【これは必読。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492502734
最近のビジネス書のトレンドを見ると、個人の体験モノは売れず、権威づけされた内容か体系化されたコンテンツが売れています。
デジタル化、インターネット化が進み、書籍に求められるものが変わった、というのもあると思いますが、一番の原因は、個人の主観・体験モノがつまらなくなったからでしょう。
その点、本日ご紹介する一冊は、同じ個人の体験モノでも、質が違う。
著者は、日本コカ・コーラで最年少部長に抜擢され、デルでは8期連続赤字の部門を再生、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)では、マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』を、200万枚売ることに成功、現在はハイアール アジアの社長兼CEOを務める、伊藤嘉明氏です。
本書には、企業再生を得意とする著者が、どうやって短期間で奇跡的な業績を上げてきたのか、その戦略・戦術の詳細と根底にある考え方が示されています。
『THIS IS IT』をスポーツ用品店で売る、郵便局で売る、スーパー1階の生鮮食料品売り場にデジタルサイネージで広告を仕掛ける…。
使っているフレームワークは王道ながら、あまりに奇想天外なアイデアが連発するので、すっかりその手腕に魅了されてしまいました。
個別事例がとにかく詳細で面白く、思わずのめり込んでしまいますが、それを支える基本原則も勉強になります。
「ビッグピクチャーから考える」
「顧客を見直す」
「チャネルを見直す」
「勝てない戦いはしない」
キャリアに関するアドバイスもあり、キャリアアップや転職を考える人には、うってつけの内容です。
さっそく、内容を見て行きましょう。
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よそ者の役割は、今までなされなかったことをすること
これまで使っていなかったチャネルを使い、新しい客層にアプローチすればいい。これこそ「よそ者」の戦い方だ。そして、私がとった数ある作戦の1つが「スポーツ用品店」への営業である(中略)それまでアディダス ジャパンで営業をしていた私なら、スポーツ用品店と交渉することが可能である
数字はあくまで、事象の1つの側面を現したものに過ぎない。その数字をどう捉えるか、その数字「以外」のところをどう捉えるかで、そこからの意思決定や行動は大きく変わる
「ライバル企業はどんな製品を出しているのか」「自社の技術をどう使っていくべきか」といった、小さい話はまず置いておく。最初は、もっと大きな、世の中の趨勢を俯瞰してみるのだ・「地球規模で何が進んでいるか?」「今、人は何を求めているのか?」「産業構造はどう変わりつつあるのか?」まずこうした大きな絵を描く。その上で、「だったら自社は、こうあるべきではないか」「こんな製品やサービスを開発すべきではないか」と考えるのだ
かつては「モノを売って、その対価を貰う」ビジネスが強かったが、今は「サービスの契約をして、課金する」ビジネスの方が強い
チャネルから販売数を考えない。販売目標からチャネルを考える
どこで「勝てる」「勝てない」を決めるのか。それは、武器の有無で決める
もう1つ、よく考えるとデルの強み=使える武器があった。デルが米国の海軍を含め、軍需パソコンの6割のシェアを取っていたことだ(中略)早速、米国本社のCIOに依頼して「うちは米国海軍のPCの6割近くを納めています」と一筆をもらい、米国海軍にも「デルのコンピュータを使っている」という手紙を書いてもらい、それを当時の政府関係者に送った
「ナインティデイズ」は世界共通のタイムリミット
まずひとつ、小さくても、何かを動かす
業界を超えて仕事ができた方が、この先の世界でより必要とされる
自分のタイプは「0→1」か「1×2」か?
自分でコントロールできないことに人生をゆだねるな
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すべてのケース、エピソードを紹介できないのが残念ですが、これはひさびさに「切れば血が出る」類のビジネス書でした。
30代、40代のキャリア志向の方には、ぜひ読むことをおすすめします。
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『どんな業界でも記録的な成果を出す人の仕事力』伊藤嘉明・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492502734
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◆目次◆
CHAPTER1 どんな業界でも記録的な成果を出す人は何をしているのか?
CHAPTER2 どんな業界に行っても通用する人になるキャリア戦略
CHAPTER3 どんな業界、どんな時代でも戦って勝つための武器
CHAPTER4 どんな業界でも通用するリーダーシップ&組織論
CHAPTER5 グローバル時代を生き抜くために必要な姿勢
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