2016年5月1日

『ヤンキーの虎』藤野英人・著 vol.4303

【地方経済を賑わす新しい起業家たち】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492396187

昔、父親に都会の商売と地方の商売の違いについて教わりました。

いわく、「都会では専門化を図れ。地方ではラインナップを揃えろ」。つまり、都会ではカレー専門店が流行るが、田舎ではカレーでもそばでも何でもあるお店が流行るというのです。

どうやらこれはビジネスのポートフォリオにも当てはまるようで、いま、地方で元気な企業は、一貫性のない多角化ビジネスを展開しているところと相場が決まっています。

このことを指摘し、いまどんなビジネスが地方で伸びているのか、成功しているのはどんな経営者なのか、明らかにしたのが本日ご紹介する『ヤンキーの虎』。

カリスマファンドマネジャーであり、最近は講演などで全国各地を回っている藤野英人さんが、地方経済の勝ち組=「ヤンキーの虎」をテーマに書いた、興味深い一冊です。

本書によると、「ヤンキーの虎」の特徴は以下の通り。言われてみれば、そんな経営者がたくさん頭に浮かびます。

◆ヤンキーの虎
地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家

本書では、こんな「ヤンキーの虎」の実例と、そこから学べるビジネス・経営のヒントを明らかにしています。

さっそく、気になる内容を見て行きましょう。

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ヤンキーの虎たちは、驚くほど様々なビジネスを展開しています。例えば、パチンコやラブホテル、ウエディングビジネス、携帯電話の販売ショップ。保有している裏山を改造してサバイバルゲームフィールドを作って集客する経営者もいました。事業に一貫性はありませんが、多角的に儲けています

なぜ彼らは順調に成功できたのでしょうか。その理由の一つは、地銀や信用金庫の存在です。地方の金融機関は、金融の地産地消を進めていて、ヤンキーの虎たちに積極的に融資しているのです

むしろ今は、都市から進出してきた人たちは「選択と集中」によって地方から撤退するモードに入っています。こうして残されたマーケットの中、ほとんど無競争といった環境で、隙間産業を束ねて伸びているのが、ヤンキーの虎なのです

東京の大企業がどんどん地方に進出し、それをヤンキーの虎が橋渡しする形で、両者は地方での存在感を強めていったのです

ヤンキーの虎は、東京にもしばしば訪れ、情報収集を怠りません。東京で流行っているものや人気の出そうなものを探して、地元に持ち帰るのです。いわゆる「ミニタイムマシン経営」です

今は、社長が社員をお客さんだと考える時代

ヤンキーの虎のキーワードは「事業意欲」「仲間意識」「スポーティ」

藤堂さんのM&Aの狙いは、ここにもありました。買収先にいる、元々経営者や管理者の志を持った人たちや後継者、あるいはその教育を受けてきた人たちに目を付けたのです

彼らは地縁・血縁による顧客網と、地域の情報を豊富に持っています。これを武器に、東京で流行っているものを地域に持ち込み、色々な商品を束ねて売りまくって成功しています。つまり「販売力」が強いのです(中略)一方で、彼らは製造業にはほとんど参入していません

コシダカは、地域に「居場所」をつくって成功した

ヤンキーの虎は、一つの本社に複数の事業がくっついているのです。本社コストは一カ所で済みますから、ここでかかるコストを抑制することができ、その分利益率が上がります

彼らの家は、地域の大地主である場合が多く、不動産業をやりながら市議会議員をしているケースをよく見かけます。すると、自分が市議会議員ですから、道路や開発などの情報が、何となく分かってしまうのです

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「仲間意識」「スポーティ」「居場所」…。商売やマネジメントのヒントとなるキーワードがちらほら出てきて、良いヒントとなる一冊です。

欲を言えば、もうちょっと事例が欲しかったところですが、地方に意識を向けるきっかけとして、とても良い刺激になりました。

ぜひ読んでみてください。

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『ヤンキーの虎』藤野英人・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492396187

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◆目次◆

序 章 知られざる成長ビジネスが地方にある
第1章 「ヤンキーの虎」はなぜ生まれたか
第2章 「ヤンキーの虎」の実像に迫る
第3章 「ヤンキーの虎」のビジネス手法
第4章 「ヤンキーの虎」と地方の未来はどうなるか?
第5章 「地方創生」に向けた私の取り組み

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