【失敗をなくす航空会社の習慣とは?】
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「土井さん、今、日本のメーカーはヤバイですよ」
先日、著書『クオリフィケーション思考』を上梓した研修講師の池田哲平さんに、タクシーで移動中、こんなことを言われました。
※参考:『クオリフィケーション思考』
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池田さんによると、現在の日本のメーカーでは、かつてのような知恵の伝承が行われていない。不況で新卒を採らなかった時期があったこともあり、ナレッジの共有がなされていない会社が多い、ということなのです。
池田さんが危惧していたのは、「このままではどこかで大きな事故が起きる」ということ。
ただでさえ、原発で評判を落としているのに、今後、大企業で事故が起こったら、海外進出どころではありません。
「安全」は、現在の日本が全力で取り組まなければならないテーマなのです。
本日ご紹介する一冊は、ANAのOBであり、現在はANAビジネスソリューション講師として活躍中の田口昭彦(たぐち・てるひこ)さんが、その安全を守る、ANAのしくみと習慣、チーム作りノウハウを紹介した一冊。
航空会社、しかも整備士出身の著者ということもあり、どう安全を守るか、ミスをしないために組織に何ができるのかを丁寧に論じています。経営者・マネジャーは必読の内容です。
さっそく、そのエッセンスを見て行きましょう。
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ANAの新入社員の訓練は合宿形式で行われます(中略)「仲間がいるから仕事ができているんだ」ということや、共同責任の意味、自分の安易な行動がTEAMに迷惑をかけるということ、TEAMとしての一体感などを学びます
空港から離れて部品のことだけを見ていると、単なる四角い箱の中を修理するだけで、その部品が取り付けられる飛行機全体のことはイメージしづらいですし、ましてや飛行機に乗っているお客さまの顔などなかなか頭に浮かびません(中略)そこで、その部品整備専門会社の整備士たちに空港まで来てもらい、実際に飛行機が飛んでいる状態をしっかり見てもらうことになりました。すると、それまではテスターを当てるような検査キットの範囲だけで見ていた視点が変わり、自分たちがやっている仕事は航空会社の部品整備の重要な一部門だ、という意識に変わっていったのです
◆整備環境におけるエラーを誘発する12の要因
1.コミュニケーションの欠如
2.自己過信、思い込み
3.知識の不足
4.注意逸脱、気移り
5.チームワークの不足
6.疲労
7.人的資源の不備
8.外部の圧力
9.独断
10.ストレス
11.状況認識の欠如
12.規範、集団の行動様式
掛け算のチーム内には「0」の人間、すなわち不要な人間をつくってはいけない
安全運航にとって最もいけないことは、「知ったかぶり」をすること
ミスやエラーなどの失敗事例を発信する「場」づくりで大切なことは、「免責性」「秘匿性」「独立性」「簡易性」「貢献性」と、発信された内容に対する措置が本人に確実に伝えられる「フィードバック」の6つです
航空業界には、ソフトウェアやハードウェア、環境といった要因から、それぞれの英語の頭文字をとった「SHELモデル」という事故や事象の要因分析の手法があります。この「S」はソフトウェアで「H」はハードウェア、「E」は環境です。そして「L」とは人です
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航空業界では当たり前のことかもしれませんが、一般の企業からすれば、じつに勉強になる安全ノウハウが詰まっています。
SNS時代に、つまらないことで評価を落とさないためにも、安全習慣を見直したいものです。
ぜひ読んでみてください。
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『ANAが大切にしている習慣』ANAビジネスソリューション・著 扶桑社
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◆目次◆
第一章 ANAは会社ではなく「TEAM」である
第二章 ANAでは人材ではなく「人財」である
第三章 ANAでは「雑談」もコミュニケーションのひとつである
第四章 「TEAM」+「人財」+「雑談」=ヒューマンエラーを防ぐ
第五章 ANAの心~グッバイウェーブ
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