【覇権国がたどる運命】
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<企業の平均寿命はおよそ30年と言われますが、国家の平均寿命はだいたい200年です>
円高を機に「アメリカに不動産投資をしよう」と考えていた土井は、本日ご紹介する本の「はじめに」に書かれたこの一文を読んで、「ガーン」と頭を殴られた気がしました。
そう、歴史を勉強すれば当たり前のことが、現在の常識の中から見れば、「まさかそんなこと、起こるわけがない」になってしまうのです。
本日ご紹介する一冊は、河合塾の世界史講師、神野正史さんによる、『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』。
歴史上の覇権国の繁栄と衰退の理由を分析し、そこから導かれた38の「歴史法則」を提示。単なる世界史の本を超えて、ビジネスや政治に役立つ読み物に仕上がっています。
ローマ帝国、中華帝国、イスラーム帝国、大英帝国、アメリカ合衆国のケーススタディとともに、これから何が起こるのか、著者なりの見解を示しています。
リーダーのポジションにある方は、ぜひ読んでいただきたい内容です。
さっそく、ポイントをチェックして行きましょう。
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限度を超えた増税は混乱を招くどころか、むしろ減収となり国家寿命を縮める
ひとたび政治が安定してしまうと、むしろ無能な人間がハバを利かせるようになります。なんとなれば、優秀な人というものは、その才に誇りを持っているため、その才を以て“正々堂々”と戦おうとするものですが、無能な者は正々堂々と戦えば勝てっこありませんから、根回し・裏工作など卑劣な手段の限りを尽くして優秀な人材を陥れるからです
■イギリスの躓き■
・第一次産業革命で独走態勢を築きながら、しかしそれがゆえに第二次産業革命への脱皮が遅れた
・それがドイツの抬頭を許し、日本・ソ連の抬頭を許し、のちの没落の原因となっていった
アメリカにとって幸運だったのは、建国の地がヨーロッパから遠く離れた、広大な大西洋の先の西の大陸にあったこと。これにより、ヨーロッパによるアメリカへの介入は最小限に抑えることができ、ヨーロッパ諸国同士で相争い、消耗していく中、アメリカはせっせと国力を蓄えることが可能となりました
ローマ帝国も、大英帝国も、皆、肥大化する軍事費を支えきれなくなって財政破綻を起こしていきましたが、アメリカもまたこの轍を踏むことになります。その躓きはヴェトナムからでした
もはや戦争の勝敗を決めるのは「武力」ではなく、「世論」を味方につけた方が勝つ時代となっていたのです。北ヴェトナム側は、甚大な人的物的被害を出しながらも、ソ連や中国からの支援を受けつつ頑強に抵抗をつづけるとともに、アメリカ軍の蛮行を全世界に訴えます。じつは、ヴェトナム戦争は「戦地の映像がリアルタイムで全世界に報道された初めての戦争」でした
民主主義はすでに「時代遅れ」になりつつあります(中略)民主主義というのは「一般民衆に政治・経済・外交の決定権を与える」というものです(中略)現代のような「莫大な情報が錯綜し、敵の見えない複雑怪奇な国際情勢・政治・経済となった時代」に、民主制はうまく機能しないのです
亡びたくなければ、けっして頂点に立たないこと
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最後に書かれた、<亡びたくなければ、けっして頂点に立たないこと>は、一見拍子抜けしますが、確かにそうかもしれません。
100年以上続く企業のほとんどが巨大企業ではないことからも、このことは言えると思います。
歴史はいつの時代のリーダーの教養ですが、本書は「覇権」というキーワードでまとめられているため、なかでもとくに読みやすい部類だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』
神野正史・著 祥伝社
<Amazon.co.jpで購入する>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396615752/
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http://bit.ly/2bNwRSv
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◆目次◆
序 章 転換期こそ歴史から学べ
第1章 ローマ帝国 民主と独裁の絶妙なバランス
第2章 中華帝国 中華思想を支えてきたもの
第3章 イスラーム帝国 原理主義が生まれたのはなぜか
第4章 大英帝国 ヨーロッパの本来の姿とは
第5章 アメリカ合衆国 「覇権」はいつまで続くか
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