【注目。自分と交渉する技術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320097
大きな成果や変革を望むのなら、すぐHowに走るのではなく、物事の大前提にこそ挑みたい。
「売上を上げる」ではなく、「どうすればもっとお客様に喜ばれるか」。
「良い会社をつくる」ではなく、「良い会社とは何か」。
こんなこと、すっかりわかったつもりでいましたが、まさかそれが交渉や人間関係にも当てはまるとは知りませんでした。
本日ご紹介する一冊は、世界で1300万部売り上げた交渉のバイブル、『ハーバード流交渉術』シリーズの共著者、ウィリアム・ユーリーによる、待望の最新刊。
※参考:『ハーバード流交渉術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4837903606
あらゆる交渉のノウハウを伝えてきたはずの著者が、唯一伝えていなかったという、交渉の大前提にして最大のノウハウ。
それは、「自分自身との交渉」でした。
著者が師匠、ロジャー・フィッシャーと共に主張したのは、「ウィン─ウィン」型あるいは「相互利益」型の交渉でしたが、これがうまくいかない理由は、じつは「自分自身」にあります。
順調に進むはずの交渉がやがて「ウィン─ルーズ」型となって失敗に終わるのは、人間の奥底に、「欠乏に対する不安」があるから。
著者の言葉を借りれば、<損をしている、何か足りないという不安で、警戒心を募らせ、相手を犠牲にしてでも自分を守ろうとして、結局は双方とも敗者となる>のです。
本書ではそうならないための大前提、「自分自身にイエスと言う」を実現するための6つのステップを説明。
いかにして人が他者を思いやり、ビジネスや人間関係を「ウィン─ウィン」に導けるのか、学説や事例を含め、丁寧に説明しています。
それではさっそく、「自分にイエスと言う」ためのノウハウ、見て行きましょう。
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◆自分にイエスというための6つのステップ
ステップ1.「自分の身になって」考える
心の奥底にある願望に真摯に耳を傾ける
ステップ2.インナー・バトナを養う
何が起きようと自分の願望から目をそらさず、大事にすると自分に誓う姿勢
ステップ3.人生に対するイメージをリフレーミングする
ものごとがうまくいかないときでも人生は自分の味方だと考えること
ステップ4.「ゾーン」にとどまる
ステップ5.どんな相手でも尊重する
ステップ6.与え合う
なぜ私はこれがほしいのか? これは、交渉の際に、自分の本当の利益や願望を明確にしてくれる魔法の問いかけだ
人間の基本的な心理的欲求のなかに、傑出した普遍的なものが二つある。一つは、苦痛がないことを約束してくれる「保護」または「安全」。もう一つは、喜びを約束してくれる「結びつき」または「愛」だ
非難合戦の対極は「責任を負う」ことである。私は、責任を負うとは自分で対処できるものとして、自分が直面する状況に前向きに対応する能力のことだと考えている
「自分の心のなかの大事な願望をかなえる責任は誰が負うのか?」誰しもこの問いに答えなければならない。答えが「誰か」なら、その誰かに自分の力を与えることになってしまう。だが、もし答えが「自分自身」なら、自分の人生と未来を変える力を取り戻すことができる
許すことによっていちばん恩恵を受けるのは、自分自身なのだ。恨みと怒りは人を消耗させ、その感情をぶつけた相手以上に自分を傷つける
他者を許すことも大事だが、許さなければならない最も大切な人間は自分自身だろう
経験から言うと、最も安上がりな譲歩、最低限のコストで最大の成果を生み出す譲歩は、相手を尊重することだ
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交渉だろうと人間関係だろうと、その原因を他者に求めれば、人は力を失い、自分に求めれば力を得る。
考えてみれば、拒絶を経験した多くの偉人たちの成功物語は、自分にイエスと言い、責任を引き受けた人々の物語だったかもしれません。
生き方や仕事に大きな視点の変化をもたらしてくれる一冊。
交渉術というより、自己啓発書として読むべき本かもしれません。
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『ハーバード流最後までブレない交渉術』 ウィリアム・ユーリー・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532320097
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◆目次◆
1 自分という「最強の敵」を理解する──自己批判から自己認識へ
2 何があってもブレない「インナー・バトナ」を養う──非難から自己責任へ
3 逆境にあっても「世界は自分の味方だ」と信じる──敵意から安らぎへ
4 うまくいかないときこそ「ゾーン」にとどまる──抵抗から受容へ
5 どんな許しがたい相手でも尊重する──排斥から包容へ
6 ウィン-ルーズの罠からぬけだし、与え合う──ウィン-ウィン-ウィンへと導く
さいごに 三つの勝利
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