【シリコンバレーの今】
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情報化社会になって、情報の価値がどんどん薄れているなか、現場に行って得る一次情報の価値は、ますます高まっている気がします。
スマホひとつで簡単に情報が手に入る時代だからこそ、実際に現地を見て、言われていることと現実のギャップを知ること。
それができないなら、次善の策として、現場に住んでいる人の話を聞いてみることです。
本日ご紹介する一冊は、朝日新聞サンフランシスコ支局長の宮地ゆう氏が、シリコンバレーの「現実」を良い面、悪い面両方から報じた、興味深い一冊。
もともと、朝日新聞デジタルで書いていた現地レポート「フロンティア2.0」の一部をもとに再構成したもので、関係者への取材から、シリコンバレーの最先端のトレンドや、有名IT各社の現状と実像に迫っており、これまでに出されたどんなシリコンバレー本とも一線を画しています。
所得格差が生み出す社会問題、シリコンバレーで成功するためのルール、稼ぐためにどこに行ってどんなことを学べばいいのかなど、多方面からシリコンバレーの「今」を活写しています。
さっそくですが、本文から気になった部分をピックアップしてみましょう。
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シリコンバレーでは、IT企業に勤める富裕層の流入で、家賃が高騰、昔からの住民が家を追われ、ホームレスとなるケースが続出しているのだ
どの国にどれだけの記者席が割り当てられるかは、その時のアップルの重要な市場がどこにあるのかを推し量る意味でも興味深い。アップルは招待している記者数自体を公表していないが、最近は中国メディアの数が非常に多くなっており、会場によっては50~60人の席が中国の記者に割り当てられているようだ。アップルファンの多い日本のメディアは、10人前後だ
アップルは、製品を生み出し、売るというごく普通の企業活動に、客が自ら一緒に参加しているかのような錯覚に陥らせる会社でもある。それはどこか、部活や学園祭の「ノリ」にも似ている。客はただお金を出して製品を買っているだけなのに、何かそれ以上のことに参加しているかのような気分にさせられるのかもしれない
フェイスブックは14年、女性社員に卵子凍結のための費用を補助する制度を導入して注目を浴びた。また、育児休暇を取らない社員には、子ども1人につき4千ドル(44万円)を支給している
シリコンバレーでは、誰とつながり、誰を知っているか、誰から投資を受けたかで人が測られる。シリコンバレーが「米国一のコネ社会」と呼ばれるのもその所以だ。米国外からその輪の中に入ることは簡単なことではないが、こうした文化に溶け込み組織的に適応することで大きくなったのが、インド人コミュニティーだ。そのコミュニティーから生まれた若手の代表格が、2015年からグーグルのCEOになったスンダー・ピチャイ氏といえる
シリコンバレーの主な地域とサンフランシスコ市を合わせると、ホームレスの人口はニューヨークとロサンゼルスに次いで全米で3位
シリコンバレーの平均世帯年収は約11万6千ドル(約1280万円)。これは全米平均の約2倍にあたる
ハックリアクターの授業料は、1日11時間、週6日の3カ月コースで約1万8千ドル(約200万円)。卒業生は99%の就職率を誇るという。就職先はグーグル、フェイスブック、アップルといったシリコンバレーの大手企業からスタートアップと呼ばれる新興企業まで多岐にわたる。卒業生の初年度の平均年収は約10万5千ドル(約1160万円)という
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事例のほとんどは、日本でも知られている有名ITですが、中身は一歩踏み込んだものとなっており、興味深く読めました。
新興ベンチャーの動向や、消えていったベンチャー、「フィランソロキャピタリズム」のような最新キーワードまで、幅広くシリコンバレーの今を押さえており、読んでみて損はないと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『シリコンバレーで起きている本当のこと』宮地ゆう・著 朝日新聞出版
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◆目次◆
第1章 「世界を変える」情報発信地
第2章 富を生み出す町の知られざる顔
第3章 新しい技術と既存社会との衝突
第4章 IT企業vs.国家、新たなる対立
第5章 それでも、フロンティアを求めて
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