沿っているかどうかで決まります。
『論語』と『韓非子』、比較しながら読めば、リーダーとして思想のバランスが取れるでしょう。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『組織サバイバルの教科書 韓非子』守屋淳・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
第一章 人は成長できるし、堕落もする──「徳治」の光と影
第二章 『韓非子』は性悪説ではなかった?
第三章 筋肉質の組織を作るための「法」
第四章 二千年以上も歴史に先んじた「法」のノウハウ
第五章 「権力」は虎の爪
第六章 暗闇のなかに隠れて家臣を操る「術」
第七章 改革者はいつの時代も割に合わない
第八章 人を信じても信じなくても行きづまる組織のまわし方
第九章 使える権力の身につけ方
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