【定番商品を作るヒントとは?】
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最近、法人としてお弁当や飲料、食器などをまとめ買いすることがあるのですが、その度に、多くの商品は基本的な機能を欠くために売れないのだということがよくわかります。
たとえばエリエスでは、セミナールームにコクヨの「プロッティ」というイスを採用しているのですが、これが軽くてスタッキングできて、おまけにキャスターがスムーズに動く。
反対に、某社のKという商品は、座り心地は良いのですが、重くて動かしづらくて、レイアウト変更が多いセミナールームには不向きです。
ちなみに今日は、スタジオで撮影会があったので、インターンの女の子にお弁当の買い出しを頼んだのですが、持ち運びの利便性から、やはりコンパクトでスタッキングしやすく、中身の充実しているお弁当を選んできていました。
最近はデザインブームですが、商品が売れるのは、見てくれだけではなく、機能性も含んだデザインによるところが大きい。
機能性も見た目も美しく、かつベネフィットの多い商品は、やはり長期にわたって売れる「定番」になるもの。そして定番は、企業に安定収益をもたらし、富の源泉となるのです。
ということで本日は、この「定番」を生み出す法則がテーマ。
クリエイティブディレクターの水野学氏が、「定番」を生み出すヒントを、中川政七商店・中川淳氏と、プロダクトデザイナーの鈴木啓太氏、同じくプロダクトデザイナーの米津雄介氏とともに論じた一冊、『デザインの誤解』をご紹介します。
「定番」を生み出す条件とは何なのか、さっそく見て行きましょう。
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機能面では各社横並び。だから、本質的な機能とは関係のない、周辺部分の工夫で独自性を探る。そんな「差別化」競争を繰り返していくうちに、市場には、「本当に欲しいと思ってもらえる、ど真ん中の製品」がなくなっていってしまったのではないでしょうか
デュラレックスのグラスも当然、スタッキング可能ですが、積み重ねたときのことも、よく考えられています。というのも、グラスを積み重ねたとき、先ほど述べた九角形の角の部分だけが当たるようになっているのです。側面全体が接することがないので、お互いにぶつかってグラスに傷がつくというリスクを減らせます
一九四七年に、曲がるストローは、主に病院に向けた商品として売り出され、あっという間に広まりました
定番は自然淘汰から生まれる
現在売れているもの、求められていることから「ソーシャルコンセンサス」を導き出すことが、未来の定番商品のアイデアを見つけることにつながります
スポーツカーの車体のイメージを尋ねられたら、「赤」と答える人が多いのではないでしょうか。これはフェラーリが強く影響しているはずです。スポーツカーの定番といえば、その筆頭はフェラーリ。つまり、あるジャンルの「らしさ」は、実はその時代の定番から生まれている場合も多いのです
ブランド力のある企業は、ブームにしないために流通量をコントロールしている可能性が非常に高い
まったく新しいもの、使い方を想像もできないようなものだと、人はなかなか受け容れてくれない
定番とは、未来から見て当たり前のものを、いかに生み出せるかということ
キッコーマンの卓上ボトルは、GKデザイン研究所を設立した榮久庵憲司さんという、日本のプロダクトデザイン界のパイオニアがデザインしたものです。榮久庵さんは、成田エクスプレスを始めとする鉄道車両や東京都のいちょうのロゴマークなどでも有名な方です
デザイナーに「打率」をもとめるくらいのことをしてもいいのでは
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既に現場で取り組んでいる方には当たり前のことが書かれていますが、異業種の「定番」を学ぶことは大きなヒントとなります。
著者らが手掛けた「THE」シリーズ自体がまだ定番化していないので、説得力は持ち得ないのですが、他人の思索を辿ることは、アイデア発想の最短距離足りえると思います。
ぜひチェックしてみてください。
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『デザインの誤解』水野学、中川淳、鈴木啓太、米津雄介・著 祥伝社http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/439611446X
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◆目次◆
第1章 「定番」が求められる時代(水野学)
第2章 世界を変えた定番商品(水野学)
第3章 定番の条件(水野学)
第4章 定番の「形」はどのようにして生まれるか(鈴木啓太)
第5章 定番をつくるためのプロダクトマネジメント(米津雄介)
第6章 定番を生み出すデザインマネジメント(中川淳)
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