【位置情報が変えるマーケティングの未来】
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最近、ホテルや商業ビルなどで駐車場を利用すると、駐車券を入れなくてもナンバーを認識して、自動開閉してくれます。
ある有名ホテルのスタッフに聞いたところ、これはどうやら入庫時にナンバーを撮影して、後で照合しているのだとか。
つまり実質、誰がいつどこにいたのかがわかるわけで、このデータを活用すれば、ものすごいマーケティング情報が得られます。
駐車場だけではありません。スマートフォン全盛の現在、個人の位置情報、移動情報は企業に筒抜けであり、今後はこれを活用した本格的なマーケティング活動が始まるのです。
このマーケティングの未来予想図を描いたのが、本日ご紹介する、『リアル行動ターゲティング』。
著者は、デジタルマーケティングのコンサルティングを行う、株式会社デジタルインテリジェンスのお二人です。
『リアル行動ターゲティング』というと、あたかも移動中の人物にリアルタイムで広告を届けるかのような印象を与えますが、著者らによると、じつは<移動時間だけを狙う広告は非効率>なんだそうです。
それよりはむしろ、<「特定のパターンで移動する人」をプロファイルして、移動以外のことをしている時に広告を出すことを考える>のが有効だそうで、確かに自分の例と照らし合わせても、その方が効果が出そうです。
本書にはほかにも、この『リアル行動ターゲティング』で活躍しそうな企業の名前が紹介されており、本気で取り組みたい企業には、良い情報源となりそうです。
さっそく、エッセンスを見て行きましょう。
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消費者の位置情報分析で、ターゲットセグメントとそのセグメントへの適切なコミュニケーションを行うことができれば、消費者のリアル行動を促進する的確なコミュニケーションができる
実際に、首都圏の住宅展示場に来訪したことを示すスマートフォンの位置情報を持つIDを特定することができた。パーミッションを得ていて、特定のアプリからのGPS(全地球測位システム)データ取得の機会があったものだけとはいえ、そこそこのID数が取れている。これは十分活用のチャンスがある
「リアル行動ターゲティング」は、ベースは地理的セグメントではあるが、リアル行動データは移動データも含むのが今までとの違い
「移動中」の時間は全年代の平均で平日に79.8分、休日に74.4分(中略)移動時間の割合は、睡眠時間を除いた1日の10分の1程度しかない。移動している人をリアルタイムに捉えるというのは、実は広告的にはあまり大きなパイが見込めない
「今、ここにいる」ことを情報として広告配信に使うのではなく、「特定のパターンで移動する人」をプロファイルして、移動以外のことをしている時に広告を出すことを考えるわけである
睡眠時間も含めると、遊び盛りと思われる10代が実に8割近くの時間を自宅で過ごしている(休日)
位置情報ターゲティングと親和性が高いスマートフォンの位置情報。これを活用して広告配信などの施策に活用できるソリューションを提供するのが、シンガポールに本社を置くニアー(NEAR)である
ニアーは日本でも既にプロファイル済みのユニークユーザーが2500万を超えているという
価値があるのは「過去」の位置情報の蓄積
調査会社の富士キメラ総研が2015年9月に発表した最新調査では、国内のデジタルサイネージ市場全体は、2014年実績の1054億円から、2020年には2.5倍を超える2717億円まで伸長すると予測されている
MONOLITHSは、屋外ビジョンやインストアメディアなど、全国約6万面をネットワーク化した、デジタルサイネージの最大ソリューションである
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これからの新しいコンセプトですので、仕方がないのですが、全体的に概論で終わってしまっているため、どんなクリエイティブが良いかとか、どんな広告を打ってどんな効果があったとかいうのは、次作に期待したいところです。
マーケティングの新潮流を紹介した『リアル行動ターゲティング』。
ぜひチェックしてみてくださいね。
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『リアル行動ターゲティング』横山隆治、楳田良輝・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822235505
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◆目次◆
第1章 リアル行動ターゲティングとは
第2章 ターゲティング広告の現在、過去、未来
第3章 生活者の変化に対応できないメディアプラン
第4章 ターゲティングの概念が変わる
第5章 リアル行動ターゲティングを実際に使う
第6章 さらに進化するリアル行動ターゲティング
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