【ダニエル・ゴールマンの注目作!】
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かつて、ノーベル経済学賞受賞者のハーバート・サイモンは、来るべき情報過多の時代において、このようなことを述べていたようです。
情報が消費するのは「受け手の注意力である。したがって、情報が豊富になれば、注意力の貧困を招く」。
同様に約10年前、ジャーナリストの蟹瀬誠一さんは、土井との対談でこうお話されていました。
「土井さん、僕は情報が増えれば人は賢くなると思っていたんですよ。実際にはその逆ですね」
現在の情報化社会において、失われているのはアテンション(注意)ですが、それを広告業界が論じるフェーズはとっくに過ぎたと思っています。
現在、このアテンションの問題を論じるべきなのは、個人であり、親であり、教育者であり、組織、あるいは国家でしょう。
スマートフォンを通じて入ってくるゲーム、SNS、動画、広告などの誘惑に加えて外に出ればデジタルサイネージがお出迎え。
これでは、集中して未来を創造する暇などありません。
そのうちウェアラブルが普及すれば、われわれはもっと多くの「割り込み」に悩まされるでしょう。
そうなる前に、個人としてまたマネジャーとして、この「アテンション」あるいは「集中力」の問題に取り組んでおきたい。
そこで読んでおきたいのが、現在話題の一冊。『EQ』で世界500万部を達成した著者、ダニエル・ゴールマンによる注目の新刊です。
一流の人間に共通する「集中力」や「意志力」の秘密に迫り、われわれがフォーカスを失わずに生きるためのヒントを示しています。
さっそく、ポイントをチェックしてみましょう。
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創造的なひらめきが浮かぶ直前、マインド・ワンダリングに関係する脳の領域が活発になることがわかっている。そして、興味深いことに、注意欠陥障害を持つ人たちの脳を調べてみると、この部分が非常に活発なのである。注意欠陥障害を持つ成人の場合、そうでない人に比べて独創的思考のレベルが高く、実際に創造的な成果を達成するケースも多い
自制を発揮して目の前の誘惑に耐える能力には、実行注意のうちの少なくとも三種類の注意が関係している。第一は、欲望の対象から集中を意識的にそらす能力。第二は、欲望に抵抗して他の方面(たとえば空想の遊び)に集中を向けつづける能力。第三は将来の目標(あとでマシュマロを二個もらえる)に集中を向けつづける能力。それらが総合して意志力となる
ラポールは、まず最初に二人のあいだで集中が完全に共有されることから始まる。次に、無意識に身体的同調が始まり、そこから快感が生じる。教師と生徒のあいだにそのような集中の共有が生じれば、生徒の脳は学習に最適な状態になる
ここがアマチュアと一流との分かれ目だ。アマチュアは、ボトム・アップで動作ができるようになった時点で満足してしまう。スキーでも、自動車の運転でも、五〇時間ばかり練習すれば、だいたいの人は「まあまあ」のレベルに達し、それほど努力しなくても必要な動作ができるようになる。すると、もう集中して練習する必要を感じなくなり、そこまでで身についたスキルだけで流すようになる
一流のプレーヤーはトップ・ダウンの注意を払いつづけ、ルーティンを自動化しようとする脳の衝動に意識的に抵抗する。一流のプレーヤーは、完璧にできるようになるまで能動的に集中を続け、うまくいかない部分を修正し、メンタル・モデルを改良し、コーチから与えられるフィードバックの特定部分に集中する
よい決断とは、現在のニーズだけでなく、未来の世代も含む広範な人々のニーズを考慮に入れたものでなくてはならない。優秀なリーダーは、あらゆる人々の労働に意味と一貫性を持たせる大局的な共通目標を語りかけ、人々に仕事の充実感を与え、意欲を高め、正しい針路を示す共通の価値観を提示することができる
どのような決断を下すにせよ、その動機について次のことを自問すべきである、とダライ・ラマは提案している。それは、単に自分のためか、他者のためか?
少数のためか、多数のためか?いま現在のためか、将来のためか?
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具体的な仕事上のテクニックとは違いますが、さまざまな研究成果、実験を元に、人がどうやればフォーカスできるか、成功できるか、最新の英知をまとめています。
学校で身につける知識やスキルとは違う、社会で評価されるための情動的なスキルに触れており、じつに勉強になりました。
350ページを超える厚い本ですが、集中すれば(笑)一気に読めます。
ぜひチェックしてみてください。
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『フォーカス』ダニエル・ゴールマン・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆
PartI 「注意」を解剖する
PartII 自己を知る
PartIII 他者を読む
PartIV もっと大きな文脈で見る
PartV 理にかなった練習法
PartVI 良きリーダーの集中力
PartVII より大きな視野を
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