2015年11月12日

『チャレンジャー・セールス・モデル』 マシュー・ディクソン、ブレント・アダムソン・著 vol.4132

【至急。営業体制を変えよ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212521

先日、フリーランスで仕事する知人が、資材調達が困難なため、これまで収益率の高かったビジネスを断念しなければならないかもしれない、と悩みを打ち明けてきました。

時代の変化に気づかず、従来通りのやり方を続けていると、ビジネスは必ず細るという、良い例だと思います。(もちろん丁寧に、今後どうすべきかをアドバイスしておきました)

じつは最近、営業の世界でも大きなトレンド変化が起こっています。

そのトレンド変化をまとめたのが、本日ご紹介する一冊、『チャレンジャー・セールス・モデル』。

「画期的」を謳う本は数多くありますが、本当に画期的な本にはそうそう出合えるものではありません。

本書も、オビで<我々の「理想の営業像」は完全に間違いだった!>と書いており、最初まゆつばだったのですが、読んでみて、これは【至急】読むべき本だと確信しました。

述べられている内容は、4年間90社6000人にのぼる大規模調査で判明した営業の最新トレンドで、これまで多くの企業が信奉していた「リレーションシップ営業(関係構築を重視する営業)」、「ソリューション営業(問題解決型の提案営業)」の限界を明らかにするものです。

本書によると、独自調査の回答者のうち、じつに4分の3が「顧客にはソリューション提供したい」と述べており、基本的にすべての産業で、ソリューション営業が営業戦略の主流になっています。

しかし、顧客の立場からすると、高額かつ時間を取られるソリューション営業には、慎重にならざるを得ない。ソリューション営業は依然有効ですし、収益も多いのですが、従来通りのやり方では、成約するのがだんだん難しくなってきているのです。

にも関わらず、企業は営業マンに「聞く技術」を指導・トレーニングしています。ここに大きなズレがあります。

代わって本書で提案されているのは、営業マンのなかでも、飛び抜けて好業績を叩き出している「チャレンジャー(論客タイプ)」の営業スタイル。

顧客に「指導」し、顧客の共感を得られるよう「適応」し、営業プロセスを支配する(主導権を握る)新たなスタイルが有効であると、さまざまなデータを元に解き明かしているのです。

さっそく、内容を見て行きましょう。

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取引型営業の場合、平均的な販売員と花型パフォーマーの成績差は五九%だった(中略)ところが、ソリューション営業を導入している企業では、花形パフォーマーが平均的パフォーマーより二〇〇%近くも成績がよかったのだ(中略)営業が複雑になると、ハイパフォーマーと平均的パフォーマーの差が劇的に拡大するということだ

われわれの分析では、調査した四四の属性のうち六つが、販売員を「チャレンジャー」と判断するうえで統計的に有意だった
・顧客に独自の視点を提供する
・双方向コミュニケーションのスキルに優れている
・顧客のバリュードライバー(価値向上要因)を心得ている
・顧客のビジネスの経済ドライバー(業績促進要因)を特定できる
・お金の話をいとわない
・顧客にプレッシャーをかけることができる

「チャレンジャー」のこの特徴は、ふたつのかたちで表れる。第一に、彼らは価格設定を含めたお金の話全般について、主導権を握ることができる。一〇%の割引を要求されてもびくともせず、話の内容をソリューションに戻し、価格ではなく価値をめぐる合意を求める。第二に、顧客の考え方に異を唱え、顧客の意思決定サイクルに圧力をかけることができる

「顧客は己のニーズを知っている。われわれが訊く力を磨きさえすれば、おのずと明らかになる」という仮説は正しくない

最終的に顧客に選ばれるポイント、それは品質ではなく「知見の価値」、すなわち、顧客が気づかなかった利益アップないしコスト削減の方法を伝授する、まったく新しい情報やアイデアだ

優れた見出しがそうであるように、意外な着眼点で顧客の不意を突く。驚かせ、好奇心をそそり、もっと聞きたいと思わせるのがねらい

行動を変えることに対する顧客の同意をとりつけたら、いよいよ、そのためにあなたのソリューションがいかに優れているかを証明

あなたが話す物語のなかに、顧客自身の姿を重ねてもらわなければならない。まるで自分たちの話のように、痛みを感じさせなければならない。この「痛みの連鎖」のスライドを見て、ある顧客は言った。「よくご存じですね! うちは毎日こんな調子ですよ!」。ここが重要である

勢いが生まれたのは、顧客が知らなかった(あるいは過小評価していた)機会や問題をめぐって、あなたが危機感を生じさせたからである。こうなれば、あともうひと押しだ

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顧客にニーズを尋ねるのではなく、顧客の気づいていないニーズを「教える」。値引きには応じない。

そんなチャレンジャーの営業手法を、本書では詳細に紹介しています。

情報過多時代、ソリューション営業であふれる時代に、企業がどう営業すべきなのか、大きなヒントとなる一冊です。

経営者、営業マンは、【至急】買って読んでいただきたい一冊です。

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『チャレンジャー・セールス・モデル』
マシュー・ディクソン、ブレント・アダムソン・著 海と月社 
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903212521

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◆目次◆

序文 ニール・ラッカム
はじめに 驚くべき発見
第1章 ソリューション営業の進化
第2章 チャレンジャー1 ハイパフォーマンスを生む新モデル
第3章 チャレンジャー2 新モデルを移植する
第4章 差別化のための「指導」1 なぜインサイトが必要なのか?
第5章 差別化のための「指導」2 インサイト主導の会話の進め方
第6章 共感を得るための「適応」
第7章 営業プロセスの「支配」
第8章 営業マネジャーと「チャレンジャー・セールス・モデル」
第9章 先例に学ぶ
おわりに 営業を超えたチャレンジ
付録A 「チャレンジャー」コーチングガイド(抜粋)
付録B 営業スタイル自己診断
付録C 「チャレンジャー」採用ガイド──面接で何を訊くか

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