2016年2月10日

『日本でいちばん幸せな社員をつくる!』柴田秋雄・著 vol.4222

【うなります】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797384956

本にはいろんなほめ言葉があります。

役に立つ本、面白い本、知的な本、泣ける本…。なるべくその本個性を受け取り、ぴったり合った表現をしようと心掛けていますが、力不足でできないこともあるのがもどかしいところです。

以前、『案本』を書いたコピーライターの山本高史さんとお会いした時、書評のお礼に、こんな言葉をいただきました。

「評価って、理解だと思うんですよね。土井さんの書評には、理解があったんです」

※参考:『案本』
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山本さんいわく、多くの書評には、好き嫌い、良い悪いの「判断」はあっても、「理解」がない。

これを聞いて、「ああ、マネジメントも同じなんだろうな」と思いました。

きちんと見て、理解する。このシンプルなことがなかなかできないから、人がやる気にならない、育たない。

すっかり反省していたところに、素晴らしい本が飛び込んできたので、本日はそれをご紹介します。

『日本でいちばん幸せな社員をつくる!』は、「日本一心温まるホテル」としてメディアで紹介された、ホテルアソシア名古屋ターミナルの総支配人だった柴田秋雄さんが、その経営を語った一冊。

4期連続赤字、債務超過の段階で総支配人に就任した著者が、どうやって従業員を盛り立て、7期連続黒字のV字回復に持って行ったのか。

本書には、その基本となる思想と、実際に著者が行ったことが書かれています。

お客様が従業員におみやげを持ってくるホテル、労組が前代未聞の「賃下げ要求」をするホテル、食中毒を起こしたらお客様が心配して食べに来るホテル…。

本書には、なぜそんな経営が可能なのか、その秘密が書かれています。

さっそく、気になったポイントを見て行きましょう。

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商売でも人生でも人にやさしくすることが一番の秘訣だよ

まず一つは、誰かの役にちゃんと立つこと。自分が誰かに何かのサービスをすることで「ありがとう」と本心から言われるようになること。誰かに自分がやったことが喜ばれたら、それが一番いいことだ。もう一つは、誰かが自分を見ていてくれる実感があること

「人は自分にやさしくしてくれる人のことを大事にしたくなる。その力の大きさを忘れていないか」

「相手のことを理解せずに敵対するから大きな溝が生まれるんだよ」

労働運動というと、過激なものを連想する人もいるが、本来は「従業員がどうすれば幸せになれるか。どうすれば従業員のモチベーションが上がるか」を考えるものだ

自分が実感していないものは、他人にも想いを持って伝えられないんじゃないか。そう感じた僕は、従業員食堂の専属料理人に言ったんだ。「そんな合成樹脂の安物のまな板なんか使うなよ。これ使って本気で仕事しな」

「お前たちなんて言うな。ちゃんと一人を見てお前が大事なんだと言え」

「学歴も見ないし過去も問わない。人間的にいいなと思えることのほうがよほど大事じゃないか」

「いいところのない部下なんていない。いいところを見つけられないのは上司の責任を果たしてないだけだ」

「仕事だからやっているのではなく好きだからやっている子を口説く」

「立派な接客をするホテルよりお客様が従業員に」“お土産”を持ってくるようなホテルがいい

「いい会社かどうかは、従業員たちが今よりもいい未来を信じられるかどうか」

◆上司が信じなければならない3つのこと
1.「人間として正しいこと」をやろうとしている従業員を信じること
2.どんな子も必ず芽が出るということ
3.自分を信じること

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信じること、やさしい心を持つことが大事と説く著者の、心温まる経営哲学に、すっかりやられてしまいました。

「先ず隗より始めよ」ではないですが、やはり企業が持つ最大の資産は「人」だということがよくわかりました。

これはぜひ読んでいただきたい一冊です。

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『日本でいちばん幸せな社員をつくる!』柴田秋雄・著 SBクリエイティブ
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◆目次◆

はじめに なぜ、人へのやさしさを持てばうまくいくのか
第1章 当たり前を見直す
──ものごとがうまくいっていないのは「おかしな常識」があるからだ
第2章 言葉で人を動かさない
──人は言葉で動くのではなく、その人の態度で動く
第3章 仕事と思うな、私事にしろ
──ホテルアソシアの従業員は、なぜ仕事と仲間が好きと言い切るのか
第4章 ホテルマンをつくるのではない、人間をつくる
──ホテルが乗り越えた課題から学べる大切なこと
おわりに 人を粗末にしない社会をつくりたい

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