【じつはすごいコミュ本。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569824846
昨日今日と、良い意味でタイトルと中身が違う本に出合っています。
本日ご紹介する、『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』は、『三省堂国語辞典』編集委員で、NHK Eテレ「使える!伝わるにほんご」講師も務めた国語辞典編纂者、飯間浩明さんによる一冊。
どんなにカタい本かと思っていたら、じつはこの本、いわゆる「コミュ本」で、ベストセラーとなった『できる大人のモノの言い方大全』や、『伝え方が9割』にも匹敵する面白さ+実用性を誇っています(何でこんなタイトル付いたんだろう…)。
連想される、いわゆる「正しい日本語」はもちろんですが、それ以外にも、文法のトリックを用いて、より伝わるようにする表現が紹介されており、目からうろこです。
動詞を省略する+独白体を使うことにより、敬語を使わずに礼儀正しくかつ親しくなれる方法、正しくおわびをするために、「あやまる」のではなく「わびる」方法、角を立てないように「逆説表現をなるべく使わずに話をする」方法など、さまざまなノウハウが載っており、じつに勉強になります。
文章を書くノウハウも載っており、なかでも「反対語を意識して書く」のは有効だと思っています。
さっそく、本書の素晴らしいノウハウをチェックしてみましょう。
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◆敬語を省く上手いコツ
・動詞をぼかしておく
「◯◯さん、もう昼ごはんは……?」
・独り言の形式を使う
「ああ、おなかが空いてきた」→「◯◯さんは?」
自分に何かしてくれた相手に「お疲れさま」を使うのは失礼
「働き者」はいいことばですが、上司に向かって「部長は働き者ですね」と言うのは失礼です。目上に対して、相手を評価することばを使うべきではありません
「あやまる」(謝る)は、日本語としては「誤る」と同じで、自分が間違っていたことを認めることです
ある夕方、肉屋さんが、その日に揚げたコロッケを売り尽くしてしまいました。やってきたお客さんに対して、「すみません、売り切れです」と頭を下げます。これが「わびた」ということです。この場合、肉屋さんは間違っていたわけではありませんが、相手に気の毒なことをしたと考えて、頭を下げたのです
「すいません、100円玉ばかりですが……」
(中略)
「ああ、助かります」
自分が少しだけ困っていることについて、相手の意見を聞く
謙遜表現は、自分が何かをしようと思い立ったとき、その気持ちを後押しする役目を果たすもの(中略)
「これは、本当にただの感想ですが……」
「幼稚な考えかもしれませんが……」
「優柔不断な人」と言えば否定的ですが、「慎重な人」と言えば肯定的です。「泣き虫」と言えば否定的ですが、「涙もろい」と言えば肯定的です。「なれなれしい」はけなした言い方ですが、「誰にでも気さくに接する」ならばほめています
形容詞を多用すると、感情や評価を含む主観的な表現になりがちです。一方、動詞を使うと、批判も称賛も含まない、客観的な言い方がしやすくなります
反対語を意識することで、初めて何かを論じることができる
◆テンを打つ場所は、基本的に次の2つ
・「出来事」と「出来事」の間に打つ
・割り込んだ部分の直前に打つ
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文法を正しく理解すれば、いくらでも人間関係を円滑にし、面白い文章が書けるようになる、ということを本書は伝えています。
ただのおカタい日本語本と思うことなかれ。
ぜひ読んで、対人関係、コミュニケーション改善のヒントとしていただきたい一冊です。
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『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』飯間浩明・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569824846
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◆目次◆
第1章 コミュニケーション
第2章 分かりやすい表現
第3章 ことばを蓄える
第4章 ことばの基礎知識
第5章 ワードハンティング
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