【帝国ホテル経営者一族の教えとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062201585
今日は、バリで最も高いプレステージを誇るホテルのひとつ、ジョルジュサンクで書評を書いています。
帝国ホテル経営者一族で、2009年から帝国ホテル東京の副総支配人を務めた、犬丸徹郎さんの本を、氏が修業したジョルジュサンクで読む。
「素晴らしいプランだ!」と自己満足していたのですが、思わぬところでくじかれました。詳しくは編集後記をご覧ください。※「編集後記」はメールマガジンでのみご覧いただけます
本日ご紹介する一冊は、犬丸徹郎さんが自己の半生とサービスへの考え方、今後の日本の観光産業のあり方を説いた、注目の新刊。
品川駅の三省堂書店さんが、目立つ場所に並べてくれていたので、旅に間に合った、奇跡の一冊です。
帝国ホテル経営者一族ならではの華やかな人生と、あまりにすごい交遊録、著者の若き日の修業時代の話などがまとめられており、じつに興味深く拝読しました。
チャップリンや白洲次郎、日本人として初めてパリのモデル界で活躍した松本弘子、森英恵、島田順子など、そうそうたる人物とのエピソードが綴られています。
9割がこうした人的交流の話で、自慢話と取る人には難しい本ですが、この本から学んで欲しいのは、欧米の富裕層が何を求めているのか、どうすれば心をつかめるのか、というポイントです。
21世紀最大の産業である観光産業を成功させるためにも、これはぜひ知っておきたい視点だと思います。
さっそく、ポイントだけチェックして行きましょう。
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親子三代にわたって「ホテルマン」を継承してきた私にとって、理想のホテルとは、すなわち「窓の開くホテル」でした。それは、単に客室の窓が開いて、ホテルを取り囲む自然の風が入ってくるという物理的な意味の「窓」ではなく、スタッフの「心の窓」も開いて、滞在するお客様を極めて自然な形で受け入れるホテルを意味します。「サービス」という言葉に象徴される、客室料金がいくらで、それに対するオブリゲーション(義務)として、やってあげているという意識のない、優雅でそれでいて、丁寧なホテルです
よく見ると、あるべき所にあるものがちゃんとあります。すなわち、見る側が見れば、聞かなくとも分かるように作られています。それでいて、何もしていないように感じられるのが、いわゆるヨーロッパの「いいホテル」なのです
心の豊かな人のしゃれた生き方を受け入れ、しかもリードしていく。そうしたこだわりを持つことが、「真にラグジュアリーなホテル」の証しなのです
日本においては、ヨーロッパの最高級ホテルに見られるような、最高級の客層がまだまだ限られており、マーケットも育っていない
今日では、万一の事故への配慮や利便性を重視して、自動ドア一色になっているのは仕方のないことですが、私見ではやはり「最高級ホテル」の玄関というのは、回転ドアが理想だと思います。ゲストが自分で重い扉をわざわざ押して入ることに、そのホテルの館内に入りたいという意志の表れがあり、セレモニーの意味もあります
戦後の高度経済成長の時代に、スケールメリットと収益を同時に追い求めた、父親たちの世代のアメリカン・スタイルのホテルに対して、日本がこれから学ばねばならないのは、「ホテル文化」の真髄を伝えるヨーロッパ・スタイルの老舗ホテルです。それらは、個性的であると同時に、いわゆる癖が強く、容易に人を近づかせないホテルです。しかし、一度受け入れられると一生どころか、代々そのホテルに通うようになる
「なじみの店」になるには、ホテルと同じく大切な要素がいくつかあるのです。それは、まず「安心」であること。また、「味の不変性」と「清潔であること」も重要です。そして、最後に他のお客様には分からぬよう「あなただけですよ」という顧客意識をくすぐること
インバウンド需要が、今後本当に成長し、拡大していくには「リピーター」が必要
我々ホテルマンは、もう一度「人が想像できるものは、必ず具現化できる」という言葉の持つ意味を改めて噛み締めるべき時が来ている
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パリに来て感じたのは、観光というのは、何も観光産業だけの話では終わらないということ。
たとえば本だって、観光客向けの本がもっとあってもいいわけで、事実、イタリアやフランスの書店では英語で書かれた観光客向け本が多く並んでいます。
自分のビジネスにも当てはまる、という視点で読めば、きっと得るものが多い本だと思います。
あと、お子様を上流階層に入れたい方、犬丸さんが訪れている世界の高級リゾートを知りたい方は、読むべきです。
ぜひ、チェックしてみてください。
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『帝国ホテルの考え方』犬丸徹郎・著 講談社
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◆目次◆
第一章 ホテルの理想は「窓の開くホテル」
第二章 生まれも育ちも田園調布
第三章 少年時代──アメリカでの夏休みとテニス
第四章 ローザンヌ・ホテル・スクール時代の日々
第五章 パリからランスへ──フランス料理修業
第六章 軽井沢別荘ライフ
第七章 東京・日比谷─ホテルとプロフェッショナリズム
第八章 人が集まる場所、それがホテル
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