2016年3月29日

『数学は世界を変える』リリアン・R・リーバー・著 vol.4270

【アインシュタインも絶賛した一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797365005

以前、九州ベンチャー大学で講演した時、「土井さんが考える学校教育の問題点は何だと思いますか?」と聞かれ、「学ぶ意義を教えないこと」と答えました。

最初から学ぶ気のない子どもはいません。

すべての学問には意義があり、学ぶことの利益があるのだから、学ばないとしたら、それは意義を理解できていないということにほかなりません。

教師の役割は勉強を教えることではなく、子どもが学びたいと心から思えるようにしてあげることだと思うのですが、どうでしょうか。

本日ご紹介する一冊は、多くの方が苦手とする数学の意義を、詩のスタイルで綴られた文章と雰囲気たっぷりのイラストで説明した一冊。

かのアインシュタインも読み、絶賛した内容ということでおそるおそる読んでみたのですが、これは「当たり」でした。

単なる数学本を超え、われわれに賢く考えることの意味と、人生を豊かに自由に生きるための教訓を与えてくれる、じつに心に響く自己啓発書です。

さっそく、内容のエッセンスを見て行きましょう。

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人間はそもそも弱い存在であり、何らかのきっかけで理性を失い、感情的で非合理的な行動に走りがちだ。そして、場合によっては人生や社会秩序を大きく狂わせかねない。だから、普段から、そしてとくに何か予期しない事態に遭遇したとき、理性的思考や数学的哲学を再確認して、道を踏み外さないよう、しっかりと地に足を付けておくことが何より大切だ

5000万人が間違っていることもある

全員を何度かだますことはできるけれど、全員を毎回だますことはできない

教訓:結論に飛びつくな

わたしたちの直観は、正しいこともあれば間違っていることもある。どの直観が正しいかを知るには、直観の言っていることを理解してそれをチェックするしかない

公式を操作する方法を身につければ、本来なら一生懸命考えないと解けないような問題をほとんど自動的に解くことができる。ちょうど、車の運転を身につければ徒歩では大変な苦労をしないと行けないような場所に気楽に簡単に行くことができるのと同じだ。このように数学は、素手では歯が立たないようなことをするための道具なのだから、数学を知れば知るほど生活は楽になる

本当の悪魔は銃や戦車ではない。一定の条件で銃もとても「良い」ものかもしれない。「愛国主義」や「独裁制」といった間違った考えが「人間性」に対する見方を狭めてしまうこと、それが真の悪魔だ。間違った考えは銃よりも危険だ!!

すべての主張をすでに証明されている事柄で裏付けなければならないし、すべての用語をすでに定義されている用語で定義しなければならない。そして当然、どんな思考体系でも一番初めは何も土台がないのだから、定義されていない用語と証明されていない前提から出発するしかない

数学は光を当てることができる。論理的な思考のモデルというものがあって、みんなそれを真似るよう努力しないといけない

物理で力の「足し算」をするにはこの角度を考えに入れなければならず、角度が違うと2+2の答えも違ってくるのだ!

現代の数学の重要な流れはどんどん抽象化へ向かっている。そしてそれが自由と力の源であることもお分かりだろう

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心に響くメッセージの数々に、なぜもっと若いうちに数学をきちんと学ばなかったんだろうと悔やまれます。

まだこれからでも数学にチャレンジしたい、論理思考を身に付けたい、世界を広げたいという方には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

子どもを数学好きにしたい親にも、おすすめです。
ぜひ買って読んでみてください。

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『数学は世界を変える』リリアン・R・リーバー・著 SBクリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797365005

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◆目次◆

訳者まえがき
はしがき
主人公T. C. MITSの紹介

PartI 古い事柄
1.5000万人が間違っていることもある
2.天井にぶつからないように
3.ティッシュの思考
4.一般化
5.わたしたちのトーテムポール
6.トーテムポール(続)
7.抽象化
8.「用語を定義せよ」
9.結婚
10.子供
11.PartIのまとめ

PartII 新しい事柄
12.新しい教育
13.常識
14.自由と野放図
15.高慢と偏見
16.2+2は4でない!
17.抽象化──現代的な方法
18.第4の次元
19.覚悟
20.この現代
教訓

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