【今学ぶべき「無知」の技法とは?】
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情報収集や学習が行き過ぎると、必ず行動の欠如が問題となるわけですが、現在のわれわれも、同じ問題に直面しているかもしれません。
間違いを指摘すること、それを恐れることは必要ではありますが、行き過ぎると、未来に必要な「行動」まで恐れる原因になります。
また、一部の賢い人の存在が原因で、その他大勢が沈黙することになり、「衆知を集める」ことが難しくなる場合もあるでしょう。
現在のように、世界が変動的(Volatile)で、不確実(Uncertain)で、複雑(Complex)で、曖昧(Ambiguous)な状況を、頭文字を取って「VUCA(ヴカ)」というらしいですが、じつはVUCAの時代には、古い知識は役立ちません。
いまはまさに、専門家が力を失う時代なのです。
われわれには、新たな知に挑戦する必要があり、またそのためには、これまでの知を捨てる勇気が要るのです。
本日ご紹介する『「無知」の技法』は、既に多くを学んだ方が、どうやって古い知を捨て、未来志向に変わるか、そのヒントが書かれています。
さまざまな学術研究、論文、エピソードをもとに、変革のための『「無知」の技法』が説かれており、行動を刺激されます。
さっそく、その刺激的な言葉、教えをチェックしてみましょう。
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当時の医学界はガレノスへの盲信があまりにも強かった。心臓を取り出した外科医はそこに4つの心室を目で見ていたにもかかわらず、ガレノスの解説に従って3つと指摘したほどだ
「知っていること」に焦点を置くあまり、知っていることを疑ったり、知らないと認めたりすることができなくなる
人は新しいスキル獲得に努力をするよりも、すでに得たスキルの継続的向上を望む傾向がある
リーダーがすべての知を振りかざそうとすると、周囲は疲弊する。不安をかきたてられ、意欲もくじける。知っている人の知識と専門性に依存して、自分の学びと成長にブレーキをかける
自分の中に不確実性を見るときほど、人は責任者への依存傾向を強める
世界がかくも急速に変化しているのだから、私たちの知っていること、知っていると思っていることは、どんどん無価値・不正確になっていく一方なのだ
変化は常に喪失を伴う。私たちは何かを失うのがいやで、喪失を回避すべくあらゆる手を尽くす──たとえその「変化」が、長年の夢の実現であったとしても
「わからない」と認めるからこそ、ものを学べるのだ。知らないという闇は、新たな光を呼びこむ自由と余白とを差し出している
未知の領域に乗り出すときは、その過程の小さな成功や目標到達を喜ぶことが大切だ(登山家 エドゥルネ・パサバン)
説明を受けなかった子どものほうが、斬新な問題解決方法を思いつきやすい(カリフォルニア大学バークレー校での実験)
知らないというのはスリリングだ。そのスリルは、人生を生きる価値のあるものにする
頻繁に実験するチームのほうが、そうでないチームよりも高い業績をあげる
観察してみようという気持ちがあれば、世界は本当にたくさんのものを見せてくれます(ロシア人芸術家 マリア・ネクラソワ)
自由とは、大胆さの中にある(ロバート・フロスト)
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未知に挑むマインドを植え付け、かつそれをチームで行うヒントも説かれています。
ちょっと文章が単調ですが、厚い割にさくさく読めるので、ぜひ挑んでみてください。
本書によると、<人は新しいスキル獲得に努力をするよりも、すでに得たスキルの継続的向上を望む傾向がある>そうで、なるほど、現在の日本人にも同様の傾向があるかもしれません。
これまでと同じスキルを盲信していては、チャンスに溢れる未来を失ってしまう。
ビジネスパーソンはもちろん、子育て中のお母さんにも、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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『「無知」の技法』スティーブン・デスーザ、ダイアナ・レナー・著 日本実業出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534053290
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◆目次◆
PART1 「知識」の危険性
CHAPTER1 「知っている」はいいことか?
CHAPTER2 専門家とリーダーへの依存
CHAPTER3 「未知のもの」の急成長
PART2 境 界
CHAPTER4 既知と未知の境界
CHAPTER5 暗闇が照らすもの
PART3 「ない」を受容する能力
CHAPTER6 カップをからっぽにする
CHAPTER7 見るために目を閉じる
CHAPTER8 闇に飛び込む
CHAPTER9 「未知のもの」を楽しむ
APPENDIX 歩くことによってつくられる道
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